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「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」
「え」
魔法省の自然管理科の大臣の執務室にて、ある2人の女が対峙していた。
片方は書類に目を通していて呆然としており、もう片方はかなりきらびやかなドレスを身に纏い真剣な顔をしていた。
「貴女がロナルド様と関係を持っているのは知っているの。私、来月彼とお見合いするの。たとえ大臣でも身分は明白でしょ?だから別れてください」
ドレスを纏う女に頭を下げられ、書類に目を通していた女“カナリア・スタインベック”はさらに困惑の色を浮かべる。
彼女は孤児だ。赤子の頃誰も寄り付かない“禁断の森”に捨てられ、物好きにもその森に住んでいたある男に拾われた。
そこから彼女は男を父として仰ぎ、多くのことを学んだ。
幼くして勉学に励み、魔法学校も最年少で入学し好成績を収め、魔法省へ就職した。
彼女は蛇の言葉を理解する特異体質だった為それを評価され、魔法省自然管理科に配属となった。
そんな順風満帆な彼女には、当初目の上のたんこぶが居た。
それこそ、当時先輩にあたる、ロナルド・クロイツであった。
彼は何かとカナリアを目の敵にし、蛇の言葉を理解できる故に魔法生物である“バジリスク”を連れ歩く彼女と相容れなかった、まるでルールを着ているような堅い男だった。
そんな彼と彼女は決していい出会いをしたわけではない。
それこそ、彼女のバジリスクを彼が“服従の呪い”を掛けようとした事を察したカナリアは、彼の腕を掴み……。
ポキっ!
と、容易く骨を折ってしまった事が出会いなのである。
そこから何かと因縁をつけられ、いがみ合っていたが、一度カナリアが死にかけた事があった。
そのことをきっかけに、ロナルドはカナリアに対して態度が柔らかくなったのだ。
そんな過去もありながら、カナリアはロナルドと恋仲となった。
今考えても昔は想像つかないな、などとカナリアは常々思っていた。
彼女達の関係は別部門の同じ大臣達しか知らない。
彼らがバラしたとは考えにくいが、何処からかは漏れてしまったのは確実だった。
カナリアは1つため息を付き、テーブルの上のコーヒーを一口飲み、頭を下げてきた女を見る。
彼女は最近現れた新参貴族だという。
何でも、王家に多大な貢献をしたとかでその恩恵で貴族になったという。
公爵であるロナルドと婚姻を結びたいのは彼女の家的には更に家の影響力を広げたいという意図は明白だった。
(ロイと、彼女が結婚、か……)
愛称で呼ぶほど彼を愛しているカナリアだが、1つ欠点があった。
それは自分に異常に自信がないことだ。
それは孤児という産まれが影響しており、故に努力を惜しまない性格となったのだ。
そんな彼女が自分より身分も家柄も文句無しの女が、彼女の愛するロナルドと結婚するために別れろと言う。
「前向きに、検討させてください」
折れるのはもはや明白だったのだ。
その日からカナリアの日常は怒涛だった。
別れを自ら伝える事が億劫だった彼女は文をしたため、辞表と共に机の引き出しにしまった。
魔法省に身を置けば嫌でも顔を合わせてしまう、故に彼女は自らのキャリアを捨てる事を決意したのだ。
引き継ぎ等もこっそりとしている中、それは起こった。
「カナリア、今日バーに行かないか?」
ロナルドは仕事終わりのカナリアにそう告げたのは、彼女が魔法省から身を引く前日だった。
彼女の決意は固く、後悔しないためにも本当は彼に会いたくなかったのだ。
しかし、愛している男からの誘いを断る意識は実のところ無く。
「いいよ。いつものバーで良い?」
最後の思い出を作るために、彼女は承諾した。
「え」
魔法省の自然管理科の大臣の執務室にて、ある2人の女が対峙していた。
片方は書類に目を通していて呆然としており、もう片方はかなりきらびやかなドレスを身に纏い真剣な顔をしていた。
「貴女がロナルド様と関係を持っているのは知っているの。私、来月彼とお見合いするの。たとえ大臣でも身分は明白でしょ?だから別れてください」
ドレスを纏う女に頭を下げられ、書類に目を通していた女“カナリア・スタインベック”はさらに困惑の色を浮かべる。
彼女は孤児だ。赤子の頃誰も寄り付かない“禁断の森”に捨てられ、物好きにもその森に住んでいたある男に拾われた。
そこから彼女は男を父として仰ぎ、多くのことを学んだ。
幼くして勉学に励み、魔法学校も最年少で入学し好成績を収め、魔法省へ就職した。
彼女は蛇の言葉を理解する特異体質だった為それを評価され、魔法省自然管理科に配属となった。
そんな順風満帆な彼女には、当初目の上のたんこぶが居た。
それこそ、当時先輩にあたる、ロナルド・クロイツであった。
彼は何かとカナリアを目の敵にし、蛇の言葉を理解できる故に魔法生物である“バジリスク”を連れ歩く彼女と相容れなかった、まるでルールを着ているような堅い男だった。
そんな彼と彼女は決していい出会いをしたわけではない。
それこそ、彼女のバジリスクを彼が“服従の呪い”を掛けようとした事を察したカナリアは、彼の腕を掴み……。
ポキっ!
と、容易く骨を折ってしまった事が出会いなのである。
そこから何かと因縁をつけられ、いがみ合っていたが、一度カナリアが死にかけた事があった。
そのことをきっかけに、ロナルドはカナリアに対して態度が柔らかくなったのだ。
そんな過去もありながら、カナリアはロナルドと恋仲となった。
今考えても昔は想像つかないな、などとカナリアは常々思っていた。
彼女達の関係は別部門の同じ大臣達しか知らない。
彼らがバラしたとは考えにくいが、何処からかは漏れてしまったのは確実だった。
カナリアは1つため息を付き、テーブルの上のコーヒーを一口飲み、頭を下げてきた女を見る。
彼女は最近現れた新参貴族だという。
何でも、王家に多大な貢献をしたとかでその恩恵で貴族になったという。
公爵であるロナルドと婚姻を結びたいのは彼女の家的には更に家の影響力を広げたいという意図は明白だった。
(ロイと、彼女が結婚、か……)
愛称で呼ぶほど彼を愛しているカナリアだが、1つ欠点があった。
それは自分に異常に自信がないことだ。
それは孤児という産まれが影響しており、故に努力を惜しまない性格となったのだ。
そんな彼女が自分より身分も家柄も文句無しの女が、彼女の愛するロナルドと結婚するために別れろと言う。
「前向きに、検討させてください」
折れるのはもはや明白だったのだ。
その日からカナリアの日常は怒涛だった。
別れを自ら伝える事が億劫だった彼女は文をしたため、辞表と共に机の引き出しにしまった。
魔法省に身を置けば嫌でも顔を合わせてしまう、故に彼女は自らのキャリアを捨てる事を決意したのだ。
引き継ぎ等もこっそりとしている中、それは起こった。
「カナリア、今日バーに行かないか?」
ロナルドは仕事終わりのカナリアにそう告げたのは、彼女が魔法省から身を引く前日だった。
彼女の決意は固く、後悔しないためにも本当は彼に会いたくなかったのだ。
しかし、愛している男からの誘いを断る意識は実のところ無く。
「いいよ。いつものバーで良い?」
最後の思い出を作るために、彼女は承諾した。
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