せんぱいの秘密

春密まつり

文字の大きさ
11 / 13

11.初体験*

しおりを挟む


 くるみは呆然としたまま、ベルトを締める猛を眺めていた。

「………ごめん。迷惑だよな。でも勘違いされたままは嫌だった。俺はずっとお前のこと好きだったから」
「……」
「でもこんなことして、お前を悲しませ続けるのは嫌だったのに……」
 くるみはベッドにぺたんと座りこんだままだ。
「だからもう、こういうことはしない。今まで悪かったな」
 言葉が出てこない。
 どうやって自分の気持ちを伝えたらいいのか、正しい答えが見つからない。
「少し、ここで休んでいけ……って聞いてるか?」
 黙ったままじっと猛を見つめる。
 すると猛はくるみから背中を向けた。このままだと何も言えないままだ。ここは猛の部屋だから戻ってくるということはわかっているけれど、離れていくことが我慢できなかった。
「せ、先輩!」
「っ」
 必死に立ち上がり、広い背中に抱きつく。
 大きくて、腕を回しても両手がくっつかない。
「だ、猛先輩。あの」
「……」
 どきどきと心臓が鳴り響く。こんなにくっついているから聞こえてしまうかもしれない。
 でも、かまわない。
「猛先輩、あの、私、私も、好き、なんです」
「……それはもういいって」
 猛の冷たい声が響く。
「ご、誤解しててごめんなさい。でも、先輩のこと好きだから、遊び相手でも先輩がさわってくれるなら、って思って」
「っ」
 涙をぐっとこらえる。
 泣いてしまったら猛の反応がわからなくなるからだ。
 猛の身体にまわしている手に、温かいものが重なった。大きな、大好きな、手。
「本当か?」
「本当です! 嘘なんかつきません!」
「………でも、百瀬も……その」
「なんですか?」
 手を離して猛が身体を反転させる。
 正面に見上げる猛の顔は赤くなっていた。改めてじっくり見るとこんなにかっこいい人だったっけ、とぼんやり見蕩れてしまう。
「な、慣れてるとか」
「あっ! あれは嘘です! 遊び相手にふさわしくなろうと嘘つきました!」
 必死だった。そんな女の子じゃないと、主張をしておきたかった。
 けれど必死すぎたらしい。
「っ、なんだそれ」
 ぷ、と吹き出して破顔した。
「先輩が、笑った……」
 久しぶりに見た猛の笑顔だった。最近はなんだか苦しい顔ばかりしていたから。
 うれしくて、涙がこぼれた。
「……お、おい」
「ごめんなさい、誤解して、嘘ついて……」
「……いや、俺もごめん。お前の勘違いを利用してるのわかってて、我慢できなくてひどいことしちまった。俺が、怖いよな?」
 首を振って、猛の胸に抱きつく。
「怖くないです。全然、いやじゃなかったし、き、気持ちよかった……ので」
 素直に伝えると猛の腕が背中にまわった。
 気持ちが通じ合った喜びに、くるみは遠慮なく猛にしがみついた。
「あ」
 下腹部の一部が熱を持った。くるみ自身の熱ではなく、与えられるもの。ちょうどそこにあるのは――。
「わ、悪い。その」
 猛の高ぶりだった。次第に硬くなってくる。
 くるみの中にあったひとつの望みを思い出した。
「猛先輩」
「……なんだ?」
「最後まで、してくれませんか……?」
 何度も身体をさわられたり舐められたりしていたのに、最後までは絶対にしてくれなかった。それはきっと誤解が誤解を生んでいたからだ。でも通じ合った今なら猛はくるみに欲望をぶつけることができるだろう。
「いいのか?」
 長い沈黙のあと望みのある答えが返ってきた。
「して、ほしいんです。ずっとずっと思ってました」
「………うれしい」
 顎を持ち上げられて、猛が背中を折る。
「百瀬……好きだ」
「ん」
 ゆっくり唇がふれ合う。表面にふれるだけのキスをしてむにむにと唇の感触を確かめているみたいだった。ちゅ、と音がして離れていくと、唇をぺろりと舐められる。

 初めてキスをした時のことを思い出す。
 てっきりクリームを舐めただけだと思っていたけれどやっぱりあれは、キスだったんだ。
「なに、考えてんだ?」
「……ファーストキスのこと、です」
「お前、いつだった?」
「猛先輩とした最初の時です」
「……そう、か」
「先輩は? ……んぅっ」
 口の中に猛の舌がもぐり込む。ぬるりとした感触に背筋が震えた。
「俺が初めてで、うれしい」
 くちづけの合間に囁く声は、やけに艶めいている。
 今までもこんな声を出していたっけ。あんまり覚えていないのはどうしてだろう。
「んっ、ん、う」
「苦しくないか?」
 舌を絡め取られ根元から吸われると涙で視界が滲んだ。息がうまくできないのはまだ慣れていないせいだ。猛とのキスは何度しても慣れない。気持ちがよくて胸が苦しくなって、酸素が足りなくて頭がぼんやりする。
「は、い」
 ちゅ、と小さなキスを繰り返しながら、ベッドに押し倒される。
 膝立ちの猛の大きな手が胸をさわる。
「すげえドキドキしてるな。まあ、俺もだが」
「……っ」
 制服のボタンを丁寧に外し、下着の上から、鼓動を確かめながら胸を手のひらで包む。
「やわらかい。お前、幼いくせにこういうとこえろすぎ」
「は、恥ずかしい、です」
「もっと見せろ」
 背中にまわった手がブラのホックをぷつりと外す。おとずれた開放感に安堵するなんてことはなく、余計にドキドキと胸が高鴫るばかりだ。肩のラインや鎖骨を撫でられてゆっくりと胸に手を当てる。やさしいのか、焦らしているのかわからない動きにくるみはもどかしくなった。
 猛の手が胸をすくい上げるようにして動き、先端を指の腹でこする。さわっているうちに
主張してくる先端は、敏感になっていた。
 深いキスをしながら胸を弄られるとそれだけで達してしまいそうになる。大好きな人がさわってくれているのだ。うれしくないわけがない。唇が離れ、猛の頭が下がっていく。
頬や顎、首筋にキスを落としたあと、胸の先端にもキスをする。
「ん」
 ぬるりとした舌が先端を甜め、吸い上げる。すると腰が浮いた。
 乱暴じゃない、激しくない動きなのにどうしてこんなに震えてしまうんだろう。むしろ余計に感じてしまっている気がしていた。
「もう、イきそうか?」
「ち、ちがっ」
 くすりと目を細める猛。
 胸がきゅうっと苦しくなった。
「ひゃうっ」
 猛の手がスカートの中にもぐり、指先が秘部の割れ目を往復する。
「すげえ濡れてる」
 ぽっりとつぶやいた言葉にくるみの全身はカアっと熱くなった。
「い、言わないで」
「……くそっ」
 まるで怒っているような顔をして猛は指を下着の隙間からねじ込んできた。下着が食い込むけれどそんなことよりも、直接与えられる刺激に声を上げた。
「あ」
 すでに水音が響くほど、くるみは蜜を溢れさせていたみたいだ。猛の指が動くたびに濡れた音が聞こえてくる。恥ずかしくて耳を塞ぎたくなる。けれど猛から与えられる刺激にそんなことをする力さえ無い。
 もっと頭を下げた猛がくるみの足を大きく開く。
「え」
 驚いている隙に猛はくるみの足の間に顔を埋めた。いったいなにをしようとしているんだろう、と考え始めた時にはもう遅い。湿った下着を脱がされ、猛の顔の前にあらわになる秘部。太い指が秘部の割れ目を弄り、そのままおかしな感覚が全身を襲った。
「えっ、ん! な、なにっ」
「………………ここ、甘いんだな」
「ひゃっ、や、やだ先輩、なにを」
「ん? 舐めてる」
 キャア、と高い声を上げた。
 信じられない、そんなところ。
 くるみは全身を熱くして、足をじたばたとさせて抵抗しようとしたが猛の力強い腕に阻まれる。それに足の間に彼の顔があるので全力では抵抗できなかった。したとしても簡単に負けてしまうだろうけれど。
「ン……っ」
 秘部に感じるぬるりとした粘膜。
 言われなければ気づかなかったかもしれない。これは猛の舌なんだ。
「ふあ、あ、う、っ」
 ぴちゃぴちゃと音を立てて秘部を丹念に舐められている。まるで大きな犬だ。でも犬はこんなことしない。舐められているうちにくるみの身体はなにもできなくなってしまう。くたりと弛緩させて痺れるような刺激に身を任せていた。身体は小刻みに痙攣し、嬌声をあげることしかできない。
「……感じやすいんだな」
「う、……はあ、……」
「指いれるぞ」
「っ」
 舐められて敏感になった蜜口に入ってくる異物。身体が強張った。
 けれど思ったよりも痛くはない。というかむしろ、なんだか――。
「んうっ」
 内壁をこすられて、腰が跳ねる。
「反応が、違うな。気持ちいいのか?」
「あ……せ、せんぱい……」
 助けを求めるように猛を見上げた。
「っ、その顔はまずい」
 中を指でかき混ぜられるとさらに蜜が溢れ出す。
「もう、はいりたい……いいか?」
「は、い」
 ようやく、猛を受け入れられるんだ。
 初めてのことで少し怖いけれどでも、期待していたことだ。愛撫するだけじゃない、もっと先のことをしてほしいともう長いこと願っていたような気がする。
 性器が蜜口をこすると、ぐちゅりと音がした。
 心臓が痛いくらいに鳴っている。
 けれど一向に次の衝撃がやってこない。猛を見上げると、深刻な顔をして固まっていた。
「……どうしたんですか?」
「いや……お前、はじめてなんだよな」
「そ、そうです。……だめ、でした?」
 もしかして、初めての子は嫌なのだろうか。面倒だと、思っているのだろうか。
「そうじゃなくて。その」
 猛は酷く言いづらそうにして、頭をかきむしったり、天井を見上げたりと落ち着かない様子だった。やがて覚悟を決めたのか、睨むようにくるみを見つめた。
「お、俺も初めてだから……痛くしたら、悪い」
「ええっ」
「な、なんだよ」
 頬が赤くなっていく猛。これは、行為による熱ではない。照れているんだ。
「先輩も初めてって、本当に?」
「悪いか」
「そ、そんなことないです! でも、なんかびっくりして……」
 本当はまだ信じられていない。
 だってあんなにたくさんのことをしてきたのに。こんなに乱されてしまったのに。初めてだったなんて。
 驚きと、それから安堵。
 自分だけじゃないのだとなぜかうれしくなった。
 それに、猛の初めての相手になれることによろこびを感じた。
「……挿れるぞ」
 ごくりと喉が鳴る。
 蜜口に押し当てられた熱。ぐ、と押し開かれるのがわかる。めり込むように中に入ってくる熱い熱いかたまり。猛の性器を舐めた時に思ったが、あんなに大きなものが自分の中に入っているのだと思うと不安に駆られる。
 本当に、はいってくれるのかな。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

無表情いとこの隠れた欲望

春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。 小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。 緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。 それから雪哉の態度が変わり――。

処理中です...