Dad, save me

フロイライン

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Logic

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「昴くん

私は二つの画期的な発明をした。

一つは、物質を信号化し、光速で移動させる事を可能にした事。


もう一つはこれだ。」


山中教授は、さっきスイッチを入れた機械を俺に見せた。

大きさ、形ともに、スライドプロジェクターみたいなやつで、思ってたよりコンパクトなものだった。


「これは?」


「人工的に作り出したワームホールだよ。」


「ワームホール?」


「この機械の中がワームホールと同じ状態になっている。

理論上では、光より速く動く事が出来、タイムマシンのような働きをするとされる。

これを時空の旅の到着点にしたい場所に持っていき、物質を信号化したものを送ると、時間の壁を越えることが出来る…

筈だ。」



「筈?

まだ、実験をされた事は?」


「勿論あるよ。
過去や未来に、物や生き物を送り込んでみた。」


「成功したんですか?」


「成功した…
と、思いたいが、その実はわかっていない。

何故なら、さっきも話したが、ここにある物が時空を超えた時点で、それが私の私物であっても、どれだけ思い入れのあるものでも、私の記憶から消え去るのだ。

たとえば、この万年筆は、私のお気に入りなんだがね。
これをタイムマシンで過去や未来に送ったとしよう。

その時点で、この万年筆の記憶は私から消え、過去に父からプレゼントされた時の思い出などと共に、一瞬にして消えてなくなってしまうのだよ。
つまり、存在した事実が無くなるってわけだ。

私も実験に使用した物については、予めビデオで撮っておいて、後から見て認識しようとしているのだが…

後からビデオを見返しても、物自体は映像から消えてしまっているんだ。

だから、何を送ったかも定かではない。」


「なるほど…
別の世界線に飛んでいったから、成功したかどうかがわからないってわけですね。」


「そういうことだ。

つまり、実験が成功したかしていないかは、その証拠がないので、予測値で話すしかないんだよ。


さて、どうするかね?」


「それは、勿論やりますよ。
やるしか自分には道がないのですから。」


「よろしい。

それでは、私の自宅に移動するとしよう。」



山中教授は、機械をバラして準備を始めた。




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