待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第四話

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『続きまして、キャラクターメイキングを行います。本ゲームをプレイする際に使用する仮想体、アバターを作成するわけですが、作成しますか?作成が面倒な方のために、も用意されておりますが?』

 デフォルトキャラクター…。デフォキャラか。

「ちなみにどんなのですか?」
『ご覧になりますか?』
「あ、はい」
『それではまず、男性型のデフォルトキャラクターを致しますね♪』

 前方の空間が揺らぎ、複数のが現れた!

『男性型のデフォルトキャラクターは100体ありますが、製作者デフォルトキャラクターを投影致しました』

 なんか見たことあるようなないようながいるんですけど…。

『向かって左から【シュワちゃん】【キアヌ】【マッチョな冒険家】です♪』
「いやいやいや!ダメでしょこれ!?」 
 
 我慢にできずにツッコミを入れる僕。
 
「どっからどう見てもターミ○ーターのTー○00ですよね!?こっちはマト○ックスのネオじゃないですか!あとこの【マッチョな冒険家】って、完全にドウ○イン・ジョ○ソンでしょ!ジュ○ンジでしょ!?ていうかいいんですかこれ!?」
『…随分詳しいですね。まさか何十年も昔の映画を知っているとは思いませんでした』

    変なところを感心する天の声。
    今のティーンエイジャーはわからないかもしれないけど、僕は両親の影響で、昔のゲームや映画をよくやらされたり、観せられたりしたからわかる。

    これはパクリといっても過言ではないと!

    もうツッコミどころ満載すぎて、著作権的にどうなの!?と心配になってくる。
 【シュワちゃん】も【キアヌ】も【マッチョな冒険家】も、昔DVDで観た通りの姿。どれも精巧で、一瞬本人かと見間違えそうになるくらいのクオリティーだった。
 僕はこの限りなく実物に近いCGのアバターを見て思った。
 現実的リアルすぎて怖いと…。

『ですがご安心ください。製作者曰く、これらのアバターは全てだそうです』
「嘘だ!」

 天の声に全力でツッコミを入れる僕。
 どこぞの中国の会社並みに、堂々と嘘つきやがった。

『おや懐かしい。ひぐらしネタですか?何十年ぶりかに聞きました』

 感慨深い口調で語る天の声。
 なんなんだこのヒト…?
 僕はてっきり天の声はかと思ったけど、AIがこんなに自由な発言はしないだろう。
 そんなことより運営大丈夫かと本当に心配になってきた。
 ああ…なんかもうどうでもよくなってきた…。
 早くプレイしたい………。

『お気に召さないようなので、デフォルトキャラクターを紹介致します』

えっ!?まだやるの、もういいよ!という前に、僕の目の前からター○ネーター達が消え、新たに現れる複数のアバター。
 それを見て、僕はもうツッコむ気力すら起きなかった…。

『向かって左から、【侍】【忍者】【ぽっちゃり双剣士】【よろず屋】など、制作者のデフォルトアバターを投影致しました』
「………」
『どうですか??』

 ノーリアクションな僕に、意味不明な問いかけをしてくる天の声。

「なにがですか?」
『クイズ!元ネタはなんでしようか?』
「それはパクリを認めると?」
『いえいえ!仮想体アバターは本ゲームオリジナルキャラクターです』

 ………。ほほう、あくまでそう言い切ると?
 
「この【るろけん】に【ハット○くん】【キ○トコスした松岡○丞】【坂田○時】………。見事に昔のアニメキャラの実写にですけど、僕の見間違いですか?」
『はい、なにかと見間違えてるかと思います』

 なっ!?言い切りやがった!

 ていうか【侍】っていうかこの【るろうに】いいな。佐藤つながりで佐○健アバターもいいかもしれない。僕の名前と似てるし、親近感が湧くな。
 今の佐○健はイケメンおじさんだけど、昔の若い頃もイケメンだ。やっぱりイケメンはイケメンだな。…僕とは大違いだ(苦笑)
 他のお勧めもクオリティ高い。
【ハット○リくん】と【銀○】の銀さんも若いな!それはともかく、声優中の人がコスプレしたアバターは失笑ものだw
 ていうか昔の作品が多いな。制作の趣味かな?ていうかこれわかる僕すごくない?見事に僕の両親のストライクゾーン、趣味に入ってる。
 製作者は僕の両親と同年代か?と思う僕をよそに天の声はこう締めくくった。

『これらもです』

 ………。
嘘くさすぎて、もうツッコむ気にもなれない。

『……なにか言ってくださいよ。寂しいじゃないですか~』
「そんなこと言う暇あったら、キャラ作りしますよ」

 ぶっちゃけ、デフォキャラが微妙すぎる。唯一いいなと思ったのが【侍】の佐○健だけだ。デフォキャラでさっさとフィールドに向かいたい思いはあるけど、佐○健は本当に捨てがたいけど、やっぱり自分の好きなようにアバターを作ってみたい。
 時間がかかっても、自分の、この仮想現実世界でのもう一人の僕を自分自身の手で作ってみたい。
    僕は画面を操作しながら、作り始めた。





数十分かけて作り上げたアバターを再度確認した僕は、満足気に頷いた。

『終わりました?』
「はい」と頷く僕。

 銀髪赤目青目オッドアイのクールな美少年。長身痩躯の細マッチョモデル体型。
初期装備品の【布の服】は黒で統一した。
 うん!我ながら会心の出来だと思う。

『厨二っぽい仮想体アバターですね…』

 ぼそっと呟く天の声。
 ほっとけ!とツッコミたい気持ちよりも、そう言われた羞恥心のほうが上回った僕は、顔をうつむかせてスルーした。
 ああ、恥ずかしい…!顔が熱い、今顔真っ赤だよ絶対……!

『ではこの姿をご自身に致します。宜しければ同意の上サインをお願いします』

【同意する】
【同意しない】

 一瞬、恥ずかしいからやっぱ変えようかと思ったけど、まあいっかと半ば投げやりな感じで僕は【同意する】にタップした。





 全身が光輝いたと思ったら、『はい完了しました』と天の声が聞こえた。
 ………。
 なんかいつもより視線が高い?
 10㎝高い180㎝まで身長伸ばしたからか。

『ご自身の姿を確認して下さい』

僕の目の前に姿見の鏡みたいなのが現れた。
銀髪のイケメンがそこにいた………。

(ヤバい…超カッコいい………!)

 この姿は黒のロングコートが超似合いそうだ。
 某双剣士よりカッコイイと思う。
 自画自賛のナルシストになってるけど、事実だからしょうがない。
 僕は手を開いたり閉じたり、足をプラプラ動かしたりしてみた。
 軽くシャドーボクシングみたいなことをしてみる。
 おお軽い!速い!?まるで自分の身体じゃないみたいだ!
 身体が思うように動かないといった違和感もない。逆に動けすぎるくらいに感じた。
 視界の片隅、右斜め上に僕の名前、【ファントム】とHPとMPゲージが表示されていた。

(たしか、【メニューオープン】だったっけ?)

 念じると音もなく半透明の画面が現れた。
 タブレットくらいの大きさのメニューウインドウ。
 
『ああ、ですか!?職業ジョブがまだ決まっていませんので、メニューは閉じて下さい』
「あ、はい。すみません…」

 ああそっか。まだ職業、ジョブ決めてないから詳しいステータスってまだ表示されないんだった。
 たしか体験版をやった時は【戦士】タイプか【魔導士】タイプ、大きく分けて二つのジョブを選択したっけ。
 あの時僕は【戦士】タイプの【剣士】でスライム無双したな。
 正規版は色々なジョブがあるってゲーム雑誌に書いてあったけど、どうせ僕はギルド入って壁役のタンクやるし、防御力高そうな【戦士】タイプを選択しようかな。

『ではこちらからお好きな職業ジョブをお選び下さい。なお、プレイ中職業ジョブの再選択も可能ですので、お好きな職業ジョブをお選び下さい』

 とは言うけど、適当に選んだらレベルとかスキル上げで、メンドくさくなりそうなのはわかりきってる。
 僕は選択メニューから、決めていた職業を探していた。

 【戦士】タイプの職業、ジョブはこんな感じだ。

【戦士】…槍、斧などの重い武器を扱える近接職。
【武闘家】…肉弾戦がメインの脳筋物理の近接職。
【剣士】…短剣、片手剣、両手剣などの剣技特化の近接職。
【射手】…弓メインの遠距離職。
 などがあったけど、僕は迷わず壁役に最適な【戦士】を選択した。
 派生職で全身鎧、重装鎧、大楯を装備できる【重戦士】職をまずは目指す!

 ちなみに【魔導士】タイプは
【黒魔導士】…地、水、火、風、などの攻撃魔法を扱う攻撃職。
【白魔導士】…回復、付与などの白魔法を扱う援護サポート職。
【召喚士】精霊を召喚する攻撃、援護もできる遊撃職の三つだけだった。
 
【戦士】タイプもそうだけど、ジョブが少ないな。
 まあ、レベルやスキルを上げて中級職、上級職、そして特殊職に派生して成長していく仕様だから、最初につける職業は少ないんだろう。
 習得したスキルも職業やレベルによってどんどん枝分かれしていくみたいだし、同じ職業でも全然違うタイプになるみたいだし、やり込みがいがありそうだ。

「うん?」

 最後まで職業欄をスクロールしていた僕は、最後に表示されていた職業に目を奪われた。

特殊ユニーク
【勇者】
【遊び人】
【スライム】

……………………。
 は?なに!?
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