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地元民
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夜になると、零はいつものように家を出て、駅前に自転車で向かった。
雑居ビルの前に自転車を置くと、エレベーターで5階に上がり、少し重めのドアを開けた。
「おはようございます。」
零は中に入るなり、ペコリと頭を下げて挨拶をした。
「おはよう、レイちゃん」
カウンターの中に立つ、化粧の厚い骨ばった女性がレイの挨拶に応えた。
「ママ、お客さんゼロですか?」
「そうよ、まだね。
もう、ヤバイよね。」
ママと呼ばれた女性、いや、男性は、そう答えて大笑いした。
バー「バーディ」は、ミエコという名のママが経営する小さなバーである。
ミエコは、元男性で、いわゆる中年ニューハーフだった。
脱サラして三十代でニューハーフに転身した遅咲きであったが故に、女性ホルモンをガンガン打っていても、男性の名残はあちこちに残っていた。
零は、このミエコと偶然知り合い、週に何回かアルバイトをさせてもらうようになっていた。
「レイちゃん、学校は?」
「はい。今日で終わりで、やっと夏休みに入りました。」
「でも、高二の夏休みって大事だって言うじゃない?
勉強しなくていいの?」
「ワタシ、大学行くつもりもないし、家業継ぐつもりだから。」
「そんな事言っても、アンタ才能ないんでしょ?」
「それを言われるとツライけど…
もし、ダメだったらここで雇ってもらえます?」
「別にいいけど、あんまりお客さんも入んないお店だから、給料はそんなに出せないわよ。」
「そんなの、全然かまわないです。
女の子の格好で働ければ。」
「悪い事言わないわ。
アンタ、めちゃくちゃ可愛いんだから、真剣にニューハーフやるんだったら東京に出て、ショーパブで働きな。
絶対トップになれるから。」
「東京かあ。
行きたいけど、家族と別れて住むのもなあ。」
「寂しがり屋さんね。」
「お父さんも病気だし、お母さんとお婆ちゃんの二人残して出ていっちゃうのがねえ…」
零がそう言ったところで、徐にドアが開き、本日一人目の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ…
あっ、辰巳先生!」
常連客で、近所で美容外科を営む辰巳であった。
「こんばんは。
なんだ、客がいないじゃん。
相変わらず寂れとるなあ。」
辰巳は禿頭を輝かせながら、周囲を見渡し、ニヤニヤしながら言った。
雑居ビルの前に自転車を置くと、エレベーターで5階に上がり、少し重めのドアを開けた。
「おはようございます。」
零は中に入るなり、ペコリと頭を下げて挨拶をした。
「おはよう、レイちゃん」
カウンターの中に立つ、化粧の厚い骨ばった女性がレイの挨拶に応えた。
「ママ、お客さんゼロですか?」
「そうよ、まだね。
もう、ヤバイよね。」
ママと呼ばれた女性、いや、男性は、そう答えて大笑いした。
バー「バーディ」は、ミエコという名のママが経営する小さなバーである。
ミエコは、元男性で、いわゆる中年ニューハーフだった。
脱サラして三十代でニューハーフに転身した遅咲きであったが故に、女性ホルモンをガンガン打っていても、男性の名残はあちこちに残っていた。
零は、このミエコと偶然知り合い、週に何回かアルバイトをさせてもらうようになっていた。
「レイちゃん、学校は?」
「はい。今日で終わりで、やっと夏休みに入りました。」
「でも、高二の夏休みって大事だって言うじゃない?
勉強しなくていいの?」
「ワタシ、大学行くつもりもないし、家業継ぐつもりだから。」
「そんな事言っても、アンタ才能ないんでしょ?」
「それを言われるとツライけど…
もし、ダメだったらここで雇ってもらえます?」
「別にいいけど、あんまりお客さんも入んないお店だから、給料はそんなに出せないわよ。」
「そんなの、全然かまわないです。
女の子の格好で働ければ。」
「悪い事言わないわ。
アンタ、めちゃくちゃ可愛いんだから、真剣にニューハーフやるんだったら東京に出て、ショーパブで働きな。
絶対トップになれるから。」
「東京かあ。
行きたいけど、家族と別れて住むのもなあ。」
「寂しがり屋さんね。」
「お父さんも病気だし、お母さんとお婆ちゃんの二人残して出ていっちゃうのがねえ…」
零がそう言ったところで、徐にドアが開き、本日一人目の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ…
あっ、辰巳先生!」
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