N -Revolution

フロイライン

文字の大きさ
57 / 190

血脈

しおりを挟む
「ミカちゃん!」


サオリに名前を呼ばれて、ミカはハッとした。


「入場の時間よ。」


「うん。」


ミカは立ち上がり、控え室を出た。

この九州での試合も、いよいよメインのミカと熊子の試合を残すのみで、八割方埋まった試合会場のボルテージも高まってきていた。


既に試合を終えたサオリとエミリ、ルイを伴ってミカが姿を現し、リングに向かって歩き出した。

登場曲に採用しているのは、いつものようにミカお気に入りのTommy februaryの曲だ。

そして、リングに颯爽と入ると、上衣を脱ぎ、ゴールドと赤のビキニタイプのリングコスチュームを披露し、両手を高々と挙げ、深々と頭を下げた。

これがミカの入場スタイルだ。


対戦相手の熊子は、既に入場を終え、反対側のコーナーにもたれかかりながら、ミカを凝視している。


超ベビーフェイスのミカに対して、超ヒールの熊子という構図となっており、会場を大いに盛り上げた。

ミカは、身長173センチ 体重62キロと、女子プロレスラーの中に入ると、高身長の部類に入るが、体重は逆に少なかった。
いくらニューハーフになって皮下脂肪が増えたとはいえ、本物の女子と比べるとそこまでではなく、全体的に華奢なイメージを与えた。

対する熊子は、身長182センチ 体重120キロと、ニューハーフのプロレスラーとしては規格外で、一応女性レスラーと同じような赤のリンコス姿だったが、フツーのオッサンがスクール水着を着ているようにしか見えず、全てがミカとは対照的であった。


「ミカ姉、気をつけて下さい。

ブックなしだから、熊子は開始早々一気に潰しに来ます。」

男子時代に熊子と一緒の団体にいたエミリがミカに耳打ちすると

「うん。ありがとう…」

と、ミカは冷静な口調で熊子を見つめながら言った。

ミサトもTシャツとジャージ姿でリング下から緊張気味に、手を握りしめてミカを見つめていた。

観客席には、友谷久美子社長やスタッフが陣取り、ミサトと同じような表情をしている。

大きな緊張感


焦燥感


高揚感


それらが混ざり、会場は異様な空気に包まれていた。


選手紹介が終わり、それぞれのコーナーに戻ると、リング上はミカと熊子

そしてレフェリーだけが残された。


高い集中力を保ちながら、熊子と睨み合うミカの耳に、ゴングの音が飛び込んできた。


ついに、試合が開始された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...