NH大戦争

フロイライン

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ミエナイチカラ

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「大東亜戦争末期、日本の密教界がそのころ、霊力 烈とうたわれていた密教僧をしてルーズベルト大統領を調伏せしめた可能性がある。

一部の真言密教僧の間では戦争の終結を待たずルーズベルトが死去したのはこの調伏法の功績だった、とまことしやかに語り伝えられてきた。」


二階堂芙美子は、家を訪ねてきていた雑誌記者にそのような話をしたが…


「その話、聞いた事があります。」


記者の若林は、まだ二十代半ばの新人に毛の生えたような人間だったが、芙美子のおどろおどろしい雰囲気に呑まれる事なく、話の途中で割り込んできた。


「しかし、事実は全くもって違い、その役割を担った者は、私の祖母である二階堂タキ。

祖母の強い念の力と呪詛が合わさり、ルーズベルト大統領を死に至らしめたのです。」


「それは初耳です。」


「祖母は、呪詛を生業としてきた二階堂家の名を、世間が知る事を是とせず、秘匿する事とし、その功を決して誇ることも、賞賛される事もなかったのです。」


「なるほど。
それでは二階堂さんは、今も呪詛のお仕事をされてるのですか?」


「ええ。

私が二十四代目当主でした。

今は息子が二十五代目の当主を引き継いでいます。

しかし、病気がちな事から、さらにその息子、私にとっては孫にあたる零という高校生の男の子が後継者になるべく修行を続けています。」


「それは大変ですね。
病気なんですか…」


「職業柄、そこの部分については免れることが出来ません。

人を呪わば穴二つという諺を知っていますか?」


「ええ、聞いたことはありますが、アレってどういう意味なんですかね。」


「人を呪うようなことをすれば、それは自分に返ってきて、墓穴を二個用意する事になるという意味なんですが、アレは真実なんですよ。」


「どういう事です?」


「つまり、呪う相手、呪いの力が大きければ大きいほど自分に禍いが戻ってくるのです。

二階堂家は代々女性の霊力が強く、呪返しへの耐性も有してきました。
私もこの歳になるまで大きな病気もせずに生きてこれましたが、息子はそうはいかず、この仕事を継承してから病気がちになり、今も病床に伏せています。」


「それは大変ですね…」


「これも二階堂家の運命として、受け入れています。

今は孫の適性を見極めたいと思っていますが、彼も男子だけに、大きな期待は持てません。」


「運命という言葉で片付けるにはあまりにもリスクが高いですね。」


若林は、神妙な顔で芙美子に言った。
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