婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜

みのすけ

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婚約破棄から7日目 誘拐

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気が付いたら、薄暗い部屋の中だった。
明かりがなく、だだっ広い。

ほこりっぽい部屋の床に私アレキサンドライト・セレスは転がっていた。

手足が何かで拘束されている。
周りを見渡すと誰も居なかった。
窓から見えるのは夕日だろうか?
別の窓の外には木が茂っている。
ここは今は使われていない屋敷のようだ。


私は記憶を辿る。
退学手続きを終えて、学園を後にしたことは覚えている。急に鼻と口を布で押さえられて、薬みたいな匂いがして……記憶が途切れている。

状況からして、私は誰かに攫われた様だ。

窓から差し込む日差しが朱い。たぶん夕日……仮に今は夕方だとして、3時間くらい気を失っていただろうか?
3時間あれば、馬車で移動できるのは王都の端くらいまで。まぁ特殊な術を使わない限りは。

あと窓から見える木の葉っぱに特徴を見つける。
確かクリスの植物図鑑に写真があった……限られた地域に生息する木の葉だ。
確か王都郊外の東のエリアだったな。
ならばここは王都の東の端、貴族の別荘が点在する郊外のエリアの可能性が高い。


部屋の中を見渡す。
広さがあり、物がない部屋だと思ったが、隅にごちゃごちゃと物が退けてあるだけだった。

目を凝らして見ると壊れたアンティーク家具がある。意匠に見た事のある家紋があしらわれていた。
あれは……ドロール男爵家の紋か。


そうなると、ここはドロール男爵家の使われていない別荘の可能性が高い。

ドロール男爵家の別荘は、今は領地にあるだけのはず。ここが王都なら、この屋敷は意図的に隠された別荘ということになる。
もし私がずっと探していたところだとしたら……。


自分の体を見ると学園の制服のままで、手足はロープで縛られている。
縄は外せないが指は動かせる。
あと口も動かせる。
良かった。私は運が良い。


さて、どうしようか?
私は意外に落ち着いているようだ。
自分でも驚くけれど、頭もクリアだ。
実はこういうことは初めてではない。


こんなに早く機会が巡って来るとは思わなかった。
ここは私が探していた場所らしい。
ずっと、ずっと、この状況を待っていたのだから。


幸いこの部屋には誰もいない。
私は口元が綻んだ。仕掛けるなら今だ。

私は指先を動かし、小さな魔法陣を空に描く。
小さな声で呪文の詠唱。対価は私。
部屋全体に魔法陣が広がり、青白い光に包まれる。その後光が収束し、扉に紋章が浮かび上がった。

『汝、生きたいのか、それとも死にたいのか』

扉が私に問いかける。

「私は生きたい。目的を果たすために」

私ははっきりとした声で、扉に言い放つ。
魔法陣は完成している。
術は成功したようだ。


突然ドタドタと足音が近付いてきた。
足音からして大人の男性、それも複数いる。ガチャガチャと…武器を携帯する音もする。

発光に気付かれたためか、私をここに連れて来た関係者が様子を見に来るのだろう。

私は入って来る輩を直接見たかったが、急に身体が重くなり、急速に意識が薄れていった。
術の対価が支払われるのだ。

ほどなく、勢いよく部屋の扉が開け放たれた。
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