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4 父の独白
しおりを挟む私の名前は藤原啓人。
しがない金融会社に勤めるサラリーマンだ。
突然だが息子の話をしたいと思う。
息子の名前は拓人。
高校二年生の17歳だ。
今から約一年ほど前、息子が校内で暴力事件を起こし一週間の停学処分を受けた。
なんでも同じのクラスの子の彼女に手を出したことがきっかけで喧嘩になったようだ。
だが息子は彼女が別れたから告白したと主張し、その彼女の彼氏?元カレというべきかは別れていないと主張していた。
言った言わないの水掛け論となり原因となった彼女に教師が事情を聞いたところ、痴話喧嘩の勢いで別れたと言ったようだ。
結果、学校側は息子の勘違いから喧嘩が起こったということに落ち着いてしまった。
息子を弁護するわけではないが、好意を抱いていた女性から彼氏と別れたと聞いたら思いを告げたくなると私は思う。
教室で他のクラスメイトを巻き込むほどの派手な乱闘騒ぎになったようだが、警察沙汰にはならず争いの中心だった息子は停学処分となった。
息子と喧嘩した彼氏は三日間の謹慎処分。彼女に至っては処分はなかった。
私は学校側に相手側の処分が軽くないかと抗議をしたが結果が覆ることはなかった。
息子は停学中、部屋に篭りVRゲームをしていた。
昼夜忘れ安全装置と食事の時くらいしか現実世界に戻ってこない息子に私はなにも言わなかった。
仮想世界に没頭して今回の件を忘れてくれるならと黙認したのだ。
停学が明け、息子は再び高校に通い始めた。
見る限り吹っ切れた気がした私はもう大丈夫だろうと高を括っていた。
だが、それは間違いだった。
ある日珍しく定時で仕事から帰宅すると息子の顔が腫れ上がっていた。
息子は「なんでもない」と言い、自室に戻るとすぐにVR stationを起動し仮想世界に潜っていった。
あれは明らかに殴られた傷だ。
私はまた喧嘩かと思い担任の教師にそれとなく息子のことを尋ねてみるが変わりないとのこと。
息子にメッセージを送っても大丈夫の一点張り。
直接話をする機会もなくただただ月日が流れていった。
そしていつの頃からか息子は高校に通わなくなった。
ある日突然息子から「高校やめる」とメッセージが届き、訳を聞いてみると「高校でいじめられてる。だから行きたくない」と開き直ったような顔で言われた。
私は転校や定時制を勧めてみたが息子は乗り気ではないようでのらりくらりと理由をつけて答えを先延ばししていた。
息子は登校拒否になったあと、自室に引きこもりVRゲームに没頭している。
高校は休学扱いにしてもらったが復学しても留年は確実だろう。
まあ息子の身を案じる立場としてはそのほうがいいのかもしれない。
プリント等を持ってきてくれたクラスメイトや息子の友人から聞いた結果、いじめを行なっている生徒は以前息子と揉めた彼氏とその友人のクラスメイト達のようだから、彼等がいなくなれば少なくとも息子の身の安全は保証されるだろう。
あとは留年して一学年下の子とうまくやれるかということが不安材料だが、そこは息子次第だろう。
必ず立ち直れると信じて待つしかない。と私は祈るような思いで日々を送っていた。
そんな時、文部省に勤める友人から飲みに誘われた。
高校時代からの腐れ縁で仲のいい悪友に私は息子のことを話し、学校側やいじめをしている生徒達のことを悪しきざまに言ってしまった。
愚痴る私に友人は「ならこんなのはどうだ?」と高校時代にはまったゲームの話をしはじめた。
当時の私達がはまったゲーム【迷学】がVRゲームでリメイクしたこと。
そのリメイクを文部省が認定し、不登校になった子の為に小中高の授業をその子に合わせて設定できること等々……。
私はそれに飛びついた。
というか私がやりたい。
学生時代どれだけリーシャたんと登校したり、ルビ姉に叱られたり、ツンデレベルベッド様のデレを見たいと夢想したことか……!!!
それが叶うのならばVR酔いなど些事に過ぎん!
私の……いや当時【迷学】にはまったゲーマーなら全員私と同じことを思ったはずだ。
自分の推しとのイチャラブを妄想しない者は漢ではない。
その場で私は友人に頼むと、友人は快く頷いてくれた。
息子と相談してから申請したほうがいいかもしれないと酔いが醒めた翌日に思ったが、まあ息子ならきっと承諾してくれると確信していた。
私以上にゲームが好きなようだし私と好きなゲームが似ている。
きっと【迷学】の良さがわかってくれるだろう。
現実世界も仮想世界も人の心の成長は変わりない。
仮想世界だろうがなんだろうが息子の思い出に残るような楽しい学校生活を送ってほしい。
父親として息子の幸せを願わずにはいられない。
…まあ私の推しメン、リーシャたんとイチャコラしたら殺すけどね。
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