ハカイジ

ペースメーカー

レンは、安田に手渡された錠剤を飲まないわけにはいかず、仕方なく口に放り込んだ。


レンが飲み終わると、安田はニヤッと笑った。


「今飲んだ薬はなあ、即効性があってな。

レン、お前のカラダは、今からおかしくなる。」



「そんな…」


レンは、元妻が見ているだけに、何事もない形でこの場を乗り切りたかった。

しかし、そんな考えは、安田は全てお見通しで、それを見越して愛果をここに留めたのだ。

この女性化した肉体を愛果に見られただけでも屈辱で塗れているのに、安田に全てをコントロールされているとは…

レンは、この状況に恐怖し、絶句した。


「そろそろだな。」


安田が時計を見て言うと、レンの表情に緊張の色が見えた。


そして、息づかいが荒くなり…少し前屈みになってしまった。


「レン、どうしたの？

しんどくなったの？」


愛果は、元夫の様子がおかしくなってしまった事に焦り、声をかけた。


「奥さん

おたくの元旦那は、しんどくなったんじゃないよ。

その証拠をこれから見せよう。」


安田はそう言うと、レンの背中に手で触れた。


すると、レンは、ギョッとした顔をし、安田の方を一瞬見つめた。

そして、すぐに


「あーーーーーっ！！！！」


と、絶叫した。


「どうしたの！

レン！」


愛果が声をかけても、レンは返事をせず、体を硬直させた。