新 或る実験の記録

フロイライン

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講義

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「以上がこの性転換プロジェクトの歴史とその意義についてでした。

長々と話しちゃってごめんなさいね。」

吉岡先生はそう言うと、皆からの質問を受けた。

最初に挙手したのは、やはり最年長の重岡さんだった。


「あの、性転換が無事に済んでホッとはしているんですが…
なんて言うか…カラダが敏感になり過ぎてて…

これって大丈夫なんでしょうか」


「そうね。
たしかに感じやすいカラダになっているのは、ワタシも含めてここにいる全員が思っていることでしょう。

でも、前にも言いましたが、これはわざとそうしているんです。」


「わざと?」


「皆さんは元々男性として生を受け、男として暮らして来ました。

それを薬により強制的に転換して女にしたのです。

性自認が男性の人を女性にするにあたって、一つ大きな問題が存在していました。」


「えっ…」


「それは、このプロジェクトの肝とも言える、出産という行為についてです。」


「先生、ちょっとお話されていることの意味がわからないんですが…

ワタシ達は、出産するためにこのプロジェクトに参加しているんです。
その出産になんで問題が生じるんですか?
それっておかしくないですか?」

理屈っぽい重岡さんらしく、吉岡センター長にツッコミを入れた。

「みなさんは聞いたことがありませんか?

出産の痛みには男性は耐えられないと…」


「それは、聞いたことがありますが…」


「このプロジェクトを発足させるにあたって、その辺りの事も綿密に調べ上げました。
その結果、やはり男性は痛みに耐えられないだろうという結論に達したのです。

人間は知らず知らずのうちに、本能的にとでもいいましょうか、生命の危機や痛みに対して、回避しようとしてしまうように作られています。

つまり、本能的に出産の痛みを回避しようとするあまり、セックスを避けるようになったり、妊娠の確率が落ちたりするようになるのです。

これは本来人間に備わっている種の保存という本能が、途中から性転換した皆さんには存在しない事を意味します。」


「だから、異常なくらい感じやすいカラダにして、人工的に妊娠しやすい環境を作った…と?」


「そうです。
性欲のピークってご存知ですか?

男性は十代から二十代前半ですが、女性は三十代前半といわれています。

これは女性の妊娠しやすい時期と性欲のピークがちょうど重なっているのではないかという仮説が立てられているのです。」

なるほど…
ワタシ達は出産の痛みを恐れて、その元となる行為を避けようとする。
あと、女性なら誰でも存在する子孫を残すという本能が存在しない…ってわけか

納得できるような出来ないような話だなあ
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