ハカイジ

からくり

「桑原和人

ここの仕組みを教えてやろう。」


安田は、和人の表情をじっと見つめながら話を続けた。



「お前が作った借金は、相当な額だ。

いや、親だったな

借金を作ったのは。」



「…」



「どちらにしても、お前は毎月の利息させ払えずに焦げ付かせ、債務の返済が不可能となって、ここに連れてこられた。
違うか？」



「いいえ。
違いません。」



「だから、ここで強制労働をさせられているんだが、お前の借金額を見たが、ここで延々と働いても、返済のメドは立たないようになっている。


つまり、お前は一生ここで働き続けなければならないのだ。」



「…」


和人は、薄々そのように感じていたが、こうしてあらためて聞いてしまうと、落ち込むというか、頭が真っ白になり、言葉が出てこなくなった。


「お前たちのような多重債務者に未来はないから、仕方あるまい。


しかし、ワシだって鬼じゃない。


お前にチャンスをやることにした。

だから、ここに呼んだんだ。」



「チャンス？」



「ああ。

チャンスだ。


お前にとっては大きすぎるくらいのな。」



「あの…

そのお話をお聞かせ下さいますか？」



「いいだろう。

話してやろう。



桑原和人

お前に選択肢を与えてやる。


一つは、これまでと変わらず、一生奉仕を続けること。


もう一つは、非常に簡単な話なんだが…


お前、男をやめる気はあるか？」


安田は、真顔でそう言ったのだった。