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恩讐
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美月の父、理人は、自分の一人息子である珀が、物心ついたときから、女の子とばかり遊び、また女の子が好む事に興味を示す事に頭を痛めていた。
大変古い考え方をする理人は、「健全な魂は健全な肉体から」という言葉を信じ、美月にレスリングを習わせたのだ。
そんな父の思いなど、全く知らない美月は、最初のうちはレスリングをする事をすごく嫌がっていたが、通ううちに、いつの間にかハマってしまい、レスリングが好きになった。
これが、後にプロレスの道に進む下地となった。
だが、美月の生まれながらにしての性の違和感を払拭する事が出来ず、結局、親に相談する事なくニューハーフに転身したのだった。
理人は、自分の知る息子ではない、美月のその姿を見て、暫し絶句した。
とはいえ、美月から連絡をもらった早紀に、大体の話は聞いており、ある程度覚悟をしていた。
しかし、ここまで変わっているとは思っておらず、頭が真っ白になってしまった。
そんな父の様子を目にした美月は、慌てて、自分から切り出した。
「お父さん、ごめんなさい。
黙ってこんな事をして…」
自然と土下座の態勢になり、頭を深々と下げる美月に、理人は少し落ち着いたのか
「やめなさい。
顔を上げろ。」
と、冷静な口調で言った。
美月が顔を上げると
「珀
元気にやってるのか?」
と、質問し、美月が
「はい。」
と、答えると、深く頷いた。
そして
「元気ならそれでいい。
お前が選んだ道なんだからな。」
と言って、美月の前に腰を下ろした。
美月はまた頭を下げ、涙をこぼした。
美月の帰郷、そしてカミングアウトは、思っていたものより何倍もスムーズに済んでしまい、両親共に、思うところがあるだろうが、何も言われず、あっさりと許してくれたのだった。
そして、翌日の試合会場に早紀の姿があり、美月の登場をソワソワしながら待っていた。
理人は行かないと言っていたが、実はこっそり来ており、会場の後ろの方の席で、早紀と同じく、我が子の晴れ舞台を、緊張した面持ちで、この目に焼き付けようとしていた。
大変古い考え方をする理人は、「健全な魂は健全な肉体から」という言葉を信じ、美月にレスリングを習わせたのだ。
そんな父の思いなど、全く知らない美月は、最初のうちはレスリングをする事をすごく嫌がっていたが、通ううちに、いつの間にかハマってしまい、レスリングが好きになった。
これが、後にプロレスの道に進む下地となった。
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理人は、自分の知る息子ではない、美月のその姿を見て、暫し絶句した。
とはいえ、美月から連絡をもらった早紀に、大体の話は聞いており、ある程度覚悟をしていた。
しかし、ここまで変わっているとは思っておらず、頭が真っ白になってしまった。
そんな父の様子を目にした美月は、慌てて、自分から切り出した。
「お父さん、ごめんなさい。
黙ってこんな事をして…」
自然と土下座の態勢になり、頭を深々と下げる美月に、理人は少し落ち着いたのか
「やめなさい。
顔を上げろ。」
と、冷静な口調で言った。
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「珀
元気にやってるのか?」
と、質問し、美月が
「はい。」
と、答えると、深く頷いた。
そして
「元気ならそれでいい。
お前が選んだ道なんだからな。」
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そして、翌日の試合会場に早紀の姿があり、美月の登場をソワソワしながら待っていた。
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