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再会
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ニューハーフヘルスに休みをもらって、もう一度昼間の仕事を探す智だったが、採用に繋がるような企業は一つもなかった。
それでもめげずに探し続け、ニューハーフヘルスの方は、もう退店してもいいかなと思い始めた頃、たまには気分転換も必要だと、買い物に出かける準備をしていた。
シャワーを浴び、メイクとヘアーセットを念入りに行い、着る服を選んでいると、いきなり携帯が鳴った。
男時代に関わった人とは身内と地元の友人を除いて、全て関係を断っていたので、電話がかかることなどそうそうない。
智は恐る恐る画面を覗き込んだ。
「えっ」
発信者は奈々だった。
智の元妻であった、奈々がかけてきたのだ。
一瞬どうしようかと悩んだが、智は意を決して電話に出た。
忘れかけていた男声を思い出しながら
「もしもし」
智が言うと、向こうも
「あ、もしもし」
と返してきた。
三年振りだったが、まぎれもなく奈々の声だった。
「久しぶりだね、どうしたの?」
智が言うと、奈々は電話の向こうで言いにくそうに言葉を選びながら話し始めた。
「うん、久しぶり。ごめんね、急に」
「いや、全然かまわないけど、何かあった?」
「ちょっと話があって。今日会えないかな」
突然の事に智は戸惑いの色を隠せなかった。
別に元嫁に会う事についてはどうということもない。
こっちは再婚もしていないし恋人もいない。
それと、不貞をはたらいたのは奈々だったが、遠因は自分にあり責めるつもりも毛頭ない。慰謝料を払ってもいいとさえ思っていた。だから、いつの日か会ってちゃんと償いをしたいとも考えていたのだ。
しかし、ニューハーフになってしまったこの状況で、奈々と会うのはあまりにも厳しい。
だが、奈々の言葉の端々に何か元気のなさを感じ、ただならぬ雰囲気を察知した智は、意を決して会う事にした。
また、姉にしたようにカミングアウトから入らないといけないのは面倒極まりないが。
それでもめげずに探し続け、ニューハーフヘルスの方は、もう退店してもいいかなと思い始めた頃、たまには気分転換も必要だと、買い物に出かける準備をしていた。
シャワーを浴び、メイクとヘアーセットを念入りに行い、着る服を選んでいると、いきなり携帯が鳴った。
男時代に関わった人とは身内と地元の友人を除いて、全て関係を断っていたので、電話がかかることなどそうそうない。
智は恐る恐る画面を覗き込んだ。
「えっ」
発信者は奈々だった。
智の元妻であった、奈々がかけてきたのだ。
一瞬どうしようかと悩んだが、智は意を決して電話に出た。
忘れかけていた男声を思い出しながら
「もしもし」
智が言うと、向こうも
「あ、もしもし」
と返してきた。
三年振りだったが、まぎれもなく奈々の声だった。
「久しぶりだね、どうしたの?」
智が言うと、奈々は電話の向こうで言いにくそうに言葉を選びながら話し始めた。
「うん、久しぶり。ごめんね、急に」
「いや、全然かまわないけど、何かあった?」
「ちょっと話があって。今日会えないかな」
突然の事に智は戸惑いの色を隠せなかった。
別に元嫁に会う事についてはどうということもない。
こっちは再婚もしていないし恋人もいない。
それと、不貞をはたらいたのは奈々だったが、遠因は自分にあり責めるつもりも毛頭ない。慰謝料を払ってもいいとさえ思っていた。だから、いつの日か会ってちゃんと償いをしたいとも考えていたのだ。
しかし、ニューハーフになってしまったこの状況で、奈々と会うのはあまりにも厳しい。
だが、奈々の言葉の端々に何か元気のなさを感じ、ただならぬ雰囲気を察知した智は、意を決して会う事にした。
また、姉にしたようにカミングアウトから入らないといけないのは面倒極まりないが。
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