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アックスの帰還 動き出す情勢
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アックスからはカルガーム領から帝都まで、どういう経緯を歩んで帰ってこられたのかを順を追って話が聞けた。
その内容は誰もが予想していなかったものであり、全員が驚きの表情を隠せない。
「……つー訳でよぉ。スラン以外にも迫る奴らからミニリスちゃんを守りつつ、ここまでなんとかたどり着けたんだよ」
「正直、アックスさんがいなければ帝都まで帰ってこられたかどうか……」
アックスたちから改めて、世界新創生神幻会とそこに所属する子どもたちについて話を聞く。どれも今まさに知りたかった情報だ。
帝国の諜報員であるダームが聖武国のブラハード領で怪しい施設を見つけたこと。そこに住んでいた魔法を使う子どもたち。
おそらく領主の独断で進んでいたと思わしき研究。
「詠者に駆者、それに顕者……。リーンハルトは顕者ミニリスの爆極剣ヴォルケインの使い手になった……か」
「はい。強力な武器ではありますが、万能ではありません。現に詠者であるスランには、まったく歯が立たなかった……」
疑似とはいえ、魔法に近しい力を振るえるようになったわけだ。だが強敵との戦いを経て、その力に飲み込まれることはなかったと見える。
……一つ修羅場を超えたようだな。以前よりも覚悟を決めた目つきをしている。
「んでよぉ。途中途中の街や、襲いかかってくる刺客たちにいろいろ話を聞いてよ。いつの間にか帝国と聖武国で、開戦間近だって聞いたもんだから、リスクをとって急いで帝都に帰って来たんだよ」
「本来の行程なら、フランメリア様が帝都に到着するまで余裕があったはずなのです。ですが予定を前倒しにして帝都に到着されたため、開戦の騒ぎになる前にこの情報を持ち帰れなかった……」
ここで俺たちはフランメリアに視線を向ける。フランメリアは少しばつの悪そうな顔をしていた。
「……たしかに本来の予定よりはやめたのは私の判断よ。帝都で確認しておきたかったことがあったから……」
「そうだ、ヴェルト。そちらさん方は?」
「ああ……」
そう言えばまだ紹介していなかったな。
アックスの登場は予想外だったが、フランメリアも話の流れから、アックスも元群狼武風だと気づいているようだ。
「私の名はフランメリア・フォルトガラム。国賓として帝都建国祭に招かれたフォルトガラム聖武国の第一王女よ」
「え……」
「ええぇ!?」
「まじか!?」
今度は俺たちからアックスに情報の共有を行う。
建国祭がはじまる前に、フランメリアたちになにが起こったのか。そこからどういう経緯を経て、黒狼会の拠点に身を寄せているのか。
それらを聞いたアックスたちは、だんだん表情を深刻なものにしていった。
「移動魔法を使う世界新創生神幻会の子どもねぇ……」
「大人しく帝国が用意していた行程に従って帝都に来ていれば、もう少し事態の進展を遅らせることもできたかもしれないけれど……」
「ああ、いや。俺たちが帝都に帰ったのは今日だし。結局建国祭には間に合っていなかったさ」
しかしヴィンチェスターの反乱時に戦ったベインと、一時的にせよ共闘したとはな。
どうやらルードなど、結社や閃刺鉄鷲の残党とは別行動していたようだが。俺はダームに視線を向ける。
「で、あんたは帝国の諜報員と。……俺たちのことはどこまで知っている?」
「……正直に言うが、ほとんどなにも知らない。帝都の裏社会と高位貴族に顔のきく謎の商会って認識だ。あんたたちのことは、上から調べる必要がないって通達がきているもんだからよ」
そういえばかなり昔に、劇場でディナルドと話した時。黒狼会への追求は禁じられているとか言っていたな。
話を聞くに騎士だけではなく、諜報機関にも通達されている上にまだ有効らしい。
アックスに視線を合わせるが、首を横に振る。どうやら俺たちのことはなにも話していないようだ。
(この場にはリーンハルトに巻き込まれた騎士であるビルツァイス、それにミニリスもいるが……)
ダームたちがこの場において、最重要人物であるのは紛れもない事実。
そして今は方針を定めるための時間も惜しい。ま、仕方ないか。
「ダームはこれから貴族街に入るのか?」
「ああ、そのつもりだ。上にいろいろ報告しなきゃいけないからな」
「その報告だが、少し待ってほしい」
「……というと?」
俺はクインの手紙を元に、今貴族たちの間でどういった意見が交わされているのかを話す。
話している内に、だんだん俺がなにを言いたいのか、わかってきた様子だった。
「この機に乗じてガラム島へ侵攻したい勢力もいるし、そこまでしなくとも戦い自体は肯定的な貴族が多い……か。なるほど。俺が上官に報告したら、その情報がどういう経路をたどって皇帝陛下に伝わるのかを警戒しているんだな」
「そうだ。わけのわからん策謀の上に用意された戦争など、俺たち黒狼会は認めないからな」
この情報を手にする貴族によっては、聖武国との開戦の理由に使えないかと考える者もいるだろう。
それにフランメリアがここに居ることを報告されても困る。
「ずいぶん勇ましいが。一商会がなぜ?」
「簡単だ。俺たちがかつてこの地で戦った群狼武風であり、黒狼会は団長の理想を今の世に叶えるべく設立した組織だからだ」
「…………え?」
さっさとダームもこっち側に引き込んで話した方がはやい。
それにここまで件の少女を連れてきたんだ。諜報員としての腕はともかく、心に甘さを持つ性格でもあるのだろう。
「それは……どういう……」
「そのままの意味だ。黒狼会の最高幹部は全員、かつて幻魔歴の時代に戦った群狼武風だ。いろいろあって、シャノーラ殿下よりこの時代に飛ばしてもらったんだよ」
この話にはリーンハルトたちも驚いていた。
俺は自分自身は新鋼歴の生まれであることを伏せつつ、フランメリアと同様の説明を行う。フランメリアも俺の話を補足しつつ、後押ししてくれた。
「ヴェルトの言うことは本当よ。私もその力を見たし、なにより群狼武風の聖剣砕きの名は、今もガラム島にも伝わっているもの」
「……なるほど。途中、アックスの兄ちゃんが何度か水を操る場面を見たが。あれも……」
「おう、魔法だぜ」
どうやらすでにアックスの魔法も見ていたらしい。ならいくらか話もはやい。
「まさか……ヴェルトさんが過去から来た群狼武風の戦士だったなんて……。でもたしかに、それならヴェルトさんのこれまでの強さにも納得ができます」
「俺たちの正体を知っているのは、ごく一部の者に限られる。もちろんウィックリン陛下は知っているし、なんならリーンハルトの父であるクインも知っている」
クインが俺の弟だというのは、いつかは話すにせよ今はその時ではない。今はもっと優先順位が高いものが多い。
「だがべつに帝国の一機関というわけではないし、俺たちは俺たちの信念と矜持を持ってこの黒狼会を運営している。そして今回の戦争はその矜持に大きく反している。……で、話は戻るんだが。なんとか他の貴族たちの目につかずにウィックリン陛下と話がしたい。できるか?」
黒狼会の信念やら矜持の説明まではしなくていいだろう。今は伝説の元傭兵たちがこの事態をなんとかしたいと考えている。その認識を与えられるだけで十分。
そして俺たちの正体は一部しか知らないのに、ダームもそれを言いふらすような迂闊な奴ではないだろう。
「……今は貴族街に入れないんだよな?」
「ああ」
「こういう事態に備えて、いくつか貴族街に入るルートは用意されている。フランメリア王女が通ってきた道もその一つだ。聖武国の間者に知られていたようじゃいろいろ見直さなきゃいけないが、今は置いておく。とりあえず諜報機関の責任者までは接触が可能だが……」
「そこからは難しい……か」
聞けばダームも生まれは平民だと言う。たまたまその才覚を買われて今の部署に配されたそうだ。
(家に格がない以上、強硬な手段で高位貴族には会えないか……。リーンハルトなら……いや。リーンハルトは騎士団で行方不明者リストに入っている可能性が高い。姿を見せれば、それはそれでべつの騒ぎになるか……?)
なるかもしれないし、ならないかも知れない。
騒ぎになったらなったで任務放棄の責任を追及され、弁明を待たずに牢に繋がれる可能性もある。そうなればウィックリンにコンタクトを取るとかいう話ではなくなる。
(……少々不安は残るが、やはりフィンに潜入して手紙を渡してもらうか。その場で目線合わせはできないが、情報を伝えるだけであればそれが一番確実だ)
だが具体的な方針を話し合うことはできないし、帝国と黒狼会で足並みをそろえるのも時間がかかる。
と言っても現状取れる手は少ないし、せっかく得た世界新創生神幻会の施設やブラハードという貴族の存在は優先して伝えておきたい。
「少しいいだろうか」
これまで聞き役に徹していた騎士、ビルツァイスが俺に視線を合わせてくる。
「どうした?」
「確認になって申し訳ないのだが。あなたたちはあの伝説の群狼武風。それは間違いないんだよな?」
「ああ。といっても、証拠はないが」
「……証拠はなくとも、世界新創生神幻会の魔法使いたちを圧倒できる実力があるのはたしか、か。それにシャノーラ殿下が、最後まで従ってくれた群狼武風の勇者6人を遥かな未来に飛ばしたという話は、俺も聞いたことがある。……わかった。今はあんたたちを信じるよ」
そう言うとビルツァイスは一歩前へと出た。
「貴族街では今、大変な事態が続いているんだろうけど。俺ならもしかしたらウィックリン陛下に会えるかもしれない」
「……ほう?」
「改めて名乗らせてくれ。俺の名はビルツァイス・グラスヴァン」
グラスヴァン……。覇乱轟のボスであるズオウの生まれ故郷だな。
たしかかなり昔、帝国に併合された王国だったか……。すると旧王族というわけか。
「でもグラスヴァンという名は母方のものでね。実は数年前まで俺はこう呼ばれていたんだよ。帝国の第八皇子、ビルツァイス・ゼルダンシアってね」
その内容は誰もが予想していなかったものであり、全員が驚きの表情を隠せない。
「……つー訳でよぉ。スラン以外にも迫る奴らからミニリスちゃんを守りつつ、ここまでなんとかたどり着けたんだよ」
「正直、アックスさんがいなければ帝都まで帰ってこられたかどうか……」
アックスたちから改めて、世界新創生神幻会とそこに所属する子どもたちについて話を聞く。どれも今まさに知りたかった情報だ。
帝国の諜報員であるダームが聖武国のブラハード領で怪しい施設を見つけたこと。そこに住んでいた魔法を使う子どもたち。
おそらく領主の独断で進んでいたと思わしき研究。
「詠者に駆者、それに顕者……。リーンハルトは顕者ミニリスの爆極剣ヴォルケインの使い手になった……か」
「はい。強力な武器ではありますが、万能ではありません。現に詠者であるスランには、まったく歯が立たなかった……」
疑似とはいえ、魔法に近しい力を振るえるようになったわけだ。だが強敵との戦いを経て、その力に飲み込まれることはなかったと見える。
……一つ修羅場を超えたようだな。以前よりも覚悟を決めた目つきをしている。
「んでよぉ。途中途中の街や、襲いかかってくる刺客たちにいろいろ話を聞いてよ。いつの間にか帝国と聖武国で、開戦間近だって聞いたもんだから、リスクをとって急いで帝都に帰って来たんだよ」
「本来の行程なら、フランメリア様が帝都に到着するまで余裕があったはずなのです。ですが予定を前倒しにして帝都に到着されたため、開戦の騒ぎになる前にこの情報を持ち帰れなかった……」
ここで俺たちはフランメリアに視線を向ける。フランメリアは少しばつの悪そうな顔をしていた。
「……たしかに本来の予定よりはやめたのは私の判断よ。帝都で確認しておきたかったことがあったから……」
「そうだ、ヴェルト。そちらさん方は?」
「ああ……」
そう言えばまだ紹介していなかったな。
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「私の名はフランメリア・フォルトガラム。国賓として帝都建国祭に招かれたフォルトガラム聖武国の第一王女よ」
「え……」
「ええぇ!?」
「まじか!?」
今度は俺たちからアックスに情報の共有を行う。
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それらを聞いたアックスたちは、だんだん表情を深刻なものにしていった。
「移動魔法を使う世界新創生神幻会の子どもねぇ……」
「大人しく帝国が用意していた行程に従って帝都に来ていれば、もう少し事態の進展を遅らせることもできたかもしれないけれど……」
「ああ、いや。俺たちが帝都に帰ったのは今日だし。結局建国祭には間に合っていなかったさ」
しかしヴィンチェスターの反乱時に戦ったベインと、一時的にせよ共闘したとはな。
どうやらルードなど、結社や閃刺鉄鷲の残党とは別行動していたようだが。俺はダームに視線を向ける。
「で、あんたは帝国の諜報員と。……俺たちのことはどこまで知っている?」
「……正直に言うが、ほとんどなにも知らない。帝都の裏社会と高位貴族に顔のきく謎の商会って認識だ。あんたたちのことは、上から調べる必要がないって通達がきているもんだからよ」
そういえばかなり昔に、劇場でディナルドと話した時。黒狼会への追求は禁じられているとか言っていたな。
話を聞くに騎士だけではなく、諜報機関にも通達されている上にまだ有効らしい。
アックスに視線を合わせるが、首を横に振る。どうやら俺たちのことはなにも話していないようだ。
(この場にはリーンハルトに巻き込まれた騎士であるビルツァイス、それにミニリスもいるが……)
ダームたちがこの場において、最重要人物であるのは紛れもない事実。
そして今は方針を定めるための時間も惜しい。ま、仕方ないか。
「ダームはこれから貴族街に入るのか?」
「ああ、そのつもりだ。上にいろいろ報告しなきゃいけないからな」
「その報告だが、少し待ってほしい」
「……というと?」
俺はクインの手紙を元に、今貴族たちの間でどういった意見が交わされているのかを話す。
話している内に、だんだん俺がなにを言いたいのか、わかってきた様子だった。
「この機に乗じてガラム島へ侵攻したい勢力もいるし、そこまでしなくとも戦い自体は肯定的な貴族が多い……か。なるほど。俺が上官に報告したら、その情報がどういう経路をたどって皇帝陛下に伝わるのかを警戒しているんだな」
「そうだ。わけのわからん策謀の上に用意された戦争など、俺たち黒狼会は認めないからな」
この情報を手にする貴族によっては、聖武国との開戦の理由に使えないかと考える者もいるだろう。
それにフランメリアがここに居ることを報告されても困る。
「ずいぶん勇ましいが。一商会がなぜ?」
「簡単だ。俺たちがかつてこの地で戦った群狼武風であり、黒狼会は団長の理想を今の世に叶えるべく設立した組織だからだ」
「…………え?」
さっさとダームもこっち側に引き込んで話した方がはやい。
それにここまで件の少女を連れてきたんだ。諜報員としての腕はともかく、心に甘さを持つ性格でもあるのだろう。
「それは……どういう……」
「そのままの意味だ。黒狼会の最高幹部は全員、かつて幻魔歴の時代に戦った群狼武風だ。いろいろあって、シャノーラ殿下よりこの時代に飛ばしてもらったんだよ」
この話にはリーンハルトたちも驚いていた。
俺は自分自身は新鋼歴の生まれであることを伏せつつ、フランメリアと同様の説明を行う。フランメリアも俺の話を補足しつつ、後押ししてくれた。
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「……なるほど。途中、アックスの兄ちゃんが何度か水を操る場面を見たが。あれも……」
「おう、魔法だぜ」
どうやらすでにアックスの魔法も見ていたらしい。ならいくらか話もはやい。
「まさか……ヴェルトさんが過去から来た群狼武風の戦士だったなんて……。でもたしかに、それならヴェルトさんのこれまでの強さにも納得ができます」
「俺たちの正体を知っているのは、ごく一部の者に限られる。もちろんウィックリン陛下は知っているし、なんならリーンハルトの父であるクインも知っている」
クインが俺の弟だというのは、いつかは話すにせよ今はその時ではない。今はもっと優先順位が高いものが多い。
「だがべつに帝国の一機関というわけではないし、俺たちは俺たちの信念と矜持を持ってこの黒狼会を運営している。そして今回の戦争はその矜持に大きく反している。……で、話は戻るんだが。なんとか他の貴族たちの目につかずにウィックリン陛下と話がしたい。できるか?」
黒狼会の信念やら矜持の説明まではしなくていいだろう。今は伝説の元傭兵たちがこの事態をなんとかしたいと考えている。その認識を与えられるだけで十分。
そして俺たちの正体は一部しか知らないのに、ダームもそれを言いふらすような迂闊な奴ではないだろう。
「……今は貴族街に入れないんだよな?」
「ああ」
「こういう事態に備えて、いくつか貴族街に入るルートは用意されている。フランメリア王女が通ってきた道もその一つだ。聖武国の間者に知られていたようじゃいろいろ見直さなきゃいけないが、今は置いておく。とりあえず諜報機関の責任者までは接触が可能だが……」
「そこからは難しい……か」
聞けばダームも生まれは平民だと言う。たまたまその才覚を買われて今の部署に配されたそうだ。
(家に格がない以上、強硬な手段で高位貴族には会えないか……。リーンハルトなら……いや。リーンハルトは騎士団で行方不明者リストに入っている可能性が高い。姿を見せれば、それはそれでべつの騒ぎになるか……?)
なるかもしれないし、ならないかも知れない。
騒ぎになったらなったで任務放棄の責任を追及され、弁明を待たずに牢に繋がれる可能性もある。そうなればウィックリンにコンタクトを取るとかいう話ではなくなる。
(……少々不安は残るが、やはりフィンに潜入して手紙を渡してもらうか。その場で目線合わせはできないが、情報を伝えるだけであればそれが一番確実だ)
だが具体的な方針を話し合うことはできないし、帝国と黒狼会で足並みをそろえるのも時間がかかる。
と言っても現状取れる手は少ないし、せっかく得た世界新創生神幻会の施設やブラハードという貴族の存在は優先して伝えておきたい。
「少しいいだろうか」
これまで聞き役に徹していた騎士、ビルツァイスが俺に視線を合わせてくる。
「どうした?」
「確認になって申し訳ないのだが。あなたたちはあの伝説の群狼武風。それは間違いないんだよな?」
「ああ。といっても、証拠はないが」
「……証拠はなくとも、世界新創生神幻会の魔法使いたちを圧倒できる実力があるのはたしか、か。それにシャノーラ殿下が、最後まで従ってくれた群狼武風の勇者6人を遥かな未来に飛ばしたという話は、俺も聞いたことがある。……わかった。今はあんたたちを信じるよ」
そう言うとビルツァイスは一歩前へと出た。
「貴族街では今、大変な事態が続いているんだろうけど。俺ならもしかしたらウィックリン陛下に会えるかもしれない」
「……ほう?」
「改めて名乗らせてくれ。俺の名はビルツァイス・グラスヴァン」
グラスヴァン……。覇乱轟のボスであるズオウの生まれ故郷だな。
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