タイは若いうちに行け

フロイライン

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何でもないようなこと

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「お腹空いてる?」


「そうだね。」


「先に昼ご飯にしようよ」


「うん」

楓悟はワタシと手を繋いだまま、アリオのフードコートに向かった。



「へえ、大きいね」


「人も多いけどな
雫、何にする

俺、買うてくるわ」


「いいよ、そんなの。
自分で行くし」


「とりあえず、席を先に取っといてくれん?」


「うん、わかった。

じゃあ、ワタシが席を取っとくから、先に楓悟が注文してきてよ。」


「えーっ、それやったら俺は後でええわ。

雫が先に行けよ。」


「いいから。
楓悟が先に行きな」

ワタシらは不毛な譲り合いをしながらも、最後は楓悟が折れて、渋々買いに行った。


ワタシはとりあえず、二人掛けのテーブルをキープし、座って待つ事にした。

そうなのよねえ
男女で来たら、こうやって譲り合ったりするのがフツーなんだよね

これが男同士ならそんなの気にしないし、どっちが先とか後とか知らんわって感じだと思うけど。

なんか、こういう扱いされると、自分が女になったんだなあって実感できるし、なんか照れくさいんだけど嬉しい。


しばらくすると、楓悟が帰ってきた。


「何にしたの?」


「俺?
そこのラーメンにしたよ。」


楓悟は、右手奥の店舗を指さして言った。


「そうなんだ。
ワタシはどうしようかなあ」


「雫も早く選んでこいよ。」


「うん。行ってくるね」


ワタシも選びに行くことにした。

何にしようかなあ…


韓国系料理は好きなんだけど、今日はやめとこ。

理由は…言いたくないけど…


そんな事を思いながら、ぐるっと歩いてみたけど、引っかかってくるものはなく、結局はマックになってしまった。



マックはその場で待って渡してもらうので、ワタシはトレイを持って席に帰った。


「またマックか。

好きすぎやろ」



「何にしていいかわかんないしね。」


「いや、全然ええんやけど。

俺のはまだ呼ばれんから、先に食べててよ。」


楓悟は呼び出し用のブルブルを見せながら言った。


「いいよ。
もう少ししたら呼ばれるよ。」

って言ってたら、バイブが作動した。


「ホンマじゃ

行ってくるわ」


楓悟は慌ててラーメンを取りに行った。



その後、ワタシ達はどうって事のない話をしながら昼ごはんを食べ、のんびりとした時間をすごした。

楓悟の好きなところは、ワタシの気持ちをリラックスさせてくれるところだ。

変に意識したりせず、自然体ですごせるのがいい。

ワタシが元男だってわかっても、何一つ変わらず接してくれるし、不安な気持ちも一掃してくれる。

やっぱり、そんな楓悟のことが大好き。
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