待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

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第5章 抗争

第百五十話

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 林で大量殺人事件(手を出す間も無く惨劇が行われた)を目撃した僕は、その後仲間達とともにゼルのいる砦付近まで歩を進めていた。

 カイウスさんの案内のもと、僕らは砦から北へ数キロ離れた場所にある高台に登って様子を見ていた。

「うわぁ…人がゴミのようにいる」

 砦は海を背に建てられて、コローネファミリーの軍勢?が砦を扇状に広がって囲んでいた。
 本当に一万くらいいるな…:-()

「どうする?斬り込むか?」
「賛成です。一気呵成に斬り込んで首魁のコロパチーノを討ち取りましょう!」
「えっと………カイウスさん、抜け道というのはどこにあるんですか?」

 カイとマリアさんが頭のおかしいことを言ってるけど、それは無視して僕はカイウスさんに訊ねた。

「ここから東南へ1キロ先に森があります。そこに抜け道が」
「たしかそこは見つかっちゃったんですよね?」
「はい。砦の様子を見る限り、その抜け道から敵が侵入した感じはしないので、恐らくゼルの親分は抜け道を塞いだかと推測します」
「それじゃあどうすれば砦に行けるのよ?」

 と訊くアーチェさん。
 たしかに。他の抜け道でもあるのかな?

「海の底に砦に繋がる抜け道があります。コローネファミリーに見つからずに砦に入れると思います」
「泳いで侵入か…」

 服は大丈夫かもしれないけど、鎧とか絶対邪魔になるよね。
 アイテムストレージに入れておけば大丈夫だろうけど、僕はアイテムストレージ使えないし、マジックバックもそんなに容量ないから装備は誰かに預けたほうがよさそうだな。

「じゃあ、みんなで海から行こうか?」
「…ちょっと待って」

 フィールさんが制止の声をあげた。
 フィールさんはカイウスさんを見つめた。
 胡散臭そうに。

「…この辺の海域は痺れくらげの巣窟。そんな海に飛び込むのは自殺行為」

 えっ!?そうなの!?

「おいカイウス。お前それを知ってて提案したのか?」

 剣呑な声でカイウスさんに問いかけるカイ。
 何気に腰に挿した太刀に手をかけ鯉口をきっていた。
 周りを見ると全員カイウスさんから距離をとり、いつでも襲い掛かれる態勢をとっていた。
 僕はさりげなく近くにいたカイの後ろにまわるように移動し、カイを盾にするようにして隠れた。

「………危険がないと言えば嘘になりますが、痺れくらげが少ない場所を通れば行けるはずです」

 うーん…行けるはずか………
 そう言われるとみんなで行こうかどうか悩むな。
 万が一なにかあってからじゃ遅いし、水中戦ってやったことないから激しく不安だ。

「大親分たちは待っていてください。俺が潜ってなんとかゼルの親分に大親分が来たことを伝えます」

 決死の覚悟みたいな表情で言うカイウスさん。
 うん。そこまで言うなら任せてみようw

「わかりました。気をつけて行ってください」

 そう言って僕はカイウスさんに任せることにした。
 でも、保険はかけといたほうがいいか。

「ねえヴァイス。カイウスさんに召喚モンスターを何体かつけてくれる?」
「…k」
「………ねえ」

 フィールさんが口を開いた。

「………私なら海に入らなくても砦に侵入できるよ」
「え!?」
「どうやってだよ?」
「………普通に【存在不可視】のスキルで」

 なにそれ!?そんなスキル聞いたことないんですけど???
 ま、まあとにかく危険を冒して海に入らなくても良くなった。

「じゃあ、砦に行くのはフィールさんに任せて、僕達はどうしようか?」
「斬り込むしかないだろ」
「そうですね」
「いや、流石にこの人数で突っ込むのは自殺行為でしょ」

 カイとマリアさんの意見を呆れた混じりに却下するアーチェさん。
 
 砦にいるゼル達は約200。
 僕、カイ、アル、ヴァイス、アーチェさん、ルーネ、フィールさんにカイウスさん。
 そしてマリアさんと仲間達(4人)で13人。
 計213人くらい。
 対するコローネファミリーは約一万。

 うん、改めなくても勝ち目ないねwww
 うーん………本当にどうしよう?

「ボスを倒すか捕まるかすればなんとかなるかな…?」
「それはいいアイデアです!さすがファントムさん!」

 僕の呟きにマリアさんが褒めてくれた。
 
「では首魁のコロパチーノ目掛けて突貫しましょう!」
「いやいやいや、だからそれは無理でしょ!」

 再びバカなことを言い始めたマリアさんに、僕は力一杯突っ込んだ。
 ていうかそれしか言えないのか?
 第一ボスの居場所すらわかってないのに………
 
「ていうかどうやってゼルを助けよう…?」

 ゼルのいる砦は敵に囲まれてる。
 逃げ場はない感じ。
 抜け道とやらも危ない感じで逃げきれるか微妙。
 ゼルだけならフィールさんに頼めば連れてこられるかもしれないけど、多分仲間というか部下を置いて自分一人だけ逃げることはしないだろう。
 じゃあどうするか?
 まともに戦っても勝てる気がしない。
 いや、待てよ。
 別に勝たなくてもよくない?
 僕らが陽動して敵を混乱させる。
 ゼル達はその隙に逃げる。
 ゼル達が逃げたら僕らも逃げる。
 そんな感じでいくか?
 その為にはまずゼルと連絡をとりあえるようにしないと………

「とりあえずフィールさんはゼルのところに行ってもらえませんか?」
「…ん、わかった」
「それでですね………」

 僕は先程考えてたことをみんなに聞かせるように話した。
 みんなは僕の意見に賛成してくれて、それを元に話し合って大まかな作戦をたてる。

 そして僕らは動き出した。


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