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Act.02 刷込、娯楽、ワスレナグサ
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今日の講義を終え、アルバイトに向かいそれが終われば帰宅する。
駐輪場に自転車を止めて部屋に向かう。鍵を出して開けて、ただいまーといつものように言えば部屋の照明がパッとつく。声掛けは一人の時も防犯も兼ねてやっていたから不審がられることはないはずだ。実家での癖になっていたこともある。
照明についてはまどかがスイッチを押したわけではなく、あの二人……二人? が居候するようになってからこうなった。スイッチを押してくれている、のだと思う。思いたい。
さすがに一人暮らしで借りている部屋の照明が夕方近くなるとひとりでに点くようなことがあってはおかしいだろう、という二人の気遣いだ。
とはいうものの、明かりがなければ生活しにくいだろうとまどかが心配をすると、もともとこんなにも明るい中で生活をしていなかったから問題はないしこの生活に長く身を置けばそう適応せざるを得ない、ということだった。
暗い中で物をみることにも慣れているということだろう、まどかは自分が寝る時に電気を消す様にしているが、それもまどか側の事情であり習慣であって、今のところは彼らには全く関係ないのだと知る。
知って、夜中にあれこれ見回られているのでは、と不安になったがそれはそれだ。
手洗いうがいと汚れ物を出して、リビングに向かうと青い傘が出迎えてくれる。
「おかえり」
「ただいま」
本当に、ほんとうにここ数日の話だが挨拶を交わすことも、傘が部屋をうろついている事にも驚かなくなった。
テーブルの上に買ってきたお惣菜が入った袋を置いた。慣れるまでは食費が痛いけれど、この二人の食べる量も分らないので様子見するしかない。
「できあいのおかずだけど、買ってきたから用意するね」
「なら、あのお湯を入れるだけのお味噌汁をたてましょう」
「いいですよ」
和装のおかっぱ頭こと瑞枝も、少し慣れてきたようで簡単なものなら手伝うようになった。私がいない間に料理のサイトや本も見ているようで、そのうちお昼も作るなんて言い出しそうな気もしている。
居候なのだから、と上からものも言いたくなるがまどかは事情があるにせよ、年長者に向かって物言えるほど成熟していない……し、言ったところで言い返されるのが関の山。また端末で言葉の意味を調べさせられるのだろう、その流れも習慣化してきている。
瑞枝が立ってキッチンでヤカンを火にかけてくれる。ポットで沸かす方が早いからそちらも教えることにしよう。
その間にまどかは隣の部屋へ行き、鞄を置き上着をハンガーに掛ける。寝室が別にある部屋で良かった、とこの時ばかりはこの部屋を勧めてくれた不動産のおじさんに感謝する。
まあ、一人暮らしと言いながらも、視える人からすれば三人暮らしになっているのだが。
「瑞枝、あおさのり入れましょう」
「のりですか?」
オフモードになってリビングに戻ったまどかはその足でキッチンへ向かう。手を洗ってから食器棚の下にある戸を開く。
ここにはかつお節のパックやらパスタ、乾麺が置いてあるがその中に今言ったあおさのりもあるはずだ。なんだかんだと実家から貰ってきたものを置いている。とりだして、既にカップに入った粉末のお味噌汁の上に少し入れる。
欲しければあとで追加してもいい、とひょこひょこ来ていた藍にも言う。
「あとは冷蔵庫の……」
残り物をレンジに放り込みつつ、冷蔵庫の中身を把握して明日の買い出しに見当をつける。
駐輪場に自転車を止めて部屋に向かう。鍵を出して開けて、ただいまーといつものように言えば部屋の照明がパッとつく。声掛けは一人の時も防犯も兼ねてやっていたから不審がられることはないはずだ。実家での癖になっていたこともある。
照明についてはまどかがスイッチを押したわけではなく、あの二人……二人? が居候するようになってからこうなった。スイッチを押してくれている、のだと思う。思いたい。
さすがに一人暮らしで借りている部屋の照明が夕方近くなるとひとりでに点くようなことがあってはおかしいだろう、という二人の気遣いだ。
とはいうものの、明かりがなければ生活しにくいだろうとまどかが心配をすると、もともとこんなにも明るい中で生活をしていなかったから問題はないしこの生活に長く身を置けばそう適応せざるを得ない、ということだった。
暗い中で物をみることにも慣れているということだろう、まどかは自分が寝る時に電気を消す様にしているが、それもまどか側の事情であり習慣であって、今のところは彼らには全く関係ないのだと知る。
知って、夜中にあれこれ見回られているのでは、と不安になったがそれはそれだ。
手洗いうがいと汚れ物を出して、リビングに向かうと青い傘が出迎えてくれる。
「おかえり」
「ただいま」
本当に、ほんとうにここ数日の話だが挨拶を交わすことも、傘が部屋をうろついている事にも驚かなくなった。
テーブルの上に買ってきたお惣菜が入った袋を置いた。慣れるまでは食費が痛いけれど、この二人の食べる量も分らないので様子見するしかない。
「できあいのおかずだけど、買ってきたから用意するね」
「なら、あのお湯を入れるだけのお味噌汁をたてましょう」
「いいですよ」
和装のおかっぱ頭こと瑞枝も、少し慣れてきたようで簡単なものなら手伝うようになった。私がいない間に料理のサイトや本も見ているようで、そのうちお昼も作るなんて言い出しそうな気もしている。
居候なのだから、と上からものも言いたくなるがまどかは事情があるにせよ、年長者に向かって物言えるほど成熟していない……し、言ったところで言い返されるのが関の山。また端末で言葉の意味を調べさせられるのだろう、その流れも習慣化してきている。
瑞枝が立ってキッチンでヤカンを火にかけてくれる。ポットで沸かす方が早いからそちらも教えることにしよう。
その間にまどかは隣の部屋へ行き、鞄を置き上着をハンガーに掛ける。寝室が別にある部屋で良かった、とこの時ばかりはこの部屋を勧めてくれた不動産のおじさんに感謝する。
まあ、一人暮らしと言いながらも、視える人からすれば三人暮らしになっているのだが。
「瑞枝、あおさのり入れましょう」
「のりですか?」
オフモードになってリビングに戻ったまどかはその足でキッチンへ向かう。手を洗ってから食器棚の下にある戸を開く。
ここにはかつお節のパックやらパスタ、乾麺が置いてあるがその中に今言ったあおさのりもあるはずだ。なんだかんだと実家から貰ってきたものを置いている。とりだして、既にカップに入った粉末のお味噌汁の上に少し入れる。
欲しければあとで追加してもいい、とひょこひょこ来ていた藍にも言う。
「あとは冷蔵庫の……」
残り物をレンジに放り込みつつ、冷蔵庫の中身を把握して明日の買い出しに見当をつける。
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