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フロイライン

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respectability

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ミカは性転換して、初めて実家に帰ってきて、母にありのままの自分の姿、そして気持ちを説明した。

ミカの現在地とこれからについても素直に話し、母がそれに対してどのような反応を示しても、それはそれで受け入れようと考えていた。

後は、目の前の母が何と言うか…


しかし…


「佳紀、あなたの言い分というか、気持ちについてはよくわかったわ。

私はその辺のことに疎いけど、小さい時に気付いてやれなかったことは申し訳なかったと思う。

でも、私は受け入れる事が出来ないわ。」


母は、ミカの生き方を認めないという事を、ハッキリと伝えたのだった。


「佳紀

多分、お父さんが生きていたら、私と同じ事を言ったと思う。

古いって思うかもしれないけど、お父さんがあなたを認めないって事は私が断言できる。」


ミカは、母の口から出てくるキツイ言葉を黙って聞いていたが、少し間を置いて口を開いた。


「お母さん、正直に言ってくれてありがとう。

ワタシもお父さんの性格はよく知ってるし、親戚のおじさんや従兄弟達にワタシを見せられないっていうお母さんの気持ちもすごくわかるの。

今日帰ってきたのも、どっちに転んでもおかしくないって思ってたから…

今の言葉は、ちゃんと受け入れるわ。」


「…」


「お母さんに自分がこうなった事をちゃんと話したいって思ってたんだけど、なかなか決心がつかなくて、この機会を利用させてもらっただけなの。

それじゃあ、帰るね。」


ミカは、サバサバとした表情でそう言い、立ち上がった。

そして、ボストンバックを肩からかけると、一礼して部屋を出ていった。

裕美も一緒に立ち上がろうとしたが、思い留まり、後を追うことはなかった。

ミカがドアを開けて出ていく音が耳に入ってくると、裕美は机に突っ伏して泣いた。

夫を早くに亡くし、女手一つでミカを育て、家庭を、そして、生活を守ってきた。

夫が生きていたら、こう言ったであろうという言葉も、口に出してきた。

だから、こうするしかなかったのだ…




ミカは失意のまま、東京に戻るべく、駅までの道を肩を落として歩いた。


「佳紀」


そんな彼女を後ろから呼び止めたのは…


「ケンジ…」


心配で、家の近くで待機していた志村だった。


「ダメだったのか?」


「うん」


「…」


「ウチのお父さん、病気になってから洗礼を受けたの。」


「えっ、そうだったの?」


「ワタシもお母さんもカトリックでも何でもないんだけど、お父さんだけはね…

信仰上、ワタシのような人間は受け入れる事ができないのよ。

お母さんも、その事が頭にあるから認めてくれなかったんだと思う…」

ミカは、寂しそうな笑みを浮かべながら呟いた。
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