泥々の川

フロイライン

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家族の絆

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淑子と久美子は恭子の見舞いを終え、病院を出てきた。


「久美子ちゃん、ホンマにありがとうね。
こんな遠い病院まで。

これから時間ある?

もしよかったら梅田でご飯でも食べて行けへん?」


「ありがとうございます。

でも…この後、この近くでラジオの収録がありまして。」


「あ、そうなの?
毎日放送?」


「はい。
ミリカホールで。」


「そうなのね。

じゃあ、またの機会にお誘いするわ。」


「はい、是非。

また来週大阪に帰ってきますので、病院にご一緒させて下さい。」


「ありがとうね。
恭子も喜ぶわ。」


二人はそこで別れた。


久美子はいつものようにレギュラー出演しているラジオ番組の生放送に臨み、終了後はすぐに実家に戻るのがいつものパターンだったが、その日は梅田まで行くと、大阪駅に向かって歩き出した。

そして、大阪駅の桜橋口の改札を出たところに、一人で立っている女性の元に駆け寄った。


「お母さん!」


「袮留」


久美子の本名を呼んで近づいてきたのは、母の恵理子だった。


久美子は、人が沢山いたにもかかわらず、恵理子に抱きついてしまった。


「久しぶりやねえ、袮留」


恵理子は久美子に抱きつかれても恥ずかしがる事なく、その背中をポンポンと優しく手を添えてくれた。


「お母さん、元気やった?

最近、全然会えてへんかったし、ウチ心配してたんよ。」


「うん。元気にしてたわよ。

それにしてもあれやねえ。
毎日テレビに出てるよね

すごい活躍じゃない!」


「そんな事あらへんのよ。

でも、周りのみんなに良くしてもらってね。
だから、それに応えたいって思ってるだけ。」


「頑張ってるね。

テレビに袮留が出てたら、あー元気なんだって安心出来るもの。」


「じゃあ、頑張ってもっと活躍しなきゃね。


ところで、お母さん、ご飯は?」


「ううん、まだよ。」


「じゃあ、ちょっと早いけど、どこかで食べようよ。」


「そうね。
袮留は、何か食べたいものある?」


「ワタシは何でも美味しくいただきますから。

お母さんが決めて。」


「えーっ、どうしよう」


二人は笑いながら梅田の地下街を歩いた。

この年、久美子は二十六になり、恵理子は四十七になった。

二人とも、波乱に満ちた人生を乗り越え、穏やかな毎日を送るようになっていたが…
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