待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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序章 ログイン

第三話

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    VRMMO専用機『ダイブオン』
     脳波を測るようなヘッドギアと真っ黒に塗りつぶされたゴーグル。ヘッドギアに繋がれた電源コードと専用回線ケーブルのみの簡素なゲーム機。
     ソフトはマイクロSDカードのような小ささで、ヘッドギアのこめかみ部分にスロットがある。
     見た目は病院にありそうなアレだけど、中身は常識外れの性能だ。
     開発元は、アンゲルスゲーム社という日本に本社がある会社。
     本社が総合派遣会社という、意味がわからない不思議な会社だけど、長野県にある子会社が開発したこのVR技術は、世界に衝撃を与えたみたい。
     開発者はひどく若い女性ということ以外、全てが企業秘密という徹底した秘密主義が非難されたみたいだけど、ぶっちゃけ僕らゲーマーにとって、どうでもいいことだ。
     
     個人的には企業秘密だろうが、解析不能のブラックボックスだろうが、夢の仮装現実世界に行けるのなら、どういう仕組みかなんてどうでもいい。
     気になる人は気にしてればいい。
     むしろ昔のラノベにあったデスゲームでも僕は一向に構わない。

     ………ごめんなさい。嘘です。ゲームオーバー=死は、やっぱイヤです。強がりましたごめんなさい。
     逆に異世界召喚だったら考える。
     神様にチートもらって無双とか、ハーレム作ったりできるなら、異世界召喚されてもいいかな。
     なんの力もないまま異世界召喚されるのはイヤです。無理です。即、死にます。
     今の僕が異世界に召喚されたら、はじまりの町の近くにいるスライムに殺される自信ある。断言してもいい。

     うん?僕はなにが言いたいんだろう?思いっきり話が逸れたね。
      まあ、要するにどういう理屈かは重要じゃなくて、というの世界で遊べればそれでいいということ。
      いちいちこれはなんでとか、これこれこういうでこうなってるというは、僕には必要ないって言いたかったのかな?
     自分で言っててよくわからなくなってきた(苦笑)





    10月某日。PM11時59分。
    僕は世界初のVRMMOゲーム機『ダイブオン』を頭に装着し、専用ゴーグルをかけた僕は、ベッドに横になった。
    VRMMORPG『アトランティス』はすでにスロットに差し込んでいる。
    残り一分をきった。
    あとは時間になったらログインするだけだ。
     視界が閉ざされたゴーグルに、カウントダウンがホログラム表示された。

「あと30秒…」

    いよいよ始まる。
     カウント10秒になったら、口に出して数えようっと。

「10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…」

    開始時間だ!行こう!夢にまでみた仮想現実世界へ!

「システムログイン。『アトランティス』」

     認証コードを音声入力した瞬間、魔法陣が表示された。
     複雑な模様、幾何学模様って言うんだっけ?そんな感じの模様で描かれた魔法陣がグルグルと回り出した。

グルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグルグル…

    視界がぼやけ、意識が遠のいていく感覚。
    体験版で感じた不可解な感覚が僕の視覚を、聴覚を、触覚を、嗅覚を、味覚を、五感全てが、グルグル回っていく錯覚を感じた。

    僕は流れに身を任せて、そっと目を閉じた。





    目を開けると、そこは真っ白な空間だった。
    いや、真っ白な部屋といったところか。
    大体部屋の中央に横になっていた僕は、立ち上がると

『アトランティスへよーこそ!』

    と能天気そうな女の子の声が聞こえてきた。
    周りを見渡しても、声の主はどこにもいない。
    天の声か!?

『ここはチュートリアルの間です。ここではキャラクターメイキングと簡単な説明を受けて頂きます。宜しければ、こちらにサインをどーぞ!』

    僕の胸元あたりに、半透明のタブレットほどの大きさの画面が現れた。

【この物語はフィクションである。作中の如何なるNPC、思想、事象も、全て紛れもなく無関係です。又、貴方の現実に存在する人物、思想、事象とは全くの無関係ではいられなくなる可能性が存在します。以上のことに同意した者にのみ、本ゲームに参加する権利があります】
【同意する】
【同意しない】

     ………。なんか昔のゲームで似たような冒頭があった気がする…?
     そんなことを思いながら、僕は迷わず【同意する】にタップした。

『確かに承りました。本当に宜しいのですか?』
「え?なにそれ?ちょっと怖いんですけど…」

    僕が今まで読んだラノベや観たアニメや映画、プレイしたことのあるゲームみたいな展開にならないよね?デスゲームとか異世界召喚イヤだよ?

『お気になさらないで下さい。では次の項目へ移ります』

    画面が本のようにめくれると、そこには【ユーザー名】【アカウントID】【パスワード】【住所】【氏名】【年齢】【電話番号】…などを記す項目が記されていた。

「………。これ、全部書くんですか?」
『はい♪』

    マジか………!
    ていうか事前登録したはずなのに、ここでも登録するの!?
    面倒くさいと、文句の言えない僕は仕方なく画面に目を通した。

「……………すみません…。スマホとか見ないとわからないとこがあるんですけど」

    パスワードとかはスマホにメモってるから、いちいち覚えてない………。
    パスワードはそれぞれ違う設定してるし、僕は凝った数字使ってるから、覚えきれないんだよね…。

『問題ありません。
「いや、よく思い出せって言われても…」
『まあまあ、とにかくでもいいので、記載して下さい♪』
「はあ、わかりました…」

    ていうか、天の声がえらいフランクというか、軽い感じだな。本当にAI?
    とりあえず僕は、わかるとこだけ入力することにした。

「あれ?」

    なんだろ?案外覚えてる…?不思議だ、思い出したら!?
    すらすらと入力できることに、自分でも驚きながら、あっという間に書き終えた。

『続きましては利用規約書に同意の上サインをお願いします♪』

(ああ…面倒くさいなあ…。早くプレイしたいのに。)

    ていうか、利用規約なんて一気に一番下までスクロールして流し読みしてたから、いつもちゃんと読んだことないんだけど…。

    (これはちゃんと読まなきゃいけないのかな…?)
    
    どこで見てるかわからない状況で、流し読みできるほど僕は図太くない。
    一項目ずつちゃんと読んでいると、天の声が聞こえてきた。

『あ、同意とサインだけでいいですよ♪巻きでいきましょう、巻きで♪』
「そういうことは早く言ってよ!」

    思わずツッコミを入れる僕。

『いえいえ、真面目にちゃんと読んでたから、ですよ♪』

    意味のわからないことを言う天の声。

『利用規約の内容は、他と比べても大して変わらないですよ。免責事項や個人情報の取り扱いの内容もほぼ一緒です。ただ一つだけ違う点があるとすれば、今年度に可決された【VR法】です。それでは【VR法】について、説明致しますね♪』

  【VR法】か。このゲームがきっかけで、作られた法律なんだっけ?
     なんか厳しい処分受けるってテレビでやってた記憶があるけど…。
     
『簡潔にまとめますと、ユーザーの方は、現実世界で事件を起こすと、本ゲームのアカウントの取り消し、及び本ゲームを一生涯ご利用できなくなります。なお、仮想現実世界の中でのセクハラ行為及び、PKは禁止です。行為が発覚した場合、牢獄まで強制退場してもらい、現実世界で犯した時と法的処置を受けますので注意下さい』
「質問…」
『どうぞ♪』
「このゲームの中でセクハラとか殺人…プレイヤーキルしたら、現実とを受けるんですか?」
『はい♪例えばセクハラですと、【迷惑条例違反】6ヶ月以下の懲役刑、50万円以下の罰金刑。【強制わいせつ罪】6ヶ月以上10年以下の懲役刑。【強制わいせつ致死罪】無期又は3年以上の懲役刑が適用されます。本ゲームではで犯した時と同等の罰が適用されますので下さい』

    …想像以上に厳しすぎるペナルティーだ。
    天の声の説明は続く。
    プレイヤー同士の争いは【決闘】等の原則禁止。
    敵対NPC(魔物等)が襲ってこない街等の安全地帯で、プレイヤーに暴力行為等を犯した場合、ペナルティーが適用される。
【傷害罪】は6ヶ月以上7年以下の懲役、又は禁固。
    PKを行い、殺したプレイヤーの金品を奪った場合は【強盗殺人罪】が適用される。
  【強盗殺人罪】は無期、又は死刑。
     なにそれ怖っ!!!

『なお本ゲームで発生するとの戦闘中のフレンドリーファイアは原則されております。戦闘中味方、パーティーメンバーの攻撃で死亡した場合は、罰せられません』
「なんでですか?」
というわけでに致します』
「………………?」

    それだと味方に攻撃して殺しても問題ないということでしょ?
    何気にPK、プレイヤーキルを推奨されてるように感じるのは僕の気のせいなのだろうか?おかしなを感じる。
なんだろ、厳しいとかそういう次元の話じゃないような気がする…。
    なんか僕が思い描いていたVRMMOとはなんか違う………?

『なお、違反したプレイヤーは、【牢獄】にて服役して頂きます。【牢獄】でしか行えないクエストやイベント等がありますので、興味のある方はどうぞ』
「………はい?」

    ちょっと待て。意味がわからない。

『仮想現実で事件は、の世界で償って頂きます。【牢獄】の時間軸はにより進みますので、詳細はメニュー画面に記載の、本ゲームのを参照して下さい』
「………つまりこうですか?仮想現実バーチャルで起こした事件は現実リアルで起こした事件は、と?」
『その通りです。なお、に影響、感化、原因等で起きた現実世界のは、通常よりもを科せられますのでご注意下さい』

    なにそれマジで怖っ!!
    そして紛らわしいぃぃぃ!
    てっきり現実リアル仮想現実バーチャルの罪を償うのかと思った。

『ちなみに【牢獄】は、現実の刑務所を基準に創られており、特別なクエスト、又はイベントが発生します。もし興味と金銭的余裕があるのでしたら、嫌いなプレイヤーを殴ったり、好きなプレイヤーに痴漢行為を働くなりして故意に投獄されるのも有りかと思います』
「いやいや、運営が犯罪推奨したらダメでしょ!?」
『それはユーザーのです』
「最悪だこのゲーム!!」

    違った意味で裏切られた気分だよ…。
    胸元に浮かんでいる画面をスクロールしまくった。

【同意する】
【同意しない】

    それでも僕は利用規約の最後に記載されていた【同意する】を叩きつけるようにタップした。

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