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フロイライン

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Lesson 57

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「老いる事なんて、そりゃ誰でも嫌だよ。

俺も今はまだ二十三だけど、すぐに三十になって四十なんてあっという間だと思う。

でも、それはそれで楽しみにしてるんだ。

年齢の積み重ねは、その人が深みを増すためにあるって思ってるからね。

香菜ちゃんは、俺から見て、人間として素晴らしい部分が沢山あって、俺はそんなキミを尊敬し、憧れている。

キミは魅力的な女性だけど、内面の奥深なものは若い女性じゃ絶対にマネ出来ないものだと思う。

それだけじゃなく、キミは美しいし、すごく可愛いところがあって、俺の理想の女性なんだ。
これほどの人はどこにもいないと思う。」


「えーっ…

そんな事言ってくれるの?

もう…」



香菜子は子供みたいに声を出して泣いた。



「絶対って言葉はあまり使っちゃいけないと思うけど…


俺は、絶対にキミを幸せにする。
一生かけて…」
 

優斗は、力強く、何よりも香菜子の元気が出るような言葉をかけた。


また号泣する香菜子だったが、嗚咽しながら、首を横に振った。


「優斗君の言った言葉…ウッ…

間違ってるよ…


幸せにするって…言ったけど…

もう既に…私、幸せすぎるから…」



「それはよかった。」


優斗は香菜子を優しく抱きしめて、涙で塩っぱくなった唇にキスをした。


優斗の愛のある力強い言葉に励まされ、香菜子は元気を取り戻し、自分の幸せなこの状況を噛み締めた。


実際、優斗の言葉は全て真実で、香菜子を不安にさせるような事は一切せず、深く大きな愛情で香菜子を包み込んだのだった。




「さて、香菜ちゃん。」


「えっ?」


「うちの親がさあ

早くお嫁さんに会わせろってうるさいんだよ。

顔合わせもせずに籍を入れちまったもんなあ。
そりゃ言うか。」



「その事をずっと気にしてたの
どうしよう…

歳食ってるくせに非常識なババアだって思ってんじゃないかしら。」


「俺の一存で行かなかっただけだし、香菜ちゃんが気にする事はないよ。

伊勢旅行から帰ってきたタイミングのGW中に行ってみる?」


「うん…


あーっ、怖くなってきたよー…」



「香菜ちゃんの実家にも行かなきゃなんないし、そっちの方もよろしくね。」


「ウチはお母さんだけだし、全然気を遣うような人じゃないから大丈夫よ。

歳も歳だし、穏やかだよ。」


香菜子は、そう言って笑った。
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