『異界酒場 ルーナ』

みぎみみ

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第4巻

第27話 カインの変化

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一月。

カインが来た。

二度目だった。

「正月に来るのも悪くないと思って」

「歓迎します」

カインはカウンターに座って、蒸留酒を頼んだ。前回と同じ。

「エルロとの関係は、どうですか」とルーカスが聞いた。

「……悪くない。昔ほどではないが」

「昔ほど、というのは」

「子供の頃は、ライバルだった。今は——同じ方向を向いている。ぎこちないが、悪くない」

「それは進歩ですね」

「お前のおかげでもある」

「私は何もしていないですが」

「お前が帰ってきたことが、俺たちを変えた。お前が消えた三年間が、俺たちを変えた」

「消えたことが、良かったとは言えないですが」

「良かったとは言わない。でも——お前が戻ってきた今、俺たちは前よりましな兄弟だ。それは事実だ」

「そうですか」

「お前は向こうへ行ってきたおかげで、変わった。俺たちはお前を失って、変わった。結果として——ここにいる」

カインは蒸留酒を一口飲んだ。

「向こうへまた行くらしいな、いずれ」

「聞きましたか」

「エルロが教えてくれた。双方向の転移が完成したら、向こうへ行って戻ってくる、と」

「そのつもりです」

「戻ってくる確信はあるか」

「あります」

「なぜだ」

「ここにも、帰りたい場所があるので」

カインは少し黙った。

「……お前は二つの世界を持っている、ということか」

「そう思っています」

「うらやましいな」と、カインが言った。

「うらやましい、ですか」

「一つの世界しか知らない俺には——想像もできない。二つの世界を持つということが」

「カイン兄にも、行きたい場所があれば行けばいいと思いますよ」

「俺には、王国の仕事がある。出ていけない」

「それでも、いつか機会があれば」

「機会があれば——お前の向こうの世界に行ってみたいな」とカインが笑った。

「それは……難しいかもしれないですが、実現したら、グラスを出します」

「約束だ」

「約束します」

二人で笑った。

カインが笑う顔を、ルーカスはあまり見たことがなかった。

それが自然に見えた夜だった。
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