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葛藤
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(たとえあの高山の言う通りの効果が新田にあったとして、それで勝てても嬉しいのか)
木本はまどか達の練習風景を見ながら、自問自答した。
新田まどかを中心にした現チームは、自分が監督に就任して以来、最強の攻撃力があると自負できる。
だが、作陽の古川を止める事は冷静に見て不可能に近いものがある。
だったら、このまま…
「まどか!」
「はい」
「練習終わったら監督室に来なさい。」
木本はまどかから話を聞くことにした。
「失礼します」
一礼してまどかが監督室に入室してきた。
「練習終わりに悪いわね
少し、話を聞きたくてね。」
「はい…」
「さっき、高山って人からあなたが飲んだ薬の話を聞いたわ。」
「監督…」
まどかはハッとして木本の顔を見たが、すぐに俯いてしまった。
「大体のことは理解したけど、体調は大丈夫なの?」
「はい。体調の方は問題ないです。」
「まどか、今日の練習で、あなたのスパイク練習を見たけど、別人かって思うくらい力強くて、打点も高かった。」
「自分でも信じられないくらいです…」
「そんな薬に頼らなくても実力で紅陽をねじ伏せられるって、ずっと思ってやってきたし、まどかの代が、私が監督に就任してから最強だと思ってる。」
「監督…
やっぱり、あんな薬を飲まない方が良かったんでしょうか…」
「あなただけに正直に言うけどね
今年の紅陽は過去最強だと思う。
あの古川選手が特に厄介だわ…
まどかと同じ中学だったんでしょ?」
「はい。恵美梨…いえ、古川選手とは地元が同じで中学の時は一緒のチームでプレイしていました。
紅陽のセレクションにも二人で行ったんですが、彼女だけが選ばれました。」
「たしか、まどかも中学時代は天才少女としてテレビや新聞で紹介されてたよね。
なんでダメだったの?」
「背が低かったんです。
中学の時はもっと低かったし、紅陽の監督があんまり身長のない者を好きじゃなかったというか…」
「そう…」
「はい。」
「あなたの才能は決して古川選手には負けていないと思うわ。
でもね、バレーボールという競技は背が高い方が有利なのよ。
この事実には抗うことが出来ない…
だから、不本意ではあるけれど、ここは高山の言う通りにするのがいいと思う。」
「はい。監督…
頑張ります。」
「絶対勝つよ!まどか」
「はいっ!」
沈んでいたまどかの表情も幾分晴れたように見いた。
木本はまどか達の練習風景を見ながら、自問自答した。
新田まどかを中心にした現チームは、自分が監督に就任して以来、最強の攻撃力があると自負できる。
だが、作陽の古川を止める事は冷静に見て不可能に近いものがある。
だったら、このまま…
「まどか!」
「はい」
「練習終わったら監督室に来なさい。」
木本はまどかから話を聞くことにした。
「失礼します」
一礼してまどかが監督室に入室してきた。
「練習終わりに悪いわね
少し、話を聞きたくてね。」
「はい…」
「さっき、高山って人からあなたが飲んだ薬の話を聞いたわ。」
「監督…」
まどかはハッとして木本の顔を見たが、すぐに俯いてしまった。
「大体のことは理解したけど、体調は大丈夫なの?」
「はい。体調の方は問題ないです。」
「まどか、今日の練習で、あなたのスパイク練習を見たけど、別人かって思うくらい力強くて、打点も高かった。」
「自分でも信じられないくらいです…」
「そんな薬に頼らなくても実力で紅陽をねじ伏せられるって、ずっと思ってやってきたし、まどかの代が、私が監督に就任してから最強だと思ってる。」
「監督…
やっぱり、あんな薬を飲まない方が良かったんでしょうか…」
「あなただけに正直に言うけどね
今年の紅陽は過去最強だと思う。
あの古川選手が特に厄介だわ…
まどかと同じ中学だったんでしょ?」
「はい。恵美梨…いえ、古川選手とは地元が同じで中学の時は一緒のチームでプレイしていました。
紅陽のセレクションにも二人で行ったんですが、彼女だけが選ばれました。」
「たしか、まどかも中学時代は天才少女としてテレビや新聞で紹介されてたよね。
なんでダメだったの?」
「背が低かったんです。
中学の時はもっと低かったし、紅陽の監督があんまり身長のない者を好きじゃなかったというか…」
「そう…」
「はい。」
「あなたの才能は決して古川選手には負けていないと思うわ。
でもね、バレーボールという競技は背が高い方が有利なのよ。
この事実には抗うことが出来ない…
だから、不本意ではあるけれど、ここは高山の言う通りにするのがいいと思う。」
「はい。監督…
頑張ります。」
「絶対勝つよ!まどか」
「はいっ!」
沈んでいたまどかの表情も幾分晴れたように見いた。
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