タイは若いうちに行け

フロイライン

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WAKUWAKUさせてよ

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「雫、こっちこっち!」


岡山駅東口改札近くのセブンイレブン前に、楓悟は立っていた。


「早いよ、楓悟

約束の十分前だよ」



「遅れてくるより全然マシじゃろ?
どうしても早めに着いちゃうんじゃ」


「まあ、そうだね
待たされるよりはいいか

待ってもらうのも気をつかっちゃうけど。」


「そんなん気にすんなって」


楓悟はワタシの肩をポンポンと叩いて笑い、そのまま手を回して、ワタシの体を引き寄せた。


「歩けないって」

ワタシは体勢を崩しながら楓悟の手を振り解いた。


「倉敷までいくらだっけ…

330円か

ICOCAにチャージしとこかなあ」

ワタシが見上げながら言うと

「いや、もう切符は買うてある」


楓悟はそう言って、ワタシに切符を手渡してきた。


「もう、そんなの買わなくていいの。

ワタシの方がバイトしてるんだし、お金も持ってんのよ。」


「俺も実家のケーキ屋でバイトしてるから、金は持ってるし。」


ワタシが払おうと思っても、楓悟は頑なに受け取ろうとしなかった。


「帰りはワタシが買うからね。
ぜったいだよ!」

そう念押ししてから切符を受け取り、改札機に通した。


ワタシ達は福山方面行きの電車に乗り、福山に向かった。

二人掛けの硬い椅子の窓側にワタシ、通路側に楓悟という並びで座った。

どんな時でも、レディーファーストっていうか、窓側にぜったいに座らせてくれるし、なんか、そういう扱いを受けるのがちょっと嬉しい。


「倉敷までどれくらいかかるの?」


「そうじゃなあ、二十分弱ってとこかな」


「わりと近いんだね」


「うん。近いな。

岡山も東京から比べたら田舎かもしれんけど、結構ええとこもある。」


「そうだね。
ワタシはすごく気に入ってるよ。」


「じゃろー?

遠慮せんと永住してもええぞ。」


「考えとくわ。」


なんかイチャイチャしてる?
なんて思いながら話をしてたら、あっという間に倉敷に着いてしまった。


改札を抜けると、人が沢山いた。


「こっち方面から出て、しばらく歩いたら美観地区。

反対側はアウトレットモールがある。」


「へえ、アウトレットモールもあるんだ

なんか、面白そう。」


「けっこう大きいよ。

昔はチボリ公園っちゅーのがあったらしいんやけど、俺が小さい時に潰れてしもた。

一回か二回行った事あるって親が言ってたけど、全然覚えとらん。」


「そうなんだ。

アウトレット側の方も興味あるわ」


「よし、両方行くか。

てか、昼飯はアウトレット側にあるフードコートで食おうよ。」


「そうだね」


「まだ時間も早いし、先に美観地区に行く?」


「うん。」

ワタシと楓悟は手を繋ぎ、倉敷の街に出た。
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