婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜

みのすけ

文字の大きさ
32 / 36

招待①

しおりを挟む
森から転移魔法で領主館の自室に戻った後、私は身支度をしてすぐに寝台に入った。


クローディア公爵子息が訪れたことについて色々と考えることはある。

私はブロウ家絡みのことでセレス家にも調査が入ると思っていた。クローディア公爵子息がブロウ家とセレス家の関係を知っていたならば、彼も一連の検挙に関わっている可能性が高い。

クローディア公爵子息は、ブロウ伯爵子息の動向を探っていたことがあるのかもしれない。

騎士団が動いていることから一連の検挙は王太子殿下が主導されていると思われる。
学生である第二王子殿下がそれに協力するのであれば、学園に在籍している関係者の令息令嬢を監視するあたりが妥当なところ。第二王子殿下の側近であるクローディア公爵子息はそれを補佐していた。

あの日彼が孤児院の近くにいたのは、おそらく偶然ではなかったのだろう。

仮にクローディア公爵子息がブロウ伯爵子息の動向を探っていたとすれば、あの時私を助けたのは何故だろうか?

調査中にしろ監視中にしろ、彼が姿を現すのはデメリットしかない。対象が元婚約者と揉めそうになっていたとしても、自分の役割を果たすなら傍観して差し支えないだろうに。

クローディア公爵子息は紳士の振る舞いとして、放っておけなかったのだろうか?


「……」


答えの出ないことを考えるのは止めよう。

今は身体を休めることもまた必要だ。


しばらくして心地よい眠気に襲われる。
胸の内がすっきりしていることで、久しぶりに深く眠れそうだった。





翌日、領主館は午前中から慌しかった。
今をときめく公爵家から客人を迎えるので、家人は忙しく動き回っている。

私も客人を迎えるため、侍女達に飾り付けられる羽目になった。湯浴みのおかげで目は覚めたが、体力が少しずつゼロに近付いていく。

久しぶりにコルセットを絞められて、きちんとしたドレスを纏い、髪を結い上げられた。

正直、ここまでする必要があるのかな?

薄く化粧をされる私が胡乱な目をしているため、それに気付いた侍女頭が笑顔で一刺しする。

「公爵家の方をお迎えするにあたり失礼があってはいけませんから。セレス家の名誉に関わりますので、しっかり準備いたしませんと」


侍女頭の言い分は正しいので、私は黙って頷く。彼女は私の性格を分かっているので、私に対して一番効果のある言葉掛けをしてくる。

「久しぶりにお嬢様を着飾らせることができて満足です」と後ろではしゃぐ侍女達の言葉はスルーする。

私は領地では動きやすいことを重視しており、一人で脱ぎ着できる簡易的なドレスを着ることが多かった。おしゃれを楽しむ年頃の令嬢らしくない振る舞いで、侍女達を泣かせているのだ。



先ぶれがあり、クローディア公爵子息が到着した。護衛を連れて、今回は公爵家の馬車で来た様だ。


馬車から降り立った彼は、周囲の視線を一身に集めた。高位貴族に多い輝く髪色と明るい瞳の色、それに端正な顔立ちで、人の目を惹くのだろう。

それを当たり前の様に受け止め優雅に歩いてくるのだから、貴族としての格の違いがわかるというもの。

彼の瞳の色と同じような青色の上着に、彼の髪色と同じ銀の装飾が歩く度に揺れる。

まさに貴公子の出立ちに、出迎えた使用人達が内心騒めいていることを感じる。領主館には高位貴族を招く機会がほとんどないからだ。


「ユリウス・クローディア公爵子息、ようこそお越し下さいました」

「アレキサンドライト・セレス子爵令嬢、お招きいただき感謝します」


紳士の礼で手の甲に口づけられる。

私はこんなに丁寧な挨拶を受けることがないので、されるままにして、とりあえず微笑む。

クローディア公爵子息も寝不足だろうに……。
それを物ともしないキラキラした存在感に、私は眩しくて目が開けられない。

生粋の王子様感に、女性使用人達が目を輝かせている。一時でも彼女達の目の保養になるからいいか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



お気に入りやいいね下さった方、ありがとうございます。励みになります^_^

なお答え合わせ③に一部加筆しております。

引き続き楽しんでいただけると幸いです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。予約投稿済みです。

誓いを忘れた騎士へ ―私は誰かの花嫁になる

吉乃
恋愛
「帰ってきたら、結婚してくれる?」 ――あの日の誓いを胸に、私は待ち続けた。 最初の三年間は幸せだった。 けれど、騎士の務めに赴いた彼は、やがて音信不通となり―― 気づけば七年の歳月が流れていた。 二十七歳になった私は、もう結婚をしなければならない。 未来を選ぶ年齢。 だから、別の男性との婚姻を受け入れると決めたのに……。 結婚式を目前にした夜。 失われたはずの声が、突然私の心を打ち砕く。 「……リリアナ。迎えに来た」 七年の沈黙を破って現れた騎士。 赦せるのか、それとも拒むのか。 揺れる心が最後に選ぶのは―― かつての誓いか、それとも新しい愛か。 お知らせ ※すみません、PCの不調で更新が出来なくなってしまいました。 直り次第すぐに更新を再開しますので、少しだけお待ちいただければ幸いです。

「君は大丈夫だろ?」と可哀想な元恋人を選択した夫。~今さら復縁を迫っても、愛は既に錆び付いています~

水上
恋愛
夫と白い結婚をして、傾いた領地を努力と苦労の末に立て直した伯爵令嬢ヴィクトリア。 夫との関係も良好……、のように見えていた。 だが夫は「君は強いから」と、めそめそ泣く元恋人を優先し、ヴィクトリアの献身を踏みにじった。 その瞬間、彼女の恋心は錆び付き始めた。 「私が去ったら、この領地は終わりですが?」 愛想を尽かした彼女は、完璧な微笑みの裏で淡々と離縁の準備を始める。 これは、有能な妻が去り、無能な夫が泥沼に沈むまでを描く、冷徹な断罪劇。

アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚

里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」  なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。  アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ
恋愛
 エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。  社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。

幼馴染を選んで婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです

睡蓮
恋愛
レーベット侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたミリアの事を受け入れていた。しかしレーベットはその後、自身の幼馴染であるリナリーの事ばかりを偏愛し、ミリアの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにレーベットはミリアのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったレーベットは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。

ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。 ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も…… ※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。 また、一応転生者も出ます。

どうしてか、知っていて?

碧水 遥
恋愛
どうして高位貴族令嬢だけが婚約者となるのか……知っていて?

処理中です...