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親戚付き合い
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遥は母と二人で叔父の家を訪れていた。
予想通り、遥の変貌ぶりに全員が衝撃を受け、質問責めに遭った。
ただ、同い年の拓実だけは、二階から降りてきてその会話の輪に加わると、すぐに
「遥が嫌がっとるけぇ、もうええじゃろ?」
と、父母を制止した。
「ああ、そうじゃな。
すまんかったなあ、遥」
叔父の圭一が詫びると、美奈子も申し訳なさそうに遥に詫びた。
「いえ、全然大丈夫です。」
「遥、俺の部屋に来いよ。」
「えっ、うん」
拓実がそう言うと、遥も頷き、二人で二階の部屋に上がっていった。
拓実の部屋は、高校の時に遊びに来た時とレイアウトがほとんど変わっておらず、時が止まったようだった。
「なんか、久しぶりじゃなあ
ここに来るの」
遥は部屋をぐるりと見回しながら、感慨深げに言った。
「高校出て、アメリカに行ってしもたけぇ、この部屋は高校生の時に使ってたときのままになっとる。」
「そうやねえ。
タク
で、どうなの?
アメリカでの生活は」
「あー、まあ何とかやってるよ。
でも、元々大学へはアメフトするために行ったじゃん、俺。
全く通用せんで辞めるとは思うてもみんかったけど。」
「そんなに、すごいの?
タクもすごい体してんじゃん」
身長183センチ、体重95キロと、恵まれた体つきの拓実に、遥は信じられないといった表情で言った。
「俺なんて、向こうに行ったら子供扱いじゃ。
嫌になってしもうたわ。」
「まあ、そうだろうけど。」
「お前こそ、どうなんだ?
東京で女として働いとるんじゃろ?」
「うん。まあね。
幼稚園の理事長夫妻がすごく良い人で、ワタシが男だって事を周りには黙ってくれてて、それでなんとかやっていけてる感じ。」
「そうか。
それにしても、お前だいぶ変わったなあ。
子供の時から女っぽかったけど、髪伸ばして化粧して、体つきもそんなだったら、まるっきり女にしか見えんわ。」
「ありがとう。
これでも色々と努力してんのよ。」
「まあ、お前らしい生き方が出来てるならそれでええ。」
「タクもいい事言うわね。
やっぱりアメリカに住んでると、ワタシみたいなニューハーフにも寛容になるのかなあ?」
「いや、逆じゃあ。
向こうの方が寛容じゃないよ。実のところ。
カトリックとかの関係じゃと思うけどなあ。
まあ、そりゃ人それぞれって考えもあるのはあるけど」
「難しいのね…アメリカも」
「まあ、金稼ぐにはええとこじゃねえか。
殺されちまう可能性もあるけど」
拓実は、そう言って笑った。
予想通り、遥の変貌ぶりに全員が衝撃を受け、質問責めに遭った。
ただ、同い年の拓実だけは、二階から降りてきてその会話の輪に加わると、すぐに
「遥が嫌がっとるけぇ、もうええじゃろ?」
と、父母を制止した。
「ああ、そうじゃな。
すまんかったなあ、遥」
叔父の圭一が詫びると、美奈子も申し訳なさそうに遥に詫びた。
「いえ、全然大丈夫です。」
「遥、俺の部屋に来いよ。」
「えっ、うん」
拓実がそう言うと、遥も頷き、二人で二階の部屋に上がっていった。
拓実の部屋は、高校の時に遊びに来た時とレイアウトがほとんど変わっておらず、時が止まったようだった。
「なんか、久しぶりじゃなあ
ここに来るの」
遥は部屋をぐるりと見回しながら、感慨深げに言った。
「高校出て、アメリカに行ってしもたけぇ、この部屋は高校生の時に使ってたときのままになっとる。」
「そうやねえ。
タク
で、どうなの?
アメリカでの生活は」
「あー、まあ何とかやってるよ。
でも、元々大学へはアメフトするために行ったじゃん、俺。
全く通用せんで辞めるとは思うてもみんかったけど。」
「そんなに、すごいの?
タクもすごい体してんじゃん」
身長183センチ、体重95キロと、恵まれた体つきの拓実に、遥は信じられないといった表情で言った。
「俺なんて、向こうに行ったら子供扱いじゃ。
嫌になってしもうたわ。」
「まあ、そうだろうけど。」
「お前こそ、どうなんだ?
東京で女として働いとるんじゃろ?」
「うん。まあね。
幼稚園の理事長夫妻がすごく良い人で、ワタシが男だって事を周りには黙ってくれてて、それでなんとかやっていけてる感じ。」
「そうか。
それにしても、お前だいぶ変わったなあ。
子供の時から女っぽかったけど、髪伸ばして化粧して、体つきもそんなだったら、まるっきり女にしか見えんわ。」
「ありがとう。
これでも色々と努力してんのよ。」
「まあ、お前らしい生き方が出来てるならそれでええ。」
「タクもいい事言うわね。
やっぱりアメリカに住んでると、ワタシみたいなニューハーフにも寛容になるのかなあ?」
「いや、逆じゃあ。
向こうの方が寛容じゃないよ。実のところ。
カトリックとかの関係じゃと思うけどなあ。
まあ、そりゃ人それぞれって考えもあるのはあるけど」
「難しいのね…アメリカも」
「まあ、金稼ぐにはええとこじゃねえか。
殺されちまう可能性もあるけど」
拓実は、そう言って笑った。
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