87 / 273
mother
しおりを挟む
路面電車でバスセンターがあるところまで移動した遥は、隣接した百貨店に行き、母へのプレゼントと、地下の食品売場でお供えの菓子を購入した。
その後、バスセンターに移動
チケットを購入し、時間が来るのをベンチに腰掛けて待った。
母にはLINEを送り、何時頃に着くかを知らせた。
母からは、気をつけて帰ってくるようにと短めの返信が来た。
そうこうしている間に、出発の時間となり、遥は数人が並ぶ列の後ろに行き、一番最後に乗り込んだ。
バスは3階の乗り場からゆっくりとカーブを切りながら地上に降り、少し渋滞気味の道を走り出した。
席に深く腰掛け、フッとため息をついた遥は窓から見える景色を眺めながら、様々なことが頭に浮かんでは消えていった。
女として生きるようになってから、地元に帰るのはこれで二回目で、前回はまだ大学生で、年末年始やお盆の時期でもなかったので、母以外には誰にも会っていない。
遥自身、それほど自覚はしていないが、あのときに比べて、その容姿、雰囲気の全てが、さらに女っぽく変化していた。
男から女になる過程を一切見ていない人が、自分を見たら、異常なまでに驚くのは間違いない。
いや、変化途中の姿を見ている母でさえ、今の自分を見たら、相当に驚くかもしれない。
そんなことを考えていたら、実家に戻るのが少し憂鬱になってしまった。
遥の思いとは裏腹に、バスは高速に乗ると、あっという間に遥の地元までやってきた。
ここからは見慣れた街並みが続いていく。
懐かしさより不安な気持ちが勝りながら、窓の外を見る遥だったが、車内放送が流れ
「次は西畑
西畑です」
と、自分の降車する停留所が近づいていることを知らせてきた。
遥は降車ボタンを押し、降りる準備を始めた。
バスはウインカーを出して車線変更をし、停車灯を点灯させ、西畑停留所に停車した。
(着いちゃった…)
ここから、自宅までは徒歩十分だ。
遥は運転手にお礼を言って前方のドアから出た。
久しぶりとまではいかないが、前回帰ってきたときとは、自分の置かれた環境と容姿がかなり変わっている。
少しだけ感慨に耽りながら、自宅を目指そうとキャリーに手をかけた瞬間
「遥」
と、背後から声をかけられた。
慌てて振り返ると、そこには母が立っていた。
「お母さん…」
「おかえり」
母は居ても立っても居られず、遥をバス停まで迎えに来てくれていたのだ。
母の顔を見た遥は、少しホッとしたように笑みを浮かべた後、自分でも何故だかわからないが、涙がポロポロと出てきてしまった。
その後、バスセンターに移動
チケットを購入し、時間が来るのをベンチに腰掛けて待った。
母にはLINEを送り、何時頃に着くかを知らせた。
母からは、気をつけて帰ってくるようにと短めの返信が来た。
そうこうしている間に、出発の時間となり、遥は数人が並ぶ列の後ろに行き、一番最後に乗り込んだ。
バスは3階の乗り場からゆっくりとカーブを切りながら地上に降り、少し渋滞気味の道を走り出した。
席に深く腰掛け、フッとため息をついた遥は窓から見える景色を眺めながら、様々なことが頭に浮かんでは消えていった。
女として生きるようになってから、地元に帰るのはこれで二回目で、前回はまだ大学生で、年末年始やお盆の時期でもなかったので、母以外には誰にも会っていない。
遥自身、それほど自覚はしていないが、あのときに比べて、その容姿、雰囲気の全てが、さらに女っぽく変化していた。
男から女になる過程を一切見ていない人が、自分を見たら、異常なまでに驚くのは間違いない。
いや、変化途中の姿を見ている母でさえ、今の自分を見たら、相当に驚くかもしれない。
そんなことを考えていたら、実家に戻るのが少し憂鬱になってしまった。
遥の思いとは裏腹に、バスは高速に乗ると、あっという間に遥の地元までやってきた。
ここからは見慣れた街並みが続いていく。
懐かしさより不安な気持ちが勝りながら、窓の外を見る遥だったが、車内放送が流れ
「次は西畑
西畑です」
と、自分の降車する停留所が近づいていることを知らせてきた。
遥は降車ボタンを押し、降りる準備を始めた。
バスはウインカーを出して車線変更をし、停車灯を点灯させ、西畑停留所に停車した。
(着いちゃった…)
ここから、自宅までは徒歩十分だ。
遥は運転手にお礼を言って前方のドアから出た。
久しぶりとまではいかないが、前回帰ってきたときとは、自分の置かれた環境と容姿がかなり変わっている。
少しだけ感慨に耽りながら、自宅を目指そうとキャリーに手をかけた瞬間
「遥」
と、背後から声をかけられた。
慌てて振り返ると、そこには母が立っていた。
「お母さん…」
「おかえり」
母は居ても立っても居られず、遥をバス停まで迎えに来てくれていたのだ。
母の顔を見た遥は、少しホッとしたように笑みを浮かべた後、自分でも何故だかわからないが、涙がポロポロと出てきてしまった。
2
あなたにおすすめの小説
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
野球部のマネージャーの僕
守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる