待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第4章 NPC

第百三十二話

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「それで、どうなったの?」

 翌日、アリシアの家でス○Ⅱをやりながら昨日あったことを話していたら、アリシアがワンコンでガ○ルを操作しながら僕に続きを訊ねた。

「どうって言われても…さあ?」
「え?幼女見つかったの?」
「さあ?僕は見なかったけど…」

 くっ…!サマーソルト喰らった。
 大丈夫…まだリカバリーできる。

 ツーコンを必死に操作して戦況を立て直そうとする僕。

 頑張れ僕のダ○シム!

「ファントムってさ、冷たいよね」
「え、そう?」
「普通、一緒に幼女探すでしょ?」
「えええ!?探さないよ」
「ほら、そこが冷たい」

 冷たい人間と言われた僕は、地味に傷ついた。

『K.O!』

 そのせいで僕のペースが崩れ、ダル○ムが負けてしまった。

「ずるいよ…そういう心理戦は」
「別にそういう意味で言ったわけじゃないわ」
「じゃあどういう意味なのさ?」
「困ってる人を見たら普通助けるでしょ?って話」
「………」
「もっと人に優しくなりなさい」

 そんなこと言われても………

 メニューに戻り、再び僕はダ○シムを選択。
 アリシアも同じキャラ、ガイ○を選択して再び対戦を始めた。

 リベンジしてやる!

 気を取り直して気合いを入れる僕。
 でも、さっき言われたことが心にチクッと刺さっていた僕は、どうにも調子が出ずにこの後連敗してしまった………




「今日も楽しかったわ。また来てね」
「うん…またね」

 アリシアと別れの挨拶を交わした僕は冒険者組合に向かおうと歩を進めた。
 
 今日の報酬は【聖人へと至る道】という転職本をアリシアからもらった。
 いつもは自分で選べるんだけど、アリシアに連敗したせいか、帰り際にアリシアからこの本を受け取った。

「これ読んで聖人になれってこと?」

 イヤだよ。ていうか、ぶっちゃけいらないなコレ。
 聖職者のアルにでもあげるか?

 僕は歩きながらため息をついた。

「冷たい人か…」

 あの時のことを振り返ってみても、特に接点のない親しくもない人の為に授業をサボってまで探そうとは思わない。
 あれが友達とかだったら探そうとするだろうけど………

「他人に優しくしても意味なくない?」

 と呟く僕。
 そういうところが冷たいのかな…?
 僕にはわからないや………


 冒険者組合にたどり着いた僕は地下にある酒場に向かった。
 酒場にルーネとヴァイスの反応がある。
 他のみんなはどこに行ったんだろう?
 僕はルーネとヴァイスのいる席に向かった。

「あ、ファントムさん、お疲れさまです」
「…gj(お疲れ様)」
「他のみんなは?」
「カイさんとアルさんとアーチェさんはワータイガーの討伐依頼に行ってます。ゼルさんはちょっとわかりません」
「そう…」

 最近そのスリーマンセルで行動すること多いよね。
 まあNPCメンバーは、リーダーであるPCの命令がないと個々で勝手に活動するみたいだけど。
 僕は席に座るとアイスコーヒー(睡眠耐性、小)を注文した。

「あ、そうだ。ヴァイス、この本読んどてくれる?」

 僕は昨日もらったレイズデッドの魔導書をヴァイスに手渡した。
 魔導書を開き黙々とページをめくるヴァイス。

「ヴァイスがレイズデッドを覚えてくれると助かるんだけど、覚えてくれるかな?」
「…np(問題ない)。朋友ぽんようもう覚えた」
「早っ!?」

 もう読んだの!?
 ていうか今ので!?

「…速読は得意」

 ドヤ顔で呟くヴァイス。
 普通にすごいな…=) 
 まあこれで蘇生魔法が使える人はヴァイスとアルの二人になった。
 あとは僕が覚えれば安心かな?
 僕も早く読んで覚えないと(焦)

『ヴァイス(NPC)が【レイズデッド】を習得しました!』

 今さらシステムメッセージが流れてきた。
 知ってるよ!www

「ねえルーネ。どこかで鍛治ができるところない?」
「鍛治ですか?」
「うん。作りたい武器があるんだよね」
「それでしたら、少しお金がかかりますけど、鍛冶場を借りられる所を知っていますので、そこで作ったらどうですか?」
「そうだね…ちなみにいくらかかるの?」
「えっと………たしか一時間10,000Gだったと思います」

 地味に高いな…でも背に腹はかえられぬか。
 お金ならあるし、まあいいか。

「じゃあそこに案内してくれる?」
「わかりました!」

 僕達は早速その鍛冶場へ向かうことにした。
 冒険者組合を出て西の大通りを2ブロックほど進むと武器屋や防具屋、アイテム等を取り扱っている雑貨屋などの商店街がある。
 ルーネの話だとそこの鍛冶屋で場所を借りられるらしい。

「おーい!」

 歩いていると向こうからカイ達が走ってこちらへ向かってくるのが見えた。
 …って、なんか三人とも焦った表情してるのは何故だろう?

「大変だファントム!」
「そうよ大変なのよ!」
「一大事だよ!」

 合流したカイ達が口々にそう言うけど、一体なにが大変なのかいまいちわからない?

「どうしたの?」
「森の王者キングタイガーが攻めてくるぞ!」

 森の王者?

「どうやらワータイガーを狩っていたらキングタイガーの子供を狩ってしまったみたいでね…キングタイガーが眷属と森にいる魔物を引き連れてこちらに向かっているんだ」
「ちょっ!なにそれ!?」

 ていうかアル。そんな他人事みたいに言ってるけど当事者だよね?
 しっかり者のアルがついていながらなにやってるの?

 その時、Jアラートのような警報が辺りに鳴り響いた。

「緊急警報の鐘ね…王国騎士団も気がついたみたい」

 アーチェさんが空を見上げて呟いた。

『特殊クエスト【アルフヘイム防衛戦】が発生しました!』
『参加するプレイヤーは10分以内にアルフヘイムの城門へ向かってください』
『警告!参加しないプレイヤーは転移門でアルフヘイムから離れてください』

 警報のあとにシステムメッセージが視界に流れた。
 街行く人々がキャーキャー叫びながら逃げ惑い、辺りの店も次々と閉めていくのが見えた。
 パニックが起きている…:-()
 ていうか、完全にこの騒ぎはカイ達のせいだよね!?

「王国騎士団が動いたから大丈夫だとは思うけど…」
「でもアーチェさん、伝説の魔獣と謳われたキングタイガーですよ?いくら王国騎士団でもキングタイガーと他の魔物を相手にするのは厳しいと思うです…」
「ファントムどうする?俺たちも参戦するか?」

 カイの問いかけに僕は一瞬悩んだけど、すぐに頷いた。

「僕達も参加しよう」





 




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