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第四話 月蝕〜マスカレード・ナイト
#11 解き放たれる欲望
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「ん、いい子だね」
長い指の背で、すり、と頬を撫でられ、蝶子が気持ちよさそうに目を細めた。
「あぁ……」
その指が、緩んだ唇をふにふにと啄んだ。
「さあ、でも休憩してちゃだめだよ。動いて」
「は」
「いいところに当ててごらん。自分で」
「あ、あ、あ、」
硬い腹に手をつき、腰を浮かせたりくねらせたりと、本人は頑張っているつもりなのだろうが。
「ん、あ、ん…」
「もっと腰振らなきゃ。足りないでしょ?」
いやいやとかぶりを振るのは、ちがうと言いたいのか、足りないもどかしさゆえか。
「ちょっと、手伝ってあげようか?」
と、膝をつかんで、ぐるぐると回された。
「あ、あ、ああんっ!!」
思わぬところを抉られ、捏ねられ、大きくのけぞった。
自分でするのでは得られない、未知の快感だ。
たまらない。癖になる。
(ああ、もう、)
ふるりと身を震わせて、蝶子はついに根を上げた。
「D、して……」
薔薇の萎れるように俯き、Dのマスクをとる。
欲情した双眸の猛々しさに射抜かれた。
そして、上気した顔の色気にむせかえる。
(ああ)
「しょうがないなぁ」
ゆっくりと腰がもちあげられた。
「しっかり手をついてて」
それは無理だ。もう力が入らない。
不安定に腰の浮いた状態で、ふっと止まる。
その後どうされるかなど、考えるまでもない。
(ぁ……)
つかのまの空白が、まるで永遠ほどに長く、こわい。
「あ、……っ!」
衝撃はいきなりだった。
ずん───…!
「あああああ……んっ!!!!」
そこからはもう、されるままだった。
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷん、ばちゅん───
「あ! あ! ひ、んっ! …~~~~っ!!!
下から突き上げながら、上から身体を落とし、突いては掻き回し、捏ねて、また突く。
不安定な体は、他に何の支えるものもなく、灼けた鉄柱で突き上げられ続けた。
「ひぁ、あ! あっ! は! あんっ!」
だがしばらくして、ふ、とDの手が止まった。
「これじゃ俺が足りない」
「…っ?」
あっという間に大きく転がされ、気づけば丸めた腰を高く上げ、上からのしかかるDに貫かれていた。
頭につくほど折り曲げられた脚がぐいぐい回され、チカチカと星がとぶ。
「……!! っ、あ、あ、あああああああああああああああぁ」
固い杭を深く重く打ちこまれ、体重をかけて抑え込まれる。
穿たれ、こすられ、時に回転を交えて捏ねくられ。
もう、それ以外なにもわからない。
(あつい)
身体が燃える。
蝶子の手が、何を求めてか、空を掻いて泳いだ。
男の大きな手が、震える手を迎えて、五指を絡める。
(あつい…)
「D、キスして……」
「謹んで」
汗と色気のしたたる艶麗な顔がゆっくりと近づいてくる。
そうして望んだ通りを与えられて、蝶子は獣を解き放った。
──すべてあなたの望む通りに。
奥の奥まで穿たれて声もなくがくがくと痙攣するばかりの白い肢体に、Dはあらんかぎりの雄の欲望を浴びせ尽くす。
次ページへ続く
読んでくださりありがとうございます。
長い指の背で、すり、と頬を撫でられ、蝶子が気持ちよさそうに目を細めた。
「あぁ……」
その指が、緩んだ唇をふにふにと啄んだ。
「さあ、でも休憩してちゃだめだよ。動いて」
「は」
「いいところに当ててごらん。自分で」
「あ、あ、あ、」
硬い腹に手をつき、腰を浮かせたりくねらせたりと、本人は頑張っているつもりなのだろうが。
「ん、あ、ん…」
「もっと腰振らなきゃ。足りないでしょ?」
いやいやとかぶりを振るのは、ちがうと言いたいのか、足りないもどかしさゆえか。
「ちょっと、手伝ってあげようか?」
と、膝をつかんで、ぐるぐると回された。
「あ、あ、ああんっ!!」
思わぬところを抉られ、捏ねられ、大きくのけぞった。
自分でするのでは得られない、未知の快感だ。
たまらない。癖になる。
(ああ、もう、)
ふるりと身を震わせて、蝶子はついに根を上げた。
「D、して……」
薔薇の萎れるように俯き、Dのマスクをとる。
欲情した双眸の猛々しさに射抜かれた。
そして、上気した顔の色気にむせかえる。
(ああ)
「しょうがないなぁ」
ゆっくりと腰がもちあげられた。
「しっかり手をついてて」
それは無理だ。もう力が入らない。
不安定に腰の浮いた状態で、ふっと止まる。
その後どうされるかなど、考えるまでもない。
(ぁ……)
つかのまの空白が、まるで永遠ほどに長く、こわい。
「あ、……っ!」
衝撃はいきなりだった。
ずん───…!
「あああああ……んっ!!!!」
そこからはもう、されるままだった。
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷん、ばちゅん───
「あ! あ! ひ、んっ! …~~~~っ!!!
下から突き上げながら、上から身体を落とし、突いては掻き回し、捏ねて、また突く。
不安定な体は、他に何の支えるものもなく、灼けた鉄柱で突き上げられ続けた。
「ひぁ、あ! あっ! は! あんっ!」
だがしばらくして、ふ、とDの手が止まった。
「これじゃ俺が足りない」
「…っ?」
あっという間に大きく転がされ、気づけば丸めた腰を高く上げ、上からのしかかるDに貫かれていた。
頭につくほど折り曲げられた脚がぐいぐい回され、チカチカと星がとぶ。
「……!! っ、あ、あ、あああああああああああああああぁ」
固い杭を深く重く打ちこまれ、体重をかけて抑え込まれる。
穿たれ、こすられ、時に回転を交えて捏ねくられ。
もう、それ以外なにもわからない。
(あつい)
身体が燃える。
蝶子の手が、何を求めてか、空を掻いて泳いだ。
男の大きな手が、震える手を迎えて、五指を絡める。
(あつい…)
「D、キスして……」
「謹んで」
汗と色気のしたたる艶麗な顔がゆっくりと近づいてくる。
そうして望んだ通りを与えられて、蝶子は獣を解き放った。
──すべてあなたの望む通りに。
奥の奥まで穿たれて声もなくがくがくと痙攣するばかりの白い肢体に、Dはあらんかぎりの雄の欲望を浴びせ尽くす。
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