待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第1章 ギルド入会

第四十一話

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 マリアさん先導のもと僕らはアトラスの街から西へ向かった。
 草原を抜けると森があり街道沿いにしばらく進むと川を渡る橋があった。
 幅の広い吊り橋で下の川まで10メートルくらいはある。
 渡るのにけっこう勇気が必要な橋だけど目的地は橋の下。
 
 「ここの川にいるカニのモンスターがスライムと同じ魔核なのですよ」

 そう言いながら河川敷のほうへ降りていくマリアさん。
 僕とちーずプリンさんはマリアさんの後を追った。
 なだらかな坂を慎重に降りていくと先に降りたマリアさんがこちらを手招きしていた。
 すでにマリアさんは背中から大剣を抜き放って肩に担いでいる。
 
「ほら。あそこにいるサワガニがお目当てのモンスターですよ」

 マリアさんが指差す方向には確かにカニがいた。

「……アレってホントにサワガニなの?」

 ちーずプリンさんがぽつりと呟いた。
 信じられないような口ぶりと表情を浮かべて少し離れた先にいるサワガニを見つめているちーずプリンさん。
 確かに僕の目にもあれはサワガニに見える。
 ただ、大型犬くらいだ……。

「日本にしかいない固有種がなんでこんな所に!?」

 驚きの声をあげるちーずプリンさん。
 うん?驚くとこそこ!?

「サワガニは魔核の他に天ぷらや素揚げにして食べると美味しいモンスターですよ」

 そんなプチ情報を言ったマリアさんは大剣を肩に担いでサワガニに向かって駆け出した。

「せいやああああああ!!!」

 飛びかかったマリアさんの大剣がサワガニの甲羅を直撃した!
 甲羅が砕け飛び散りポリゴンのカケラへと消え去っていった。

「一撃…!?」

 相変わらずすごい火力だ…。
 この前一緒にPT組んでた時より強くなってない?
 ちーずプリンさんも驚いてるし…(苦笑)
 一瞬にして戦闘が終わりシステムメッセージが流れる。

『サワガニを倒した!』
『パーティーメンバーそれぞれにEXPを16獲得しました』
『【カニの足】を6獲得しました』
『【カニのハサミ】を2獲得しました』
『【魔核(極小)】を獲得しました』

 おお!いきなりドロップした!

「サワガニの甲羅を部位破壊すると魔核を取りやすいです。甲羅を傷つけずに倒すことです」

 僕らに説明するマリアさん。
 僕は少し残念そうな表情を浮かべるマリアさんを見てふとあることを思った。

「あれ?もしかしてマリアちゃんはコレ食べたいの?」

 僕の言いたかったことを先にちーずプリンさんがマリアさんに言った。
 マリアさんは頰を染め恥ずかしそうな顔をした。

「はい………。正直に白状しますけど、私好きなんです。サワガニの素揚げ///」
「じゃあ集めようよー」
「いえ、【魔核】を取るには甲羅を破壊しないと取れません。甲羅を破壊せずに倒してしまうと【カニの死体】を取れる代わりに魔核は取れなくなるんです…」

 ……なるほど。つまり僕らが集めようとしている【魔核(極小)】は部位破壊ボーナスみたいなものか。
 逆に素揚げとかにして食べたい場合は部位破壊せずに倒さなければいけないと…。
 ていうかドロップアイテムが【カニの死体】ってなんかイヤだな…。
 確かに死体だけどもうちょっと言い方を考えなかったのだろうか……。

「ファントムさん、魔核っていくつ必要なの?」

 ちーずプリンさんが僕に尋ねてきた。

「えっと、10個ほど必要なんですけど…」
「それなら10個集めたら今度はカニの死体集めようよ!」
「えっ!?いいのですか…?」

 僕のほうを伺うように言うマリアさんに僕は頷いた。

「ええ。もちろんいいですよ」

 ぱあー!っと輝くような笑顔を見せるマリアさん。

「ありがとうございます!さあ!ガンガン狩りますよー!」

 次なる獲物を求めてマリアさんが駆け出して行ってしまった…。


 目を爛々に輝かせてサワガニを探すマリアさんは狩人と化していた。
 少し引くくらいのテンションでサワガニを見つけては大剣で粉砕。
 
「あたしら必要なくない?」

 そう呟くちーずプリンさんに激しく同意…。
 僕とちーずプリンさんの出る幕がない速さでサワガニを倒していくマリアさん。
 システムメッセージがその度に浮かび上がっていき順調に魔核をドロップしていく。
 そして………

『サワガニを倒した!』
『パーティーメンバーそれぞれにEXPを16獲得しました』
『【カニの足】を6獲得しました』
『【魔核(極小)】を獲得しました』
『ファントムのLVが6から7に上がりました!』
『SPを7獲得しました!』
『ちーずプリンのLVが4から5に上がりました!』
『SPを5獲得しました!』

 とうとう僕らのレベルが上がってしまった…。
 経験値を同等に分配するシステムだからなにもしなくても経験値は入ってくる。
 
「これってさー、パワーレベリングって言うんでしょ?」
「ええまあ…そうなりますかね」

 ちーずプリンの問いかけに僕は頷いた。
 パワーレベリング。高レベルのPCプレイヤーの力を借りて通常よりも早いスピードで経験値稼ぎをすることを、初心者同然のちーずプリンさんがよく知ってたなと僕は変な感心をしてしまった。
 下水道の時もそうだったけどマリアさんは一人で突っ走る傾向が強い。
 こちらがなにも言わないと一人で全部片付けてしまいそうだ。
 
「ぶっちゃけ楽だね」
「まあ確かに楽ですけど、PLはレベルが上がり安くなる反面、PSを訓練する機会が減りますからね。あまり上手くならないまま強くなってしまいますから一概に良いとは言えませんけど…」

 それにここは仮想現実の世界だ。仮想体アバターとはいえ自分の身体。
 現実で自分の身体を動かすことと変わりない世界で、ろくな戦闘経験を重ねずにPSを疎かにしているとこの先やっていけなくなる可能性大だ。
 いや、確実にやっていけなくなる。
 普通のゲームのようにコントローラーやキーボードで訓練するよりも難易度は高いからPSを磨くことは必須だ。
 特に判断力と操作技量を鍛えないと…。

「あ、ちなみにこういうMMORPGでは他のPCが敵を倒してる側でPLをすると一気に敵数が減ってしまうので他のPCに嫌がられますから気をつけたほうがいいですよ。PLって大抵周りのPCから好まれない行為だし」
「ほえー」

 僕がそう説明すると、ちーずプリンさんは感嘆の声を出した?
 
「流石ファントムさん。引きこもりのネトゲーマーは物知りですね♪」
「ひ、引きこもりのネトゲーマーって…」

 そんな風に思われていたのか…。
 まあ否定はしないし、別に悪意があって言った感じでもなかったし、まあいっか。

「あ、ごめん!悪気があって言ったわけじゃないんですよ?いつもログインしてるからそう思っただけだし、あたしも似たようなものだからそうなんじゃないかと勝手に思っただけで…」

 僕が少し落ち込んだのを見たちーずプリンさんが慌てた様子で早口にフォローの言葉を口にした。

「別に気にしてないんでいいですよ。ところで…」

 僕はマリアさんのほうに視線を向けて言った。
 嬉々として大剣を振るうマリアさんがまた一体サワガニを倒していた。

「……マリアさんの勢いがすごすぎて言えませんでしたし、今さら感がありますけど僕らも参戦しますか?」
「参戦はいいけど、あたしらが手を出す間もなく倒しちゃってるんですど…」

 苦笑するちーずプリンさん。
 確かにほぼ一撃で倒してるマリアさんの加勢は必要ないだろう。

「あっちは彼女に任せて、僕らは反対側の方を探していきましょう」
「ああはいそういうことねー。了解でーす!」

 僕らはマリアさんから少し離れた所で目当てのサワガニを探すことにした。



 前衛は僕。後衛はちーずプリンさん。
 僕が挑発スキルで敵を引きつけて、ちーずプリンさんが魔法で攻撃と予め決めていたんだけど………

「業火よ爆ぜろ、【ファイアーボール】!」

 ちーずプリンさんの放った火の玉がサワガニに直撃!
 サワガニのHPゲージが一気に減り光のカケラとなって砕けた。
 一撃か…。弱すぎる。
 もしかしてサワガニは水属性かな?だから火属性が弱点だったとか?
 システムメッセージが流れるがそこにお目当ての魔核はドロップしなかった。
 代わりにドロップしたのは【カニの死体】

「ファントムさんが攻撃して甲羅割る?」
「それもいいですけど、僕らはカニの死体を集めましょうか」

 マリアさんが甲羅ごと砕いて倒すだろうから魔核はどの道手に入る。
 効率を考えると僕らはカニの死体を集めたほうがいいだろう。

「そうだねー。オッケー了解でーす!」

 その後の戦闘はちーずプリンさんの魔法でサワガニを倒しまくった。
 

しばらくしてマリアさんが【魔核(極小)】10個をドロップした。
 僕らもその頃には【カニの死体】を4個ドロップしていた。

「ありがとうございます!早速今日のお夕飯にしますね♪」

 喜ぶマリアさんを見られて、僕とちーずプリンさんは顔を見合わせて笑いあった。
 不思議と緊張はせず自然に目を合わせて笑いあえた。
 そのことが何気に僕は嬉しかった。





 目的を達した僕らはアトラスの街に帰って来た時、空はもう赤らんでいた。

「ファントムさん。に連絡取れますか?」
「え?今からですか?」
「はい。嫌なことは早く済ませましょう」

 なんだか得体の知れない迫力がある笑みを浮かべて言うマリアさんに僕は一瞬気圧され固まってしまった。

「あ、ログインしてるからあたしが連絡するね♪」

 道中、事情を知っているちーずプリンさんがメニューを開いてなにやら打ち込んでいる。
 どうやら代わりにドンペリキングさんに連絡してくれたようだ。

「いま組合にいるって。今から行くってメールしたから早く行こう!」
「はい!」

 勢い込むマリアさんとちーずプリンさん。
 僕は二人の後ろを追いかけるようについていった。



 冒険者組合に着くと、ドンペリキングさんは右側にあるクエストボードの前にいた。
 masatoといちご大福、あとTKという見知らぬギルメンも一緒にいた。
 あの時はキレてたから大丈夫だったけど、今は早鐘のように胸が緊張で高鳴っていた。
 できることなら近寄りたくない。関わりたくないのが本音だ。
 でもマリアさんがドンペリキングの方へ恐れることなく真っ直ぐ向かい、ちーずプリンさんがその後に続いている。
 ここまできたら男子的には逃げちゃダメだろう。

(逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ…)

 こういう時に陥った時に使う僕のお決まりのセリフを心の中で呟きながら僕も後に続いた。
 
「おう、来たの?なになに、ファントムっちも一緒じゃん」

 僕らに気づいたドンペリキング。
 そちらに向かってくる僕にドンペリキングさんは手を挙げて応えている。
 いつもと変わらない態度。何事もなかったかのように佇んでいた。
 それを見て僕は「ああ…。この人は良くも悪くもこういう人なんだな…」と思った。
 その隣でこちらを睨みつけているmasatoといちご大福のほうがまだリアクションだと思った。
 揉めた相手がその日のうちに会いに来たんだ。
 謝罪をするか話を蒸し返してまた揉めるかの二択しかない。
 僕らの場合は謝罪は論外。話を蒸し返しても平行線。どちらの選択もありえない。
 取る為に会いに来ただけだ。

 先に向き合っていたマリアさんとちーずプリンさんが左右に分かれて僕を中央に立たせた。

「で、どしたよ?」

 気さくに話しかけてくるドンペリキング。
 僕は渇いた口の中を湿らしてひとつ静かに深呼吸をした。
 緊張からきている鼓動と震えを押し殺しながら僕は口を開いた。

「………魔核10個、持ってきました」
「おおマジで!速いな!たった半日くらいでもう集めてきたの!?いやーさすがファントムっちGJだぜ!」

 僕の肩に手を置いてパシパシ労わるように叩くドンペリキング。
 僕はそれを軽く受け流して、メニューのアイテムストレージから【魔核(極小)】を取り出した。
 魔核は極小というだけあって、おはじきくらいの大きさしかない。
 僕の手のひらに10個乗せたままドンペリキングの方に差し出した。
 
「これでいいですね?」
「おう!ありがとなファントムっち」

 礼を言いながらドンペリキングが手を伸ばす。
 これで一応、責任は取った。
 もう揉め事は沢山だ…。
 そう思っていたその時、急に横手から細い手が伸びてきた。
 マリアさんが僕の手のひらにあった魔核をドンペリキングより先に取り上げた!

「「!?」」

 驚く僕とドンペリキング。
 魔核を取り上げたマリアさんは魔核をジャラジャラと手の中で転がしながら微笑んでいた。

「シスターの…」
「喋らないでください。空気が穢れます」

 ドンペリキングの言葉をマリアさんの発した声が遮った。
 有無も言わなさぬ圧力を感じて誰も言葉を発せなかった。
 
ファントムさんが一所懸命集めたモノです」

 正確にはマリアさんがほぼ一人で集めましたんですけどね。ということを胸の内で呟く僕。
 口にする気はないし、もう気軽に口を開く状況になってない。
 マリアさんから発しているこのがそれを許していない。
 顔は笑ってるけど目が笑ってない。垂れ気味の緑色の瞳が燃え盛るようにギラついてる…。
 視線で人を射殺すスキルでも持ってるんじゃないかってくらい怖かった…。
 その視線を受けているドンペリキングは青ざめた顔で立ち竦んでいた。

「それをご理解したうえで…!」

 マリアさんは魔核を持った右手を大きく振りかぶると、ドンペリキングに向かって投げつけた!

「っ!?」

 投げ放たれた魔核はドンペリキングの顔面にばら撒かれ床に散らばっていった。
 マリアさんの瞳からが消え、僕の方にいつもの笑みを浮かべて微笑んだ。

「さあ、ファントムさん帰りましょう」
「い、イエスマム!」

 僕は軍隊式の敬礼をしてマリアさんに返事を返した。

 呆然と立ち尽くしているドンペリキング達を置いて、僕らは冒険者組合を後にした。
 この後ちーずプリンさんとともに孤児院でマリアさんに夕食をご馳走される予定だ。
 夕食のメニューは今日狩ったマッスルベアーのステーキとサワガニの素揚げだそうだ。
 今から楽しみだ。と思いながら歩く僕は失念していた。
 という恐ろしさを…!
 また死にたくなったのは言うまでもない…(苦笑)
 
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