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第1巻
第14話 コウの本名
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二週間後、男が来た。
「田村です。田村誠」
「ようこそ、田村さん」
「来月、修正の報告、できました」
「そうですか」
「怒られたけど、信用は落ちなかった。むしろ上がった気がした」
「正直さは、長期的には価値がある」
「実感しました」
今夜の田村の渇望は、前回とは違った。
——自分を信じたい。
「今日は何を飲みますか」
「おまかせで。でも、今夜は前に進む感じのやつで」
「ダーク・ストームでいいですか。以前も出したことのあるカクテルです」
「知らないです」
「ジンジャーが入っています。少し、強い」
「ちょうどいい」
グラスを出すと、田村は一口飲んで頷いた。
「これ、好きだ」
「よかった」
「ルーカスさんって、昔何してたんですか」
「……いろいろと」
「誤魔化してますよね」
「本当にいろいろと、です。まとめる言葉がない」
「そっか」
田村はグラスを持ち上げた。
「ここにいてよかった。ほんとに」
「私もです」
「え?」
「ここがあってよかった、という意味です。私にとっても」
田村は少し不思議そうな顔をしたが、「そっか」と言って飲んだ。
その言葉は本当だった。
ルーカスはこの小さな地下の空間が、自分にとって何であるかを、今夜初めてはっきりと感じた気がした。
居場所、とはこういうことか。
異世界でも、居場所はできる。
「田村です。田村誠」
「ようこそ、田村さん」
「来月、修正の報告、できました」
「そうですか」
「怒られたけど、信用は落ちなかった。むしろ上がった気がした」
「正直さは、長期的には価値がある」
「実感しました」
今夜の田村の渇望は、前回とは違った。
——自分を信じたい。
「今日は何を飲みますか」
「おまかせで。でも、今夜は前に進む感じのやつで」
「ダーク・ストームでいいですか。以前も出したことのあるカクテルです」
「知らないです」
「ジンジャーが入っています。少し、強い」
「ちょうどいい」
グラスを出すと、田村は一口飲んで頷いた。
「これ、好きだ」
「よかった」
「ルーカスさんって、昔何してたんですか」
「……いろいろと」
「誤魔化してますよね」
「本当にいろいろと、です。まとめる言葉がない」
「そっか」
田村はグラスを持ち上げた。
「ここにいてよかった。ほんとに」
「私もです」
「え?」
「ここがあってよかった、という意味です。私にとっても」
田村は少し不思議そうな顔をしたが、「そっか」と言って飲んだ。
その言葉は本当だった。
ルーカスはこの小さな地下の空間が、自分にとって何であるかを、今夜初めてはっきりと感じた気がした。
居場所、とはこういうことか。
異世界でも、居場所はできる。
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