オレ、母になる

ニューハーフの帰還

翌日、祐希は早起きをして、化粧、服選びに時間をかけ、ようやくキメると、家を出て実家に向かった。


「あーっ、憂鬱だあ」


道に誰もいないのをいい事に、祐希は思いっきり独り言を発してしまった。


一応、母親にはメールを送った。

そして、自分が女として生きているという内容の文も続けて送ったが、返信を見るかぎり、イマイチ理解できていないようだった。

つまり、それは、心の準備が出来ていない親に会わなければならないということになる。


親に見られたくないという気持ちと、真希を心配する気持ちでは、やはり、真希を心配する気持ちが勝っており、ここは心を強く持って帰ろうと思った。




そして…

ついに…


祐希は、両親の前にその全容を見せつけたのであった。


もちろん、タダで済むわけもなく…



絶句

驚嘆

怒り

叱責


母は、それらの感情を順番に祐希にぶつけてきた。



「あの、真希はいるの？

どうなの？」


祐希は、両親の叱責にも負けず、ここに来た理由である、真希の状況を聞こうとしたが、母は聞く耳を持たず…


「そんな事より、祐希

あんた、どういうことなのよ！

なんでそんな事になってんの！？」


祐希への質問が続いた。


「ワタシのことはいいの。

真希に会わせてよ！」


「ワタシって…」


甲高くなった声で、さらに口調まで変わってしまった祐希に、母は愕然とした。