聖也と千尋の深い事情

フロイライン

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Attentiveness

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一条が話しかけてくれて、少しだけ会話を交わしたけど、俺にとっては、その日の休み時間全ての中で、唯一の会話だった。

ありがたい…

でも、それをきっかけに一条は度々、俺に絡んでくるようになり、グループの中で会話してても、近くの机に座る俺に話を振ってきたりしてくれた。

一条以外のメンバーが、話を振られた俺を一斉に見つめるが、何を言っていいかわからず、しどろもどろになると、呆れた様子で視線を切り、再びグループ内での会話に戻っていった。

これが結構キツくて

(何で俺に話を振るねん…)

と、落ち込んだ。

こんな風になりたくないから、非接触型人間でいたのに。



その日もこんな感じで何の面白さもない一日を過ごし、どんよりとした気持ちで学校を出た。

家に帰ってゲームするのだけが俺の楽しみであり、生き甲斐

そんな事を考えながら歩いていると、後ろから声をかけて来る者がいた。

「奥田ー」

また一条だった。

一条は駆け寄ってきて、俺の肩に手を置いて言った。

「今から帰んの?」



「あ、うん…」


「慌てて帰ってるから、何かあるんかなあて思て」


「いや、別に何もないねんけど、帰ってゲームしようかなあって」


「ふーん…

ゲームかあ。

ゲームて、そんなにおもろい?」


「おもろいっていうか…

うん、おもろいと思うけど。
一条はやらへんの?」


初めて名前を呼んでしまった…


「持ってるけど、あんまりせえへんわ」

一条はまるでゲームをする方がおかしいくらいの反応を示した。


「…」

会話が途絶え、黙り込む俺

でも、一条は笑いながら俺の横を歩いてついて来る。


「あの、一条って、何処住んでんの?」


「僕?

あそこに見えてる茶色っぽいマンションわかる?」


一条は俺の知る同級生の中で唯一、自分の事を「僕」と言った。


「あ、あのマンションか。
俺はその先のグレーの

メゾンドール」


「あそこかあ

今度遊びに行くわ」


「えっ」


「迷惑?」


「いや、そんな事ないけど

いいの?俺なんかと遊んで…」


「何言うてんねん
奥田っておもろい事言うなあ。

じゃあ、今週の土曜とか行ってもええ?」


「えっ、ああ、別にええけど」


俺はこの時点ではまだ一条の俺に対する好意を信用する事は出来なかった。

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