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矜持
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大輔な意外な言葉に、村上は驚いた様子で顔を上げた。
「富田、お前もわかっている筈だ。
水谷の体はとっくに限界を迎えているという事を。
このままいけば壊れてしまうと、お前もすごく心配して、事あるごとに俺に進言してきていたじゃないか。」
「はい。たしかにそうでした。
ですが、今はもう違います。
ここまできたら、水谷を先発させて、行けるところまで投げさせて下さい。
もしかしたら監督が言っていたように故障してしまうかもしれません。
そうなったときには、俺も責任とって野球を辞めます。」
「おい、バカ言うな。
冷静な目で見て、お前は秋のドラフトに間違いなくかかる逸材だ。
こんな事で人生を棒に振るような事を言うな。」
「いえ、自分の夢は水谷ともう一度野球をやることでした。
プロの事なんて全く考えていません。
水谷に投げさせて下さい。」
「監督、僕からもお願いします。」
横から岸も口を挟んできた。
「僕は疲れもありませんし、自分的には調子も良いと思っています。
ですが、ここまで、一度も抑えていません。
全ての試合で打ち込まれています。
僕は同じ立ち位置で話ができる人間じゃないんです。
水谷が投げて負けるんだったら皆も納得しますが、僕が投げて負けるんだったら誰も納得しないでしょう。
水谷さんに先発をお願いしたいです。」
岸の悲しい本音であった。
選ばれし者である富田と水谷に対し
選ばれるどころか、その他多勢にも入れない自分とでは、その立ち位置に数万光年の開きがある。
これは何をしても埋め難く、認めざるを得ない残酷な事実であった。
村上は三人の話を聞き、肚を決めた。
「わかった。
お前達がそう言うなら、俺も覚悟を決めたよ。
ただし!」
「…」
村上の次の言葉を待つ三人…
「水谷を先発にするが、マダックスを条件とする。」
「マダックス?」
無知な三人は聞き慣れない言葉に、さっぱり意味がわからないようであった。
「マダックスとは、100球以内で完封勝利を挙げる事を指す。
それが出来るなら水谷に託してもいい。
三回35球以内
六回70球以内
そして、九回100球以内
これがクリア出来なかったら、どんな場面であろうとも水谷を即座に降板させる。
いいな!」
「はいっ」
どんな条件が付こうとも、投げられるだけ前進したという事で、三人は納得して監督室から出て行った。
(まあ、投げさせても投げさせなくても地獄には違いないし、これが最善の策かもしれんな)
村上はそのような事を考えながら、天を仰いだ。
「富田、お前もわかっている筈だ。
水谷の体はとっくに限界を迎えているという事を。
このままいけば壊れてしまうと、お前もすごく心配して、事あるごとに俺に進言してきていたじゃないか。」
「はい。たしかにそうでした。
ですが、今はもう違います。
ここまできたら、水谷を先発させて、行けるところまで投げさせて下さい。
もしかしたら監督が言っていたように故障してしまうかもしれません。
そうなったときには、俺も責任とって野球を辞めます。」
「おい、バカ言うな。
冷静な目で見て、お前は秋のドラフトに間違いなくかかる逸材だ。
こんな事で人生を棒に振るような事を言うな。」
「いえ、自分の夢は水谷ともう一度野球をやることでした。
プロの事なんて全く考えていません。
水谷に投げさせて下さい。」
「監督、僕からもお願いします。」
横から岸も口を挟んできた。
「僕は疲れもありませんし、自分的には調子も良いと思っています。
ですが、ここまで、一度も抑えていません。
全ての試合で打ち込まれています。
僕は同じ立ち位置で話ができる人間じゃないんです。
水谷が投げて負けるんだったら皆も納得しますが、僕が投げて負けるんだったら誰も納得しないでしょう。
水谷さんに先発をお願いしたいです。」
岸の悲しい本音であった。
選ばれし者である富田と水谷に対し
選ばれるどころか、その他多勢にも入れない自分とでは、その立ち位置に数万光年の開きがある。
これは何をしても埋め難く、認めざるを得ない残酷な事実であった。
村上は三人の話を聞き、肚を決めた。
「わかった。
お前達がそう言うなら、俺も覚悟を決めたよ。
ただし!」
「…」
村上の次の言葉を待つ三人…
「水谷を先発にするが、マダックスを条件とする。」
「マダックス?」
無知な三人は聞き慣れない言葉に、さっぱり意味がわからないようであった。
「マダックスとは、100球以内で完封勝利を挙げる事を指す。
それが出来るなら水谷に託してもいい。
三回35球以内
六回70球以内
そして、九回100球以内
これがクリア出来なかったら、どんな場面であろうとも水谷を即座に降板させる。
いいな!」
「はいっ」
どんな条件が付こうとも、投げられるだけ前進したという事で、三人は納得して監督室から出て行った。
(まあ、投げさせても投げさせなくても地獄には違いないし、これが最善の策かもしれんな)
村上はそのような事を考えながら、天を仰いだ。
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