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仕事と結婚
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「先輩、お呼び立てしてしまって、本当に申し訳ありません。」
「ううん。全然いいよ。
私も遥ちゃんと話がしたかったから。」
いつもは彩が誘って、この居酒屋を訪れる事が多いが、今日は、珍しく遥が誘って、店を訪れた。
二人は乾杯をすると、少しだけ料理を頼み、早速本題に入った。
「先輩、少し、ワタシの話を聞いていただきたくて。」
「うん。
私でよかったら、何でも聞くよ。
どうしたの?」
「ありがとうございます。
あの、実は、この前言ってた件で…」
「あ、ひょっとして、カレとの?」
「そうです。
アレから先輩のお話とか聞いて、カレにも話したり、自分でも考えてみたんですが…」
「うんうん。」
「このお仕事はやり甲斐もあって、すごく好きだったんですけど…
退職して…結婚しようかなって。」
「そうなんだね。」
「はい。
ワタシは多分結婚しても樋谷さんの怒りは買わないと思うんですけど、俊斗君の事を考えると…
保育園に長い時間預けて、遅くに迎えに行くより、普通の時間に迎えに行って、側にいてあげたいなって。
そう考えてしまったんです。」
「なるほどね。
よくわかるよ。
多分、私が遥ちゃんの立場でもそうすると思う。」
「先輩は、どうされるんですか?
やっぱり、年度末に?」
「そうね。
実は、もう園長先生には言ったのよ。」
「えっ!そうなんですか!?」
「結婚しても続けて欲しいって言われたんだけど…
私の場合は、コンパの経緯も相俟って、カレとの結婚がバレたら、樋谷さんにボコボコにされるかもしれないし…
その事も正直に話したら、園長先生もわかってたみたいで、何とか理解を示してくれたわ。」
「言ったんですね…樋谷さんの事を…」
「そりゃ言うわよ。
だって、ワタシだって辞めたくなかったもん。
勿論、子供が出来たら産休、育休取って、その後は育勤にするか、そのまま辞めてしまうかはわかんないけど…
結婚で辞めるってのは、少し不本意な感じ。」
「なるほど…
この仕事って好きじゃないと出来ませんものね。
それ故に仕事に対する情熱とかやり甲斐っていうのを強く感じてると思います。」
「そうだね。
給料安くても、それだけじゃないなあって、この仕事してたらつくづく思うしね。」
「はい。」
「遥ちゃんもよく考えて出した結論なら、私は応援するわ。
その選択をね。
痛いほどその気持ちがわかるから。」
彩の言葉に、遥は背中を押してもらったような気がしたのだった。
「ううん。全然いいよ。
私も遥ちゃんと話がしたかったから。」
いつもは彩が誘って、この居酒屋を訪れる事が多いが、今日は、珍しく遥が誘って、店を訪れた。
二人は乾杯をすると、少しだけ料理を頼み、早速本題に入った。
「先輩、少し、ワタシの話を聞いていただきたくて。」
「うん。
私でよかったら、何でも聞くよ。
どうしたの?」
「ありがとうございます。
あの、実は、この前言ってた件で…」
「あ、ひょっとして、カレとの?」
「そうです。
アレから先輩のお話とか聞いて、カレにも話したり、自分でも考えてみたんですが…」
「うんうん。」
「このお仕事はやり甲斐もあって、すごく好きだったんですけど…
退職して…結婚しようかなって。」
「そうなんだね。」
「はい。
ワタシは多分結婚しても樋谷さんの怒りは買わないと思うんですけど、俊斗君の事を考えると…
保育園に長い時間預けて、遅くに迎えに行くより、普通の時間に迎えに行って、側にいてあげたいなって。
そう考えてしまったんです。」
「なるほどね。
よくわかるよ。
多分、私が遥ちゃんの立場でもそうすると思う。」
「先輩は、どうされるんですか?
やっぱり、年度末に?」
「そうね。
実は、もう園長先生には言ったのよ。」
「えっ!そうなんですか!?」
「結婚しても続けて欲しいって言われたんだけど…
私の場合は、コンパの経緯も相俟って、カレとの結婚がバレたら、樋谷さんにボコボコにされるかもしれないし…
その事も正直に話したら、園長先生もわかってたみたいで、何とか理解を示してくれたわ。」
「言ったんですね…樋谷さんの事を…」
「そりゃ言うわよ。
だって、ワタシだって辞めたくなかったもん。
勿論、子供が出来たら産休、育休取って、その後は育勤にするか、そのまま辞めてしまうかはわかんないけど…
結婚で辞めるってのは、少し不本意な感じ。」
「なるほど…
この仕事って好きじゃないと出来ませんものね。
それ故に仕事に対する情熱とかやり甲斐っていうのを強く感じてると思います。」
「そうだね。
給料安くても、それだけじゃないなあって、この仕事してたらつくづく思うしね。」
「はい。」
「遥ちゃんもよく考えて出した結論なら、私は応援するわ。
その選択をね。
痛いほどその気持ちがわかるから。」
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