67 / 190
柔よく剛を制す
しおりを挟む
「サオリ、サンボって柔道みたいな技もあるんだね。」
アキは、リング上で完璧な寝技を披露するミカを見つめながら言った。
「うん。
サンボの歴史って結構浅くて、軍隊用の格闘術として二十世紀前半に出来たの。
だから、世界各国の武術を取り入れてて、当然日本の柔道もかなり取り入れられてるのよ。」
サオリは、そう説明し、ミカに声援を送った。
ミカの飛びつき腕十字は、完全に極まり、体格差とパワーの差がある熊子でも、脱出は容易ではなかった。
「熊子、タップしろよ。
このままだと、腕イッちゃうよ。」
ミカが声をかけると
「うるせえ!」
熊子は、鬼の形相で言い、再び体を起こそうとした。
「恨むなよ。」
そんな熊子を見つめつつ、ミカはそう呟くと、渾身の力を込めて、熊子の腕を極めたまま、思いっきり体を逸らした。
「ぎゃああああっ!」
熊子の悲鳴が会場内に響き渡り、それを注意深く見ていたレフェリーが試合を止めた。
ミカは、ようやく技を解き、立ち上がって観客に向けて右の拳を突き上げた。
会場はベビーフェイスの逆転勝ちに沸き、ジャージ姿のサオリたちもリング上に入ってきて、ミカをもみくちゃにした。
熊子は靭帯損傷、脱臼、骨折と、この技で考え得る最悪の状態に追い込まれ、苦悶の表情を浮かべながら退場していった。
こうしてNPW主催としては初の九州興行は、一定の成功を収める事ができた。
なお、試合の模様は無料で配信され、新規ファン獲得の一助として大いに役立った。
アキは、リング上で完璧な寝技を披露するミカを見つめながら言った。
「うん。
サンボの歴史って結構浅くて、軍隊用の格闘術として二十世紀前半に出来たの。
だから、世界各国の武術を取り入れてて、当然日本の柔道もかなり取り入れられてるのよ。」
サオリは、そう説明し、ミカに声援を送った。
ミカの飛びつき腕十字は、完全に極まり、体格差とパワーの差がある熊子でも、脱出は容易ではなかった。
「熊子、タップしろよ。
このままだと、腕イッちゃうよ。」
ミカが声をかけると
「うるせえ!」
熊子は、鬼の形相で言い、再び体を起こそうとした。
「恨むなよ。」
そんな熊子を見つめつつ、ミカはそう呟くと、渾身の力を込めて、熊子の腕を極めたまま、思いっきり体を逸らした。
「ぎゃああああっ!」
熊子の悲鳴が会場内に響き渡り、それを注意深く見ていたレフェリーが試合を止めた。
ミカは、ようやく技を解き、立ち上がって観客に向けて右の拳を突き上げた。
会場はベビーフェイスの逆転勝ちに沸き、ジャージ姿のサオリたちもリング上に入ってきて、ミカをもみくちゃにした。
熊子は靭帯損傷、脱臼、骨折と、この技で考え得る最悪の状態に追い込まれ、苦悶の表情を浮かべながら退場していった。
こうしてNPW主催としては初の九州興行は、一定の成功を収める事ができた。
なお、試合の模様は無料で配信され、新規ファン獲得の一助として大いに役立った。
5
あなたにおすすめの小説
世界の終わりにキミと
フロイライン
エッセイ・ノンフィクション
毎日を惰性で生きる桐野渚は、高級クラブの黒服を生業としていた。
そんなある日、驚くほどの美女ヒカルが入店してくる。
しかし、ヒカルは影のある女性で、彼女の見た目と内面のギャップに、いつしか桐野は惹かれていくが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる