待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第1章 ギルド入会

第四十二話

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 最近、身体の調子が悪い。
 インしてる時は絶好調と言っていいほど調子がいいんだけど、落ちてリアルに戻った時、身体がダルく感じてしまう。
 頭もボンヤリするし断続的な偏頭痛が起こる時もある。
 ちゃんと栄養をとるために食事の時間は落ちて三食とってるんだけどな…。
 休息もちゃんと寝るときも落ちて4時間くらい睡眠とってるのに体調が悪い。
 ネトゲやってた頃みたいに不眠不休の二徹三徹してないし、パンや栄養食品で片手間に食事とってるわけでもないのに調子が悪い。
 何故だろう?一応規則正しい生活を送ってるはずなのに…。
 だからなのか自然と調子のいいこっちにインしてる時間が長くなる。
 
 そのお陰でといったら変だけど、僕のレベルはけっこう上がってこの前ようやく10を超えた。
 マリアさんと時々ちーずプリンさんの三人でクエストこなしたり、ソロで一人淋しく森の中でレベル上げしたりしてた努力の賜物だ。
 ぶっちゃけ全体の中ではレベル10は遅いほうだ。
 課金勢がEXPパックを購入してレベルを最初からブーストさせてたし、武器の強化も+3くらいまで鍛えてるPCが多い。
 そもそもこのゲームと本体買える裕福なPCは余裕で課金するだろう。
 バイトを辞めてこのゲームに没頭してる僕ですら課金したいと思ってしまうほど裕福層を狙ったあざとい課金商法が多い。
 偏見も混じってるけど課金できない、しないPCは僕のような資金面で貧しいPCだけだと思う。
 無課金勢もいると思うけど少なくとも僕のギルドには一人しかいない。
 ドンペリキングをはじめとしたガチ勢派は課金ブーストを普通にしてる、ていうか重課金してるPCばかりだ。
 アーノルドさんもやれなくて遅れてる分を補うかのように課金してるし他のギルメンやPCも普通に課金してる。
 僕と同じく資金難で課金をしてないのはちーずプリンさんくらいしか知らない。
 …まあ僕はあまり他のPCと関わらないから知らないだけなのかもしれないけど。
 課金が悪いとは言わないし個人の自由だと思うけど、この【アトランティス】というゲームは重課金と無課金の差が大きすぎると思う…。

 まあ僕は自分のペースでこのゲームを楽しむだけだ。
 ぶっちゃけPSは課金ブーストしたPCに負けない自信あるしね。
 …全然強がりなんかじゃないからね!(泣)





 早朝5時。
 僕は一人、アトラスの街を出た。
 僕は今日、着々と準備を整えてきたけど中々進めなかったクエストを消化しに行くことにした。

 特殊連続クエスト。【鍛治師の挑戦】

 そのクエに必要な素材【鉄鉱石】を【龍の住まう山脈】まで取りに行く予定だ。
 アトラスの街から西に見える山脈が目的地だ。
 本当はアーノルドさんが手伝ってくれる約束をしてたけど、中々一緒にプレイできる時間が取れない。
 業を煮やした僕は遠いけど一人で行ってみようと思い立ち今に至る。
 装備に若干の不安はあるけど、レベルは10を超えたし野営できる【テント】や簡易セーブできる【携帯ポータル】ポーションや解毒薬など各種回復アイテムもある程度揃えた。
 距離的に数十から百キロはないと思う。
 目算だから自信はないけど、まあなんとか歩いて行けると思う。
 ぶっちゃけ不確定要素たっぷりだけど、冒険者らしくちょっと冒険してみたかった。
 万が一被害は僕一人で済むし変な気を遣わなくて済む。
 レアなアイテムも持ってないし、もし死んでも被害はそんなにひどくない。
 というわけで朝早くから僕は旅立ってみた。
 とりあえず街道はあるし道なりにどんどん西へ進んで行こう。

 攻略サイトや掲示板で色々調べてみたけど、街道はモンスターとエンカウントする確率は低いらしい。
 その代わりに【盗賊】といった野盗に襲われる危険が出るみたいだ。
 商人の護衛クエで街道を進んで行くと必ずと言っていいほど盗賊に遭遇するというある意味イベントに近いモノらしい。
 PTやソロで街道を歩いている場合は低確率でエンカウントするようだ。
 僕は盗賊に出くわさないことを祈りながら歩みを進めていった。


「遠い……」

 この前魔核目当てで降りた川の吊り橋を恐る恐る渡りしばらく道沿いを歩き続けていたけどいい加減疲れてきた…。
 肉体的には全然辛くない。でもただ歩くだけの行為がひどく退屈に思えてしまう。
 舗装された道。周りは木々が生い茂っていて景色が大して変わらない。
 同じ所をぐるぐる回ってるんじゃないかって思いこんでしまいそうだ。
 それが精神的に疲れてくる…。
 
「全然モンスター出ないし、盗賊も出ないし…いや出たら困るんだけど…」

 一人だからか、ブツブツ呟きながら歩いている僕。
 周りには誰もいないし歌いながら歩きたくなるけどそれは自重しよう。
 通りすがりのPCに聞かれたら死ねる自信あるし、モンスターとか盗賊が寄ってきたら
最悪だ…。
 僕はどうせ疲れないしできるだけ早めに足を動かし続けて、競歩の如く街道を突き進んでいった。


「うん?なんの音だろう?」

 どれだけ歩き続けたのか視界の片隅に表示されてる時間はもうじき昼の12時をまわるところだ。
 代わり映えしない道を進んでいると、なにやらその先が騒がしい。
 誰かが争ってる…!?
 僕は足を止め近くの木に身を隠した。
【隠蔽】スキルを発動させた僕はそのまま木々の合間を縫うように隠れながら現場に近づいていくと……

「やっぱり盗賊か…」

 木の陰からこっそり顔を覗かせて見ると、モヒカン頭の薄汚い身なりをしたNPCが剣とかナイフを武装してある集団を襲っていた。
 ていうか盗賊っていうより世紀末にいるヒャッハーな軍団じゃん…。
 あ、アレも盗賊もやってるヤツもいたか。
 ていうかこのゲームに出てくるガラの悪いNPCはみんなヒャッハーな強面なんですけど(笑)
 対する集団はPCだった。
 馬車を守るようにして盗賊達と戦っている。
 自前の馬車かなアレ。あんな高級品はどこぞのギルドに所属していていないと手に入れることは難しい。
 馬車にNPCの反応はないことからなにかのクエストでもない。
 
「さてどうするか…?」

 そっと呟く僕。
 そうは言ったもののこの後起こす僕の行動は決まってる。
 隠蔽スキルを発動させたまま速やかに僕はこの場を立ち去った。
 他PCの戦闘だ。同じギルドの仲間でもないしフレでもない。
 加勢する義理も理由もない僕はある程度離れると再び街道に戻って歩き続けた。
 
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