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1-2 騎士団員フェルト
閑話:ラムちゃんの結婚♡・前 ※
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※対オークです。苦手なら飛ばしても大丈夫な閑話です。
「き、貴様ッ……ここはどこだッ!」
「さあね」
後ろ手に縛られた状態で、地面に転がされたラムレイが叫んだ。
もちろん、魔法は使えないように回路を遮断してるし、精霊……とは精霊王に嫌われてるくらいだし契約していないだろうが、精霊の声も聞こえないようになってる。
後ろできりっと結ばれた金色の長い髪、見ただけで気の強さや傲慢さのわかる釣り上がった青い瞳。
こういう気の強い美人……を、組み敷いてなんにもわからないような快楽漬けにしちゃうのも、ちょっと燃えるけど。でも今回は――
(……俺は見学でーす)
俺が睡眠状態から解いた瞬間から、ラムレイは大声でキーキー叫び出した。
今から彼がされることを思うと、そんな声も全然気にならない! むしろ微笑ましいくらいで、ぞくぞくと体が震える。
(こいつは……みっともなく泣き叫んでくれるタイプ)
覚悟を決めてしまうレオみたいな男には屈辱を与えたくなるけど、こういう自分が偉いと信じて疑わないやつには……恐怖がいいと思うんだよ。ほわっとあたたかな気持ちが胸に広がる。
今から彼がされることを考えれば、こんな態度も前戯でしかないよね。
にこにこしていると、ラムレイが訝しげに俺のほうを見た。
「ふざけるなッ! 私を誰だと思って……ん? お前、美しい顔をしているな。泣いて許しを請うなら、男娼として雇ってやっても……」
それを聞いて、俺の笑みがぐっと深くなる。
そうそう、こういうタイプの男にはどこまでも愚かで、そして世界一偉くあってほしいものだな。
俺は珍しく優しい口調で言った。
「お前はさ、お前が馬鹿にしてたゴブリンに負けて、ダンジョンに取り込まれたんだ」
「――はあ?」
間抜けな声を出すラムレイを、ほかの冒険者と同じように扱ったり、鎖で縛ったりしていないのにはわけがある。
ゴブリンの繁殖用にするのが一番こいつにとって屈辱的かと思ったけど、貴族は魔力量が段違いだっていうから、違うモンスターの相手をしてもらうことになった。
「今からお前には、結婚してもらう」
「けェッ? ……はあ? ケッ結婚? お前、その格好は平民だろう。髪も忌々しい黒ではないか! つけ上がるなよ」
そう、黒色って忌み嫌われてるらしい。
そもそも黒髪はこの国にいないらしいっていうのと、平民でも黒に近い濃い色の髪だったりすると、差別対象になったりするんだとか。
まあ、それは置いといて、とにかくラムレイの結婚についてだ。
結婚相手はもちろん……
オークである。
実は――なんとオーク。
愛に生きるモンスターだったのだ。
ゴブリンとはまた違った意味で、繁殖力が低い……それは一夫一妻制だからなんだって。
まるで鶏にでもなったかのうようにおかしな声を上げているラムレイは、俺が結婚したいって言ったと思ってるみたいだけど、もっと愛情深く……死ぬまで愛してくれる優しい旦那さんを見つけてきた。
ギギッと岩の扉がひらいて、ずしりと重い足音が響く。
いつもの土壁の部屋なのだが、これからここはオーク夫婦の愛の巣になる。だからあらかじめ、オークが住みやすいように環境を整えてあるのだ。地面にはふかふかの藁が敷いてある。
俺は優しい声色で、祝福の声をあげた。
「旦那さんだよ、ラムレイ」
「ヒェッ、お、オーク……!? な、なにが! なにが起きている!」
不自由な体勢のまま必死に身を捩ったラムレイが、その視界にオークを入れた瞬間青ざめて凍りついた。
俺はスカウトしに行ったときに数体と挨拶もしてるし、先日フェルトたちと一緒に第三階層を見に行ったときも見ていたから驚くこともない。
だけど、数いるオークの中でも二番目に強いオークの若者だ。
ちなみに一番強いオークのボスは既に子だくさんの妻帯者だったため、二番目に強いとされるオークがラムレイと番うことになった。
精力旺盛な若いやつにしてくれと言ったら、オーク社会の中で先日成人したばっかりだという、ボスの長男が出てきた。
彼らの言葉が通じるわけではないけど、ゴブリン同様、俺の言葉はわかるみたいだからそれで意思疎通はなってる。
「これがお前の嫁なんだけど、どうかな……好みとかある?」
ズシッズシッと歩きながら近づいてくるオークは3メートルくらいあって、近くで見ると大きな岩みたいだ。
ガタガタとそこだけ地震が起きてるみたいに震えているラムレイをじっと見下ろして……オークはゆっくりと力強く頷いた。
「大丈夫そう? 結構綺麗な嫁じゃない?」
「グゴ」
同意。よかった! ぱああっと輝かしい気持ちが広がっていく。
人生ではじめて、ほかの人間の結婚に立ち会えた……! なんつーか、ラムレイは性格に難ありだけど、オークからしてみたらちょっとツンデレぐらいのイメージだろう。キーキー喚いたとして、恥ずかしがりだなうちの嫁は♡ と、思ってくれる気がする。
オークがゆっくりとラムレイに近づいていくのを、仲人の気持ちでにこにこしながら見守る。
「あと、親父さんから聞いてると思うけど、悪いな……今後の繁殖の参考にしないといけないから、今日の交尾見せてもらうけど」
「グゴッ」
男前だ……! 若いとはいえ、さすがはボスの息子。受け答えに威厳がある。
初夜を邪魔するのは心苦しいけど、しかし――心躍る!
異世界ファンタジーしちゃうかんじが。
ワラの上にドスンと腰を下ろしたオークは、ひょいっと片手でラムレイを持ち上げると、胡座をかいた膝の上に乗せた。ラムレイが人形みたいに見えるなーと思っていたら、オークが腰に巻いていたぼろ布が盛り上がっていることに気がついた。
(まじで……あれ、ちんこ?)
棍棒みたいなのがチラチラと隙間から覗いている。
ラムレイは目を白黒させてそれを見ていた。さすがになんか説明してやんないとまずいかなと思って、一応言っとく。
「ラムレイ、このオークがお前の主人だからな。元気な子を産んでくれ」
ギギッと音でも出しそうな様子でゆっくりと振り返ったラムレイが、目を見開いたままふるふると力なく首を振った。
すでに涙も鼻水も流れていて、あははっと俺は声を上げて笑ってしまった。
これならきっと、愛してもらえると思う!
「き、貴様ッ……ここはどこだッ!」
「さあね」
後ろ手に縛られた状態で、地面に転がされたラムレイが叫んだ。
もちろん、魔法は使えないように回路を遮断してるし、精霊……とは精霊王に嫌われてるくらいだし契約していないだろうが、精霊の声も聞こえないようになってる。
後ろできりっと結ばれた金色の長い髪、見ただけで気の強さや傲慢さのわかる釣り上がった青い瞳。
こういう気の強い美人……を、組み敷いてなんにもわからないような快楽漬けにしちゃうのも、ちょっと燃えるけど。でも今回は――
(……俺は見学でーす)
俺が睡眠状態から解いた瞬間から、ラムレイは大声でキーキー叫び出した。
今から彼がされることを思うと、そんな声も全然気にならない! むしろ微笑ましいくらいで、ぞくぞくと体が震える。
(こいつは……みっともなく泣き叫んでくれるタイプ)
覚悟を決めてしまうレオみたいな男には屈辱を与えたくなるけど、こういう自分が偉いと信じて疑わないやつには……恐怖がいいと思うんだよ。ほわっとあたたかな気持ちが胸に広がる。
今から彼がされることを考えれば、こんな態度も前戯でしかないよね。
にこにこしていると、ラムレイが訝しげに俺のほうを見た。
「ふざけるなッ! 私を誰だと思って……ん? お前、美しい顔をしているな。泣いて許しを請うなら、男娼として雇ってやっても……」
それを聞いて、俺の笑みがぐっと深くなる。
そうそう、こういうタイプの男にはどこまでも愚かで、そして世界一偉くあってほしいものだな。
俺は珍しく優しい口調で言った。
「お前はさ、お前が馬鹿にしてたゴブリンに負けて、ダンジョンに取り込まれたんだ」
「――はあ?」
間抜けな声を出すラムレイを、ほかの冒険者と同じように扱ったり、鎖で縛ったりしていないのにはわけがある。
ゴブリンの繁殖用にするのが一番こいつにとって屈辱的かと思ったけど、貴族は魔力量が段違いだっていうから、違うモンスターの相手をしてもらうことになった。
「今からお前には、結婚してもらう」
「けェッ? ……はあ? ケッ結婚? お前、その格好は平民だろう。髪も忌々しい黒ではないか! つけ上がるなよ」
そう、黒色って忌み嫌われてるらしい。
そもそも黒髪はこの国にいないらしいっていうのと、平民でも黒に近い濃い色の髪だったりすると、差別対象になったりするんだとか。
まあ、それは置いといて、とにかくラムレイの結婚についてだ。
結婚相手はもちろん……
オークである。
実は――なんとオーク。
愛に生きるモンスターだったのだ。
ゴブリンとはまた違った意味で、繁殖力が低い……それは一夫一妻制だからなんだって。
まるで鶏にでもなったかのうようにおかしな声を上げているラムレイは、俺が結婚したいって言ったと思ってるみたいだけど、もっと愛情深く……死ぬまで愛してくれる優しい旦那さんを見つけてきた。
ギギッと岩の扉がひらいて、ずしりと重い足音が響く。
いつもの土壁の部屋なのだが、これからここはオーク夫婦の愛の巣になる。だからあらかじめ、オークが住みやすいように環境を整えてあるのだ。地面にはふかふかの藁が敷いてある。
俺は優しい声色で、祝福の声をあげた。
「旦那さんだよ、ラムレイ」
「ヒェッ、お、オーク……!? な、なにが! なにが起きている!」
不自由な体勢のまま必死に身を捩ったラムレイが、その視界にオークを入れた瞬間青ざめて凍りついた。
俺はスカウトしに行ったときに数体と挨拶もしてるし、先日フェルトたちと一緒に第三階層を見に行ったときも見ていたから驚くこともない。
だけど、数いるオークの中でも二番目に強いオークの若者だ。
ちなみに一番強いオークのボスは既に子だくさんの妻帯者だったため、二番目に強いとされるオークがラムレイと番うことになった。
精力旺盛な若いやつにしてくれと言ったら、オーク社会の中で先日成人したばっかりだという、ボスの長男が出てきた。
彼らの言葉が通じるわけではないけど、ゴブリン同様、俺の言葉はわかるみたいだからそれで意思疎通はなってる。
「これがお前の嫁なんだけど、どうかな……好みとかある?」
ズシッズシッと歩きながら近づいてくるオークは3メートルくらいあって、近くで見ると大きな岩みたいだ。
ガタガタとそこだけ地震が起きてるみたいに震えているラムレイをじっと見下ろして……オークはゆっくりと力強く頷いた。
「大丈夫そう? 結構綺麗な嫁じゃない?」
「グゴ」
同意。よかった! ぱああっと輝かしい気持ちが広がっていく。
人生ではじめて、ほかの人間の結婚に立ち会えた……! なんつーか、ラムレイは性格に難ありだけど、オークからしてみたらちょっとツンデレぐらいのイメージだろう。キーキー喚いたとして、恥ずかしがりだなうちの嫁は♡ と、思ってくれる気がする。
オークがゆっくりとラムレイに近づいていくのを、仲人の気持ちでにこにこしながら見守る。
「あと、親父さんから聞いてると思うけど、悪いな……今後の繁殖の参考にしないといけないから、今日の交尾見せてもらうけど」
「グゴッ」
男前だ……! 若いとはいえ、さすがはボスの息子。受け答えに威厳がある。
初夜を邪魔するのは心苦しいけど、しかし――心躍る!
異世界ファンタジーしちゃうかんじが。
ワラの上にドスンと腰を下ろしたオークは、ひょいっと片手でラムレイを持ち上げると、胡座をかいた膝の上に乗せた。ラムレイが人形みたいに見えるなーと思っていたら、オークが腰に巻いていたぼろ布が盛り上がっていることに気がついた。
(まじで……あれ、ちんこ?)
棍棒みたいなのがチラチラと隙間から覗いている。
ラムレイは目を白黒させてそれを見ていた。さすがになんか説明してやんないとまずいかなと思って、一応言っとく。
「ラムレイ、このオークがお前の主人だからな。元気な子を産んでくれ」
ギギッと音でも出しそうな様子でゆっくりと振り返ったラムレイが、目を見開いたままふるふると力なく首を振った。
すでに涙も鼻水も流れていて、あははっと俺は声を上げて笑ってしまった。
これならきっと、愛してもらえると思う!
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