泥々の川

フロイライン

文字の大きさ
274 / 313

passionate

しおりを挟む
「もうちょっとリラックスしなよ。」

久美子は、相変わらずガチガチになる望月の肩に手を置き、笑って言った。


「本当に気を遣っていただき、申し訳ございません。」


「いいのよ。

キミ、本当に疲れてたし、どうせ収録なんてしばらく始まらないんだから、気にすることはないわ。」


「すいません…」



「ほら、すぐに謝ったりしないの。

コーヒーのおかわりは?」


「あ、いえ、これで大丈夫です。」


望月は、恐縮しながら最初に注いでもらっていたコーヒーを一口飲み、ケーキをまた一口食べた。



「それにしても、ADのお仕事も大変ね。

毎日遅くまで働いてるんでしょ?」


「好きで始めた仕事なので…

夜も遅くなるっていうか、帰れない日の方が多いんですけど、そういうときは、スタジオで寝させてもらったりしています。」



「えーっ!!

そんなんじゃ、疲れなんて取れないよ。
ホント心配になっちゃうわ。」



「もう慣れましたので、辛いとか、そういう事は全然…」



「でも大変だね。

ご実家は東京?」


「いえ、大阪出身なんです。」


「そうなの?

ワタシも大阪だよ。


市内?」


「はい。

阿倍野区です。」


「ワタシ、西成なのよ。

隣の区じゃん。」


「そうですね。

友谷さんて、大阪出身でらしたんですね。

知りませんでした。」


「ダメなのよ、大阪弁が抜けなくてね。

事務所の人からよく注意されるんだけど、アクセントとか、そういうのがなかなかね。」


「あ、わかります、

抜けないですよね。

僕も全然です。」

気さくな久美子のトークで、望月も段々気持ちがラクになり、緊張せずに話せるようになっていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...