55 / 190
negotiator
しおりを挟む
ミカが少し離れたところで見守る中、出てきた母、裕美と志村の話が始まっていた。
「ケンジ君
どうしたの?」
「すいません、突然…
お話がありまして」
「えっ?」
いきなりの訪問に面食らう裕美だったが、志村はかまわず話を続けた。
「今日、佳紀君がこちらに帰ってくると聞いたもので。」
「あ、そうなのよ。
ケンジ君にも連絡してきた?
それが、まだ帰ってきてないのよ。」
「いえ、先ほど佳紀君と会いました。」
「えっ、そうなの?
あの子、どこ寄り道してんのかしら。」
「違うんです。
実は佳紀君に会ったときに…
先に僕がこちらに伺って…
えっと、何ていうか…お話がありまして。」
「えっ、なになに?
どうしたのよ、ケンジ君」
「あの…
佳紀君が女性…
っていうか、ニューハーフになってて…」
「えっ?」
「いきなり帰ってきたら、お母さんがビックリするだろうから、先ずは僕が事情を説明しようと思いまして…」
「えっ、わかんない。
どういうこと?」
「もういいよ、ありがとう…ケンジ」
ここで、ミカがたまらず出てきて、志村と母の前に立った。
「…」
「お母さん
黙っててごめん、
ワタシ、性転換手術受けて女として暮らしてます、今。」
「えっ…
アンタ…
佳紀?」
「そう。」
「どういうこと?
手術って?」
「あの…
アソコもタイで手術して取っちゃったの。」
「…」
裕美が絶句する中、志村がミカに向かって小さな声で
「佳紀…
じゃあ、俺、この辺で失礼するわ。」
と、告げた。
ミカは申し訳なさげに、両手を合わせて謝意を述べた。
「ごめんね、ケンジ
また連絡するからね。
ありがとう。」
ミカは、家に入り、あらためて今日に至るまでの話を母にした。
「じゃあ、性転換手術して下も切っちゃったってわけなの?」
「うん。そうだよ…」
「そんな体になって、東京で何してんのよ?」
「今、プロレスラーなのよ、ワタシ」
「ワタシ…って…」
プロレスラーというワードより、ワタシというミカの一人称が引っ掛かる裕美であった。
「ニューハーフだけのプロレス団体を旗揚げするって方とたまたま出会って、そこの第一号のレスラー候補生として入団させてもらったの。
性転換手術した後が結構大変で、長い間動けなかったし、レスラーもなかなか集まんなかったから、まだデビューっていうか、旗揚げも出来てないんだけど…これから本腰入れて頑張っていくつもりよ。」
「ちょっと、まだ動揺してて、何も言葉が出てこないわ。」
「でも、お母さん
ワタシがこんな風になるって思ってなかった?
子供の時とか、他の子と違ったでしょ?」
「たしかに、幼稚園くらいのときは女の子とばっか遊んでたし、お人形とか好きだったけど、野球を始めてからは、そんなの全然わかんなかったし…」
「そっか…
お母さんには、ちゃんと隠し通せてたんだね。
ワタシもなかなかやるわ。」
ミカは、そう言って苦笑いを浮かべた。
「ケンジ君
どうしたの?」
「すいません、突然…
お話がありまして」
「えっ?」
いきなりの訪問に面食らう裕美だったが、志村はかまわず話を続けた。
「今日、佳紀君がこちらに帰ってくると聞いたもので。」
「あ、そうなのよ。
ケンジ君にも連絡してきた?
それが、まだ帰ってきてないのよ。」
「いえ、先ほど佳紀君と会いました。」
「えっ、そうなの?
あの子、どこ寄り道してんのかしら。」
「違うんです。
実は佳紀君に会ったときに…
先に僕がこちらに伺って…
えっと、何ていうか…お話がありまして。」
「えっ、なになに?
どうしたのよ、ケンジ君」
「あの…
佳紀君が女性…
っていうか、ニューハーフになってて…」
「えっ?」
「いきなり帰ってきたら、お母さんがビックリするだろうから、先ずは僕が事情を説明しようと思いまして…」
「えっ、わかんない。
どういうこと?」
「もういいよ、ありがとう…ケンジ」
ここで、ミカがたまらず出てきて、志村と母の前に立った。
「…」
「お母さん
黙っててごめん、
ワタシ、性転換手術受けて女として暮らしてます、今。」
「えっ…
アンタ…
佳紀?」
「そう。」
「どういうこと?
手術って?」
「あの…
アソコもタイで手術して取っちゃったの。」
「…」
裕美が絶句する中、志村がミカに向かって小さな声で
「佳紀…
じゃあ、俺、この辺で失礼するわ。」
と、告げた。
ミカは申し訳なさげに、両手を合わせて謝意を述べた。
「ごめんね、ケンジ
また連絡するからね。
ありがとう。」
ミカは、家に入り、あらためて今日に至るまでの話を母にした。
「じゃあ、性転換手術して下も切っちゃったってわけなの?」
「うん。そうだよ…」
「そんな体になって、東京で何してんのよ?」
「今、プロレスラーなのよ、ワタシ」
「ワタシ…って…」
プロレスラーというワードより、ワタシというミカの一人称が引っ掛かる裕美であった。
「ニューハーフだけのプロレス団体を旗揚げするって方とたまたま出会って、そこの第一号のレスラー候補生として入団させてもらったの。
性転換手術した後が結構大変で、長い間動けなかったし、レスラーもなかなか集まんなかったから、まだデビューっていうか、旗揚げも出来てないんだけど…これから本腰入れて頑張っていくつもりよ。」
「ちょっと、まだ動揺してて、何も言葉が出てこないわ。」
「でも、お母さん
ワタシがこんな風になるって思ってなかった?
子供の時とか、他の子と違ったでしょ?」
「たしかに、幼稚園くらいのときは女の子とばっか遊んでたし、お人形とか好きだったけど、野球を始めてからは、そんなの全然わかんなかったし…」
「そっか…
お母さんには、ちゃんと隠し通せてたんだね。
ワタシもなかなかやるわ。」
ミカは、そう言って苦笑いを浮かべた。
6
あなたにおすすめの小説
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる