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七不思議
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ニューハーフプロレス団体NPWには、七不思議と呼ばれているものがあり、その中の一つが、「美月の巨乳」である。
所属レスラー全員がニューハーフであり、女性ホルモンの投与を受けているが、体の変化には、勿論個人差がある。
何年注射を打ち続けても貧乳の滝澤兄弟のようなパターンもあれば、それ以外の人のようにBカップ以上に育つ事もある。
そんな中で、美月は、女ホルがよほど体に合ったのか、投与を始めてから成長をし続け、気がつけば巨乳と呼ばれるレベルに達していた。
彼女の胸の大きさは、ニューハーフの中ではというものではなく、一般の女性に混じっても桁外れに大きく、ニューハーフの世界では現実的にはあり得ないものだった。
おそらく、世界中のニューハーフで、ホルモンだけで美月ほど胸が大きくなった人間は存在しないだろう。
そこが、奇跡のニューハーフと呼ばれる所以だった。
そのせいで、プロレスという競技をする事自体にハンデを背負い、思うように体を動かせなくなってしまった。
当然、服を着ていてもその胸の大きさは目立ち、母の目が行くのも仕方ない事であった。
「へえ、女性ホルモンの注射でそんなにも大きくなるんだねえ。
よかったね。」
早紀は、美月にそう言ってくれた。
美月にとって「よかったね」と言ってくれた事は、何よりも嬉しく、自分の生き方をようやく認められたような気がした。
「それで、プロレスの方はどうなの?
ケガとかしない?」
「うん。
大丈夫。
お父さんに習わされてたレスリングの経験が役に立ってるよ。
小さいケガはちょくちょくあるけど、大きいのは今のところないわ。
ウチの団体って、昔ながらのストロングスタイルのプロレスだから、ムチャな事はしないしね。」
「でも、最近のプロレスって過激なんでしょ?
女子とかでも高いところに登ってダイブしたり。」
「大丈夫。しないしない。そういうのはね。
でも、よく知ってるね。お母さん」
「珀がプロレスの世界を目指して東京に行ってから、私も色々勉強してたのよ。
まさか、ニューハーフプロレスの方に行ってるとは知らなかったけど。」
「ごめんなさい。
黙ってて。」
「謝らなくていいわ。
今が幸せなら、それでいいじゃない?」
「うん。
ありがとう…」
美月がそう言ったところで、玄関のドアが開く音がした。
父が帰ってきたのだ…
美月の全身に、大きな緊張感が走った。
所属レスラー全員がニューハーフであり、女性ホルモンの投与を受けているが、体の変化には、勿論個人差がある。
何年注射を打ち続けても貧乳の滝澤兄弟のようなパターンもあれば、それ以外の人のようにBカップ以上に育つ事もある。
そんな中で、美月は、女ホルがよほど体に合ったのか、投与を始めてから成長をし続け、気がつけば巨乳と呼ばれるレベルに達していた。
彼女の胸の大きさは、ニューハーフの中ではというものではなく、一般の女性に混じっても桁外れに大きく、ニューハーフの世界では現実的にはあり得ないものだった。
おそらく、世界中のニューハーフで、ホルモンだけで美月ほど胸が大きくなった人間は存在しないだろう。
そこが、奇跡のニューハーフと呼ばれる所以だった。
そのせいで、プロレスという競技をする事自体にハンデを背負い、思うように体を動かせなくなってしまった。
当然、服を着ていてもその胸の大きさは目立ち、母の目が行くのも仕方ない事であった。
「へえ、女性ホルモンの注射でそんなにも大きくなるんだねえ。
よかったね。」
早紀は、美月にそう言ってくれた。
美月にとって「よかったね」と言ってくれた事は、何よりも嬉しく、自分の生き方をようやく認められたような気がした。
「それで、プロレスの方はどうなの?
ケガとかしない?」
「うん。
大丈夫。
お父さんに習わされてたレスリングの経験が役に立ってるよ。
小さいケガはちょくちょくあるけど、大きいのは今のところないわ。
ウチの団体って、昔ながらのストロングスタイルのプロレスだから、ムチャな事はしないしね。」
「でも、最近のプロレスって過激なんでしょ?
女子とかでも高いところに登ってダイブしたり。」
「大丈夫。しないしない。そういうのはね。
でも、よく知ってるね。お母さん」
「珀がプロレスの世界を目指して東京に行ってから、私も色々勉強してたのよ。
まさか、ニューハーフプロレスの方に行ってるとは知らなかったけど。」
「ごめんなさい。
黙ってて。」
「謝らなくていいわ。
今が幸せなら、それでいいじゃない?」
「うん。
ありがとう…」
美月がそう言ったところで、玄関のドアが開く音がした。
父が帰ってきたのだ…
美月の全身に、大きな緊張感が走った。
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