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急転
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ミサトが駆け降りてきた。
一階で練習をしていた選手たちは、珀が一緒ではなく、ミサトが一人で降りてきたことに、何事かと、思わず注目した。
ミサトは一目散に、リング下で後輩レスラーのスパーリングを見守るミカのところに来て
「ミカさん!
珀クンがウチに入るそうです!」
と、興奮気味に言った。
「何、ソレはホント?
よくやった!ミサト!
ちょっと珀クンをワタシのところに呼んできて。」
「はい!」
ミサトは大きな声で返事をして一礼すると、また二階に上がっていった。
「キョウコ、社長に電話しといてくれる?
例の子がウチへの入団を決心したって。」
「はい、わかりました。」
ミサトより少しだけ先輩の練習生、キョウコは、ミカの指示に従い、事務所に電話をかけに行った。
ミカは椅子を二つ置き、その一つに腰掛けた。
「珀クン
今、ミカさんに言ってきたよ。
珀クンがウチに入ってくれるって」
「あ、うん…」
「どうしたの?」
「なんか、あんまり自信なくて。
ワタシがニューハーフレスラーとしてやっていけるか…
不安しかないわ。」
「そんな事ないよ。
そういう言葉遣いしてて、そのビジュアルだったら、今すぐにでも通用する気がするよ。ワタシが保証するわ。」
「そうかなあ。」
「とにかく、ミカさんが待ってるから、下に行こ。」
「うん。」
珀は、ミサトに連れられて、リング下の丸椅子に座るミカのところに来た。
「珀クン
どうぞ、こちらへ」
ミカはニコニコしながら、自分の前の椅子に座るように言った。
「失礼します」
珀は、一礼して腰掛けた。
「まずは、よく決断してくれたね。
本当にありがとう。」
「いえ…
全然自信がないんですけど、精一杯頑張ります。」
「うんうん。
詳しい事は社長が来てからになるけど、とりあえずは、名前ね。」
「名前、ですか?」
「そう、リングネーム。
ワタシらは普段もその名前を使ってるけどね。
ここだけの話、ワタシの本名は大地なのよ。
佐倉大地。」
「え、そうなんですか。」
「あなたはどんな名前がいいかな?
何か希望ある?」
「実は、ワタシ
乃木坂の山下美月ちゃんが好きで、出来たら美月にしてもらえたら」
「あー、いいんじゃない!
美月ね。
苗字は何だっけ?」
「桐生です。」
「桐生美月かあ
なんか強そうでいいわ。
それでいきましょ」
この時点から、珀はその名を捨て、美月となった。
「じゃあ、これから美月って呼ぶね。」
「あ、えっと、はい…」
「美月は、実家住み?」
「いえ、一人暮らしをしてます。」
「だったら、ここの寮に来なよ。
家賃、食費はタダだし、練習生の間は給料らしい給料はもらえないけど、バイトしなくてもやってはいけるわよ」
美月にとって、これが一番ありがたい申し出だった。
コンビニバイトのみでの東京での一人暮らしは、家賃の支払いだけで、そのほとんどが出ていってしまい、非常にきつかったから…
一階で練習をしていた選手たちは、珀が一緒ではなく、ミサトが一人で降りてきたことに、何事かと、思わず注目した。
ミサトは一目散に、リング下で後輩レスラーのスパーリングを見守るミカのところに来て
「ミカさん!
珀クンがウチに入るそうです!」
と、興奮気味に言った。
「何、ソレはホント?
よくやった!ミサト!
ちょっと珀クンをワタシのところに呼んできて。」
「はい!」
ミサトは大きな声で返事をして一礼すると、また二階に上がっていった。
「キョウコ、社長に電話しといてくれる?
例の子がウチへの入団を決心したって。」
「はい、わかりました。」
ミサトより少しだけ先輩の練習生、キョウコは、ミカの指示に従い、事務所に電話をかけに行った。
ミカは椅子を二つ置き、その一つに腰掛けた。
「珀クン
今、ミカさんに言ってきたよ。
珀クンがウチに入ってくれるって」
「あ、うん…」
「どうしたの?」
「なんか、あんまり自信なくて。
ワタシがニューハーフレスラーとしてやっていけるか…
不安しかないわ。」
「そんな事ないよ。
そういう言葉遣いしてて、そのビジュアルだったら、今すぐにでも通用する気がするよ。ワタシが保証するわ。」
「そうかなあ。」
「とにかく、ミカさんが待ってるから、下に行こ。」
「うん。」
珀は、ミサトに連れられて、リング下の丸椅子に座るミカのところに来た。
「珀クン
どうぞ、こちらへ」
ミカはニコニコしながら、自分の前の椅子に座るように言った。
「失礼します」
珀は、一礼して腰掛けた。
「まずは、よく決断してくれたね。
本当にありがとう。」
「いえ…
全然自信がないんですけど、精一杯頑張ります。」
「うんうん。
詳しい事は社長が来てからになるけど、とりあえずは、名前ね。」
「名前、ですか?」
「そう、リングネーム。
ワタシらは普段もその名前を使ってるけどね。
ここだけの話、ワタシの本名は大地なのよ。
佐倉大地。」
「え、そうなんですか。」
「あなたはどんな名前がいいかな?
何か希望ある?」
「実は、ワタシ
乃木坂の山下美月ちゃんが好きで、出来たら美月にしてもらえたら」
「あー、いいんじゃない!
美月ね。
苗字は何だっけ?」
「桐生です。」
「桐生美月かあ
なんか強そうでいいわ。
それでいきましょ」
この時点から、珀はその名を捨て、美月となった。
「じゃあ、これから美月って呼ぶね。」
「あ、えっと、はい…」
「美月は、実家住み?」
「いえ、一人暮らしをしてます。」
「だったら、ここの寮に来なよ。
家賃、食費はタダだし、練習生の間は給料らしい給料はもらえないけど、バイトしなくてもやってはいけるわよ」
美月にとって、これが一番ありがたい申し出だった。
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