亡国の近衛騎士 ~追放された王家直属の最強護衛、幼なじみの旅商人と共に世界を回ることにする~

アイスクリーム仕立て

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第19話 リウ攻防戦 序曲 2

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 ~その頃、教会兵側では~

「……ダイフォス様、あらかじめ設置しておいた爆弾は、予定通りに爆破させました」
「うむ、ご苦労だ」

 壁の上に立つ大男。リウのもう一人の聖騎士、ダイフォスだ。
 周りに数人の教会兵を囲み、不敵な笑みを浮かべている。

「君も美しいと思わないかね?」
「……は? 何が、でございましょうか?」

「いやいや、前に広がる光景だよ。金色の畑が、燃え盛るこの……」
「……」

 太陽は完全に雲によって姿は隠れ、今は燃え盛る畑が明かりだ。
 ダイフォスの目には、炎が反射して見える。

「さあ、我らも出撃だ。物資を奪い、燃やし、住民を殺し、さらう。何しても構わないぞ?」
「ダイフォス様、流石に人間は……」
「いいや、大司教様から直々に許可をいただいている。人間もどきに与する人間も皆殺しだと」
「しかし…… ぐふっ!? ガ……ぁ……」

「ふふふ、さっきから君、生意気だな?」

 文句を言った兵の首を片手でつかみ、絞める。
 
「神の代弁者である大司教様がそうおっしゃってるのだ……! 異端者よ……っ!」

 ――ミシッ、ミシッ……

 さらに首を強く締め、鈍い音がする。悶えていた教会兵はじきに動かなくなった。
 教会兵はみな絶句する。しかし、ダイフォスだけは未だに笑みを浮かべていた。

「先遣隊が、敵の軍事拠点に攻撃を仕掛けているはずだ。私たちも続くぞ。いいか?」
「「ひぃ…… はっ、はい!」」

「無駄な命だった。 ……ラーハ神よ、彼を救いたまえ」

 こと切れた教会兵は、そのまま壁の下へ投げ落とされるのだった……
 
 
 ~~
 
 
「シュベルト、敵はどこだ!」
「前の方に10人ほどの気配を感じる…… 接敵するぞ!」

 シュベルトは自警団と共に、走り続ける。メルサ、レアも一緒だ。
 数においては俺たちが完全に後れを取っている。確固撃破を目指すぞ。
 
 すると、フード姿の兵士たちと出くわした。

「チッ…… 見つかったか!」
「よーし、お前ら! 戦いの始まりだ! 我らがリウ自警団の誇りを見せろ!」

「「「おう!!」」」

「うおぉぉぉ!!!」
 バルフォードを先頭に、自警団のメンバーは突撃を始めた。

 あいつにも先陣を切る勇気があるんだな。腐っても自警団のリーダーってことか。

「何を観察しているの! こっちにも来てるわよ!」
 メルサが指さした先には、戦闘を抜け出してきた兵士3人がこちらへ向かって突撃してくる!

「どけどけっ! 俺たちの目標はお前らじゃねえ!」
「……道を譲るわけがないだろう?」

 ――魔法陣展開 生成 土壁……
 ――魔法陣展開 生成 棘!

 ――ドォォォォンッ!!

「おわぁっ!!」
「ぐわぁぁっ!!」

 兵士の進路を塞ぐ。俺がいる限り、ここを通らせはしない……

「発現せよ! 氷の壁!」
「クッ…… 魔法使いが2人もいるだとっ!」
「よし、レア! 囲うように壁を立たせるんだ!」

「分かったよ! もう1回…… 発現せよ! 氷の壁!」

 ――ドン! ドン! ドン! ドン!
 兵士は必死に逃げようとしたが、ついに完全に退路を塞がれてしまった。

「クソォ!! 滑って登れねえ! 冷てぇ!」
「おい! あっちに土の壁があるぞ!」
「でかした!」

「……逃げられるとでも思ったか?」

 俺は静かに剣を抜いた。水色に輝く、剣を。
「あ、あぁ…… ひひぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 ふぅ、倒した兵士は2人。……あれ? もう1人はどこに行った?

 
「ねえ、こっちに来ないで! よっ! ほら!」
「すばしっこいな! ちょこまかと逃げやがって…… 待てや小娘ぇぇ!!」
「メルサ、危ない! 凍てつけ、大地よ!」

「え? ほごぇっ!!」

 メルサを無我夢中で追いかけていた兵士の地面は凍り、盛大に転んでしまった。

「イテテ…… あ?」
「こんにちは。よくも追いまわしてくれたわね?」
 兵士がうずくまっている間に、メルサは水がめを手に取っていた。

「あ、おいおい…… 待て、俺が……悪かった!」
「待たないわよ! それ!」

 ――ガシャーンッッ!!

「……」
「よし、一件落着ね」
「メルサ! けがは無いか? 凄いな、1人倒したのか」
「ふふーん! 私だってこれくらいやれるわよ」

 メルサの前には完全に伸びてしまった兵士が居た。
 よし、こっちのほうはあらかた片付いたか…… そうだ、バルフォードの方は?

「……よっしゃあ! 全員倒したぞ! 俺たちの勝ちだぁぁ!!」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!」」」

 ……もう終わっているようだな。安心した。
 俺は剣をしまう。


「こっちの方は終わったか」
「ああ、シュベルトの方は何人倒した?」

 バルフォードたちは、ところどころ傷はできつつあるも、皆が無事であった。

「俺たちは3人だ」
「……あれ? こっちは6人しか倒してないぞ?」
「ん?」

 1人どこに行った……
 辺りを見回しても、フード姿の人影は見えなかった。
 まずいな…… 逃がしてしまったか、クソッ!

「おい、今すぐ探しに行くぞ! 万が一チビ共が……」
 ……ん? なっ!

 ――魔法陣展開 発動 魔法障壁!
 ――ズズズズッ! ガガガガガガッッッ!
 
「キャァ!」
 急として、後ろから大量の火球が飛んできた!
 俺は大きく魔法障壁を広げ、全員を火球から守る。

「どうした! 何が起こった!」
 
 危なかった、少しでも反応が遅れていたらもろに食らっていたはずだ。
 ……そして、現れやがったな。

 ――パチパチパチ……
「素晴らしいッ! よくこの攻撃を乗り切ったな!」
「誰だ? お前……」
「おっと、名乗らないといけないのか。我の名はダイフォス。ここを破壊し、君たちを駆除しにきたんだ」

 ダイフォスは笑みを浮かべている。クソッ、戦闘狂の匂いがするぞ。
 全員、喉から声を出すことができない……

「そこの少年、そんな煩わしい目で見るな。我は別に君たちを苦しめたいとは思っていない」
「ふざけるんじゃないよ! ここを、こんな惨状にして…… 許されるとでも思ってるのかい!」

 獣人の自警団の1人は、ついに耐えきれず声を荒げる。
 他のメンバーは黙っているが、皆同じ気持ちだ。

「まあ、そんなに吠えるな。おい、あれを出せ」
「ハッ!!」

 すると、教会兵は縄で縛られた多数の人々をダイフォスの前に出した。
 泣いている者、気を失っている者…… リウの人たちだ!

「フィア!」
「助けてっ!! グラード!!」

 同じ獣人のメンバーが叫ぶ。
 てことは、今フィアって呼んだのは……

「なるほど…… よし、これにするぞ」
「キャア!! 止めてっ! 止めてっ!!」
「おい! フィアに何をする気だ!!」

 ダイフォスはフィアの首をつかみ、持ち上げる。

「……さあ、お待ちかねだ」
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