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犠牲なくして成功なし
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「どうしたんですか?」
「ごめんなさい。
道下さん、元気にされてるかなって…
単純にそう思っただけなんです。」
「そうですか…
あれからしばらく経ちましたが、お元気そうでよかった。」
愛果は、施設から送って来てくれた道下という男に親切にされた上、夫を救い出す鍵を握っているとされる桑原和人にも引き合わせてくれた。
言葉は悪いが、この道下という男を利用しない手はないと思っていた。
和人から話を聞いたが何も進展がなく、少し焦りを感じていた愛果は、道下に連絡を取ったのだった。
近くの喫茶店で待ち合わせをし、顔を合わせた二人は、早速話を始めた。
「まさか、道下さんがお近くにお住まいだとは思ってもみませんでした。」
「ええ。
でも、月の半分はあの施設に泊まり込みで働いてるんですよ。」
「月の半分もですか。
それは大変ですね。
奥様も寂しい思いをされてるんじゃないですか。」
「あ、いえ
私はバツイチで、もう長く独り身でいるんです。
ですから、こんな仕事が出来るんですよ。」
道下は、頭を掻きながら笑って答えた。
道下秀一
年齢は三十代後半くらいかと、愛果は見ていた。
「愛果さん
今日、ここに私を呼んだのは、ご主人を助け出す方法についてですか?」
「ええ…
おっしゃる通りです。
でも、それは二の次です。
今すぐにどうこうできる問題ではないし、長期戦を覚悟しています。」
「そうですか…
では?」
「道下さんには、あの時すごくお世話になって、本当に嬉しかったんです。
あの地獄のような施設で傷ついていた私を救ってくれたんですから。」
「いえ…
私は何も。」
「もう一度会ってお礼がしたいなって。」
「そんな、お気遣いはなさらないでください。
あなたに情報を流した事については、私の独断でやった事ですし、会社にとっては決して好ましい事ではありませんので…」
「それなのに、私のために…
本当に申し訳ありません。」
「いえ…
安田会長の事です。
こうなることを見越して、私にあなたを送らせた可能性もありますが。」
道下は、ため息をつき、そう述べた。
「ごめんなさい。
道下さん、元気にされてるかなって…
単純にそう思っただけなんです。」
「そうですか…
あれからしばらく経ちましたが、お元気そうでよかった。」
愛果は、施設から送って来てくれた道下という男に親切にされた上、夫を救い出す鍵を握っているとされる桑原和人にも引き合わせてくれた。
言葉は悪いが、この道下という男を利用しない手はないと思っていた。
和人から話を聞いたが何も進展がなく、少し焦りを感じていた愛果は、道下に連絡を取ったのだった。
近くの喫茶店で待ち合わせをし、顔を合わせた二人は、早速話を始めた。
「まさか、道下さんがお近くにお住まいだとは思ってもみませんでした。」
「ええ。
でも、月の半分はあの施設に泊まり込みで働いてるんですよ。」
「月の半分もですか。
それは大変ですね。
奥様も寂しい思いをされてるんじゃないですか。」
「あ、いえ
私はバツイチで、もう長く独り身でいるんです。
ですから、こんな仕事が出来るんですよ。」
道下は、頭を掻きながら笑って答えた。
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では?」
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私は何も。」
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「そんな、お気遣いはなさらないでください。
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「それなのに、私のために…
本当に申し訳ありません。」
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