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第5巻
第27話 ヴァルドへ
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七月末。
転移の光が収まると、王都の夜だった。
夏の夜。夜香花の香り。
「戻った」
故郷の言葉で言った。
次の夜、店を開けた。
ユーリが最初に来た。
「帰ってきたか」
「帰ってきました」
「東京はどうだった」
「良かったです。一ヶ月、色々ありました」
「会いたかった人に会えたか」
「全員に会えました」
「それは良かった」
ユーリは蜂蜜酒を受け取って、飲んだ。
「アメリアが——研究の次のフェーズに入ると言っていた」
「どんなフェーズですか」
「転移だけでなく、声の通信をもっと安定させる研究だ。常時繋げるようにしたい、と言っていた」
「それができたら、東京とここが——常に繋がれる」
「そうだ。少し先の話らしいが」
「楽しみですね」
「お前のせいで、アメリアの研究が広がっていく」
「良い広がり方をしていますか」
「良い方向だ」
ユーリはグラスを傾けた。
「……東京で、向こうの人たちにここの話をしたか」
「しました。ここの常連の話を、向こうの常連にしました」
「俺の話もしたか」
「しました。騎士の話として」
「なんと話した」
「剣しか知らないと言っていた人が、言葉を学んで、好きな人に気持ちを伝えた、と」
ユーリは少し照れた。
「……余計なことを」
「喜んでいましたよ、向こうの人たちが」
「なぜ喜ぶんだ、知らない人間の話で」
「人の話は、どの世界でも嬉しいものだと思います。自分の話のように感じるから」
転移の光が収まると、王都の夜だった。
夏の夜。夜香花の香り。
「戻った」
故郷の言葉で言った。
次の夜、店を開けた。
ユーリが最初に来た。
「帰ってきたか」
「帰ってきました」
「東京はどうだった」
「良かったです。一ヶ月、色々ありました」
「会いたかった人に会えたか」
「全員に会えました」
「それは良かった」
ユーリは蜂蜜酒を受け取って、飲んだ。
「アメリアが——研究の次のフェーズに入ると言っていた」
「どんなフェーズですか」
「転移だけでなく、声の通信をもっと安定させる研究だ。常時繋げるようにしたい、と言っていた」
「それができたら、東京とここが——常に繋がれる」
「そうだ。少し先の話らしいが」
「楽しみですね」
「お前のせいで、アメリアの研究が広がっていく」
「良い広がり方をしていますか」
「良い方向だ」
ユーリはグラスを傾けた。
「……東京で、向こうの人たちにここの話をしたか」
「しました。ここの常連の話を、向こうの常連にしました」
「俺の話もしたか」
「しました。騎士の話として」
「なんと話した」
「剣しか知らないと言っていた人が、言葉を学んで、好きな人に気持ちを伝えた、と」
ユーリは少し照れた。
「……余計なことを」
「喜んでいましたよ、向こうの人たちが」
「なぜ喜ぶんだ、知らない人間の話で」
「人の話は、どの世界でも嬉しいものだと思います。自分の話のように感じるから」
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