オレ、母になる

フロイライン

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誘惑

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「失礼ですが、あなたのその姿を見るに、女性になりたいがなれない事に、苛立ちというか落胆して人生を送っているように思えるんですが、違いますか?」


高山の言葉に、ムッとするかと思いきや、祐希は、すんなり頷いた。



「おっしゃる通りです。


こんな姿で暮らしていますが、所詮は男が女装しているだけにすぎません。

本物の女性になれたらどれだけ嬉しいか…

こんな卑屈な気持ちにならずに済むのに

なんて思う事も多々あります。」



「正直にお話しいただきありがとうございます。

これは、あくまでも提案という形なので、強制ではありません。

滝川さん

このプロジェクトの被験者になりませんか?」



「えっ」



「高山先生

それは…」


田子浦も、聞いていなかったとばかりに、慌てた様子で高山の方を見た。


田子浦は、励ますつもりで高山の話を祐希に聞いてもらうつもりだったのが、まさか被験者云々の話が出るとは思ってもみなかったのだった。



「田子浦教授

既に技術的には完璧に確立されております。

滝川さんの悩みを解決できる材料をここに提供出来ると、私は自信を持って言えます。」



そう言い切る高山に、田子浦は戸惑いの表情を見せ、祐希の方を見たが、当の本人はというと…
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