【R18】眩惑の蝶と花──また墓穴を掘りました?!

umi

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第四話 月蝕〜マスカレード・ナイト

#12 贄のオークション

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 だが、まだ終わりではない。

 今日は“生贄の日”。
 狂乱のカーニバルのメインイベントは、男どもの欲望の宴なのだ。

 ステージ袖にスポットライトがあたり、司会が登場した。

『ジェントルメーン! お待たせしました。ここからは皆様のターンです。さあ、支度は整いました。贄のオークションをはじめましょう! 今日は二セット限定です。どうぞお見逃しなく』

 司会が朗々と宣言した。

『まずは第一セットの三名様。おひとり二回まで。300から!』


 300万ではない。花の本数だ。300本なら900万円、1,000本で3,000万円。
 それが今夜の「生贄」の値段になる。

『NGプレイはマウス・トゥ・マウスのキスとアナルのみ! あとは大体オッケーです』

 なんとも適当なインフォメーションに、会場からも声が飛ぶ。

「大体?」
「なんだ、それは」
「雑だな、おい」

 笑い声がわき、司会も笑った。

『ええ、すみません。まあ現場対応ということで』

「350!」
「400」
「500だ」
「600!」

 男たちは笑いながら競っていく。


 蝶子は、半ば忘我のまま、ぼんやりとオークションを眺めていた。

 落札した男達が、生贄を輪姦するのだ。
 今から、この場で。

 まだ悪夢は始まってもいなかった。

 ぶるぶるっと身震いした。

「だって、あなたが言ったんだよ。めちゃめちゃにしてって」

 悦楽の余韻に潤んだ目がDを見上げる。

「花をって、言ったじゃない。馬鹿……」

 声は細く、口調もおぼつかない。

「ああ、そうだったね。ごめん、つい」

 持ち上げられた手の甲に、ちゅ、と音を立ててキスが降る。

「でもじゃあ、後はあの娘(こ)にがんばってもらおっか」

 こくん──

「それでいいね?」

 こくん──

「でも、Dはしちゃだめ」
「え?」
「他の男にさせて。あなたはそれを、笑いながら見てなさい」
「……」

 650、680、700、と、男達の欲望が積み上げられていく。

「わかりました。そうしましょう。それじゃあ、後は」

 そう言って、Dは彼女の顔を手挟んだ。

「花」

 鞭のような声がしなった。

「花、君の出番だ。出ておいで」

 呼び出されて、あっというまに“花”になりかわる。

「待たせたね。始まるよ」

『おっと~! ここでDの催眠が入りました! メンタル処女の官能小説家、花ちゃんです! 身体はご覧のとおりの仕上がり。なのに、心は処女! まさに男の夢。こんなにも都合の良い生贄がかつてあったでしょうか?』

 司会の煽りにのって、オークションはさらに加速した。

「1,000!」
「1,200」
「1,500だ!」

 どんどん上がっていく。

 花は紙のように白い顔になっていた。
 がたがたと震えが止まらない。

「Dさん、どうして? どうしてこんな」

 ぽろぽろと大粒の涙をこぼして、花が訴える。

「こんなの、嘘でしょ?」

「ごめんね、花。ある人がね、君をボロボロにしてほしいのだって。だから君には、もう少しだけ、怖い思いをしてもらわなきゃなんだ」

「そんな、どうして?」

 奇しくも蝶子と同じ問いを繰り返す花に、Dは黙って、ただ艶然と微笑んだ。



次ページへ続く


読んでくださりありがとうございます。
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