ハカイジ

liar

何の解決策も見出せないまま、時だけが過ぎていったが…

愛果は、レンがどういう事態になっているのか、心配で仕方がなかった。


和人に聞いたように、安田に気に入られているうちは、身の安全だけは保証されているし、外に出るチャンスを与えられるだろう。

安田の出す無理難題をクリアできるかどうかは別問題として。


そして、今の愛果には味方がいる…



「おはようございます。」


道下が愛果の自宅にやってきたのだ。


月の半分を施設に泊まり込んで働いている道下と、自分の休みが合うことなど、そうはない事で。

この日、休みが合った二人は、愛果の家で合流したのだった。


「すいません。

わざわざ家まで来ていただいて。」



愛果がお茶を出しながら礼を述べると、道下は手と首を振って恐縮した。


「いえ、そんなの気にしないで下さい。

休みの日は一人で何をしていいかわからず、こうして呼んでいただけるだけで、本当にありがたいですよ。」


「そう言っていただけるとありがたいです。

道下さん。


あ、そうそう。

お昼は食べられましたか？」


「あ、いえ…」


「よかったら一緒に食べませんか？

私が作るものなのでお口に合うかどうかわかりませんが、私、いつも一人なので料理してても、何か気が入らなくて。

誰かに食べていただけると思えれば、頑張れそうで…」


「あの、喜んでいただきます。」


道下は、顔を真っ赤にし、頭を掻きながら言った。