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3 私の性癖(Hな表現あり〼)
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しおりを挟む・・・その日の夜。
パジャマに着替えた私は、ベッドの上で大きなクッションにもたれながら昼間のことを思い出していた。
(雫・・・可愛かったなぁ……)
今までも彼女が可愛いことは分かってて、一緒にお出かけして、男の人に声を掛けられるのは彼女ばかり。
私はそんな彼女を守るSPみたいにそんな連中を追い払う役回りをしていた。
幼馴染で、いつもそばにいて。
昔は彼女の手を引いて走り回っていたなぁ…。
それが、今じゃ手をつなぐことすら不自然というか・・・
いい大人が、女の子同士でそんな事…出来るわけがない。
近くて、遠い。
せめて、異性同士なら…まだ、恋人同士、というレッテルが貼れて、堂々と手がつなげるのに。
(・・・だいいち……つい、ちょっと前まではそんな事、思いすらしなかったのに…)
恋愛スイッチ……私のそれは壊れてしまったの?
いや…回路が変な方向に接続されてしまったの、間違いかな?
どっちにしても、雫のことを考えるだけで胸がドキドキ、モヤモヤ、チクチクとしてしまう。
ヤバいな、私。
とりあえず、私は帰り道に立ち寄った南知多ビーチランドで買った、大きなデフォルメペンギンの人形をぎゅうっ!と抱きしめて雫への想いを鎮めようとした。
雫とおそろいで買った、大きなまんまるなペンギンのぬいぐるみ。
その時の様子が頭の中でリフレインする。
『きゃ~ん♡かわいいっ!ねえ、杏奈ちゃんっ!これ、みてみてっ☆』
私はペンギンのぬいぐるみよりもはしゃいでパタパタしている彼女に目を奪われていた。
(ああっ…か、かわいいっ!抱きしめたいハグしたいむぎゅぅって、したあぁいっ!!)
脳内の私は冷静を装う表の私と裏腹に、はしゃぐ彼女を見て悶まくっていたのだった。
『ほらっ☆むぎゅって、むぎゅってしちゃうもん』
まだ購入前のその大きなぬいぐるみを、私はどれだけ羨ましいやつだと思ったか。
『・・・ほらぁ……子供たちが見てるわよ?恥しいからさぁ、買ってあげるからそのくらいにしとき?』
『えっ?!ほんと??じゃあ、私も杏奈ちゃんにおんなじの買っちゃうっ☆
おそろいでお部屋にあるの、良いと思わない?』
そうして、今私が抱きしめている彼(?)が新たにこの部屋に住み着いた…わけだ。
「こんな大きなぬいぐるみ……私の柄じゃあないんだけれども・・・」
私がハグしてる、コイツはついさっき、買う前に雫が抱きしめてたやつで。
抱きしめると微かに彼女の匂いがする…。
あの子がつけている香水と、わずかに残る、夏場のおかげで流れた汗…雫の汗…体臭。
(・・・こんな事考えて匂いを嗅いじゃうなんてさぁ……私、危ないやつじゃん(汗))
でも、
確かに、あの子の抱きしめたぬいぐるみ。
それに、間違いは、無い。
私はもう一度、あの時の彼女の顔を思い出した。
きゅん☆
素敵な、笑顔だったなぁ……♡
うず…
うずうずっ……。
私の中の、いけない何かが胸の中で疼き出した。
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